率直な意見交換ができる関係を大事に相互理解を深めていくことが重要
日中友好協会はこれまで、中国大使館や中日友好協会に対して率直に意見を述べ、意見交換を重ねてきました。時には中国側が「けんか」と称するほどの激しいやりとりもありました。
尖閣問題について中国側は「日本の国有化と棚上げの否定では出口がない。中国は尖閣の略奪など考えない。沖縄を中国の領土だと主張しているなど事実無根だ」と述べました。核兵器問題については、「原爆投下に至った中国侵略の事実を覆い隠すこと、加害国が被害のことだけを主張することは許せない」との中国の国民感情が突き付けられました。そのうえで、「中国は核廃絶を目標にしている。先制攻撃はしない、威嚇もしない点も変わらない。『深刻な変質』と指摘されたが、時間をかけて説明していきたい」と述べ、さらに協会側が「中国は大国主義・覇権主義だと考える人は多い」と指摘したのに対して、「中国には説明責任があり、説明の仕方や行動様式を検討する必要があると思う」と答えました。
そして、中国での日本人拘束については、中国政府は拘束の理由を伝えているが日本政府が公表していない事実も明らかになるなど、中国側との意見交換を通して、報道されるニュースだけで判断することはできず、事実を把握するためにはかなりの努力と高度な判断が必要であることを痛感させられました。一面的な報道を鵜のみにせず、客観的な事実と背景を掘り下げることが中国側との話し合いでは欠かせません。友好の姿勢を堅持しての率直な意見の表明と、信頼関係にもとづいた意見交換が大切だと思います。
そして、さまざまな視点や立場からの意見は客観的な分析や判断にとって欠かせません。幅広い意見を尊重し、思想信条を超えた幅広い層を結集できる協会に発展させたいと考えます。私たちが今後、最も重視していくべきと考えているのが、国民レベルでの率直な意見交換を通しての日中両国民の世論形成です。それぞれの国民の声が自国の政治や行く末をより良い方向へと向かわせる原動力になることに確信を持てなければ、日中友好運動の存在価値はないと思います。どんなに主義主張に隔たりがあろうとも、率直な意見交換ができる関係を大事にし、信頼関係を強めながら、相互理解を深めていくことが重要だと考えています。(日本中国友好協会本部事務局長 矢崎光晴 2022年4月1日号日中友好新聞より)