いま、あなたに読んでほしい本

富坂聰『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書・2026年6月)

中国情勢の第一人者であるジャーナリスト・富坂聰さん(拓殖大学海外事情研究所教授)が、新著『おそるべき「中国一強」時代』を出版されました。中国の現在と未来を知るうえで、まさに必読と言える一冊です。本書の内容を章ごとに紹介します。

1.「中国一強」とは覇権ではなく“歴史の回帰”

富坂さんは、タイトルの「中国一強」は“覇権を求める中国”という意味ではないと強調します。 かつて巨大国家だった中国が、再びその姿を取り戻しつつある――その歴史的変化を伝えるための言葉だと述べています。

さらに、米中関係も従来の枠組みとは異なる「新しい段階」に入りつつあることを指摘します。 本書は、この大きな時代の転換を読み解くための案内書でもあります。

2.世界最大規模へ成長した中国の電力インフラ

第1章では、甘粛省・内モンゴル・新疆などで進む再生可能エネルギー開発の実態が紹介されています。

  • 太陽光・太陽熱・風力を組み合わせた巨大発電基地

  • 世界最大規模の送電網

  • 環境保護・経済発展・貧困撲滅を同時に進める国家プロジェクト

中国が「エネルギー大国」へと変貌している姿が、現地取材をもとに描かれています。

3.AI・自動運転・ロボット・宇宙開発の最前線

第2章は、中国の科学技術の“生の現場”を紹介する章です。

  • 世界最先端の中国製ドローン

  • 世界一の販売台数を誇る中国製EV

  • 独自の衛星測位システム「北斗」

  • 北京などで一般客が乗れる完全無人タクシー

  • 人間以上の動作が可能なヒューマノイドロボット

  • 月の裏側への探査機着陸成功など宇宙開発の躍進

通信大手「中国移動」は、6G国際標準の立ち上げ件数で世界トップと紹介され、 中国が科学技術の多方面で世界をリードしている現実が浮き彫りになります。

4.米中関係は“転換期”へ

第3章では、アメリカによる中国技術への規制・妨害の歴史が詳述されています。

●銀河号事件(1993年)

アメリカが「化学兵器原料を積んでいる」と主張し、中国貨物船のGPSを無効化。 33日間の臨検の結果、積荷は文房具や機械部品のみ。 謝罪も賠償もなく、中国は「屈辱」として記憶し、独自の衛星測位システム「北斗」開発へ踏み出しました。

●ファーウェイへの規制(2018年以降)

  • 同盟国に使用中止を働きかけ

  • 半導体輸出を厳しく制限

  • CFO孟晩舟氏の逮捕

これによりファーウェイは一時大きな打撃を受けましたが、2026年現在は独自チップとOSで復活しています。

●AI企業「DeepSeek」への妨害

NVIDIA製半導体の供給を止めようとしたものの、DeepSeekは独自に半導体を確保し高性能AIを完成。 その影響でNVIDIA株が急落したことも紹介されています。

富坂さんは、 「アメリカが中国を締め付ける → 中国は独自技術を積み上げて追いつく」 という“米中攻防の典型パターン”が繰り返されていると指摘します。

5.台湾問題――「92コンセンサス」の重み

第4章では台湾問題が扱われています。

中国は「すぐに武力で統一する」という政策を取ったことはなく、 「92コンセンサス」を基礎に、時間をかけて統一を目指す方針だと説明されています。

●92コンセンサスとは

  • 「一つの中国」を認める

  • ただし、大陸は「中華人民共和国」、台湾は「中華民国」と呼称

  • それぞれの解釈を当面容認する“緩衝装置”

富坂さんは、これを否定することは「安全装置を外すこと」だと警告します。 民進党政権はこの合意を否定し、緊張を高めていると批判しています。

6.日本の対中政策への問いかけ

第5章では、日本の対中姿勢が問われます。

高市首相の台湾海峡に関する発言や、 「台湾の法的地位を認定する立場にない」とした党首討論での発言を取り上げ、 富坂さんはこれらが中国の怒りを招いていると指摘します。

1972年、大平正芳外相は 「台湾は中国に返還されるべきもの」と明言しており、 日本の歴史的立場を曖昧にする発言は危ういと論じています。

さらに、アメリカ・中国・ロシア・EUの「グレートパワー・ゲーム」が進む中で、 戦争と直接結びついていないのは中国だけだと述べ、 日本が情勢を正しく見ていないのではないかと問題提起しています。

◆まとめ

本書は、中国の科学技術、エネルギー、外交、米中関係、台湾問題、日本外交―― これらを「現場の事実」に基づいて立体的に描いた一冊です。

中国を“脅威”として単純化するのではなく、 歴史的変化の中で何が起きているのかを冷静に見つめるための貴重な資料と言えるでしょう。

姫路支部が第20回年次総会と記念講演会を開催

6月27日午後、姫路市内で姫路支部の第20回総会と記念講演会が開かれ、約20名が参加しました。前日からの大雨でJRのダイヤが乱れ、講演資料の到着が遅れるというハプニングもありましたが、会は予定どおり進行しました。

■ 記念講演「台湾有事問題」

講師は兵庫県連の前田清会長。台湾の歴史、台湾人のルーツ、日本との関係などを多角的に解説しました。

  • 日本との最初の関わりは1871年の宮古島島民遭難事件(牡丹社事件)。明治政府は清国との交渉が不調に終わったことを受け、1874年に台湾出兵を実施。

  • 日清戦争後の下関条約により台湾は日本の植民地となり、50年間統治された。

  • 第2次大戦後の国共内戦で、台湾は蒋介石率いる国民党が支配し、中国本土には共産党政権が成立。この構図が現在まで続く対立の背景となっている。

  • 国際社会では、1979年の米中国交正常化を経て、国連代表権は中華人民共和国政府へ移行。米国は台湾と断交したものの、実質的な関係は維持している。

■ 「台湾有事」をどう見るか

前田会長は、台湾有事が語られる背景には中国政府の統一方針があるものの、台湾の民意は圧倒的に「現状維持」であり、中国本土が武力で統一を急ぐ可能性は低いと指摘しました。

実際には、

  • 本土と台湾の経済関係は大きく進展

  • 人的交流も活発 であり、紛争が起こる状況ではないと強調しました。

むしろ、

  • 南西諸島での自衛隊基地増強

  • ミサイル配備の強行

  • 日米共同軍事演習の拡大 など、日本側の政策が地域の緊張を高めているのではないかと問題提起しました。

中国旅の思い出(第7回)

水色が生まれる場所 ― 黄龍の彩池と石灰棚

前回ご紹介した九塞溝のすぐ隣、 といっても山ひとつ隔てて何十キロも離れていますが、 四川省北部にはもう一つの絶景、黄龍(ホアンロン)があります。

黄龍は「四絶」と呼ばれる 彩池・雪山・渓谷・森林 この四つの景観が組み合わさった、世界でも稀な自然保護区です。

標高3100mの迎賓彩池から、3600mの五彩池まで木製の遊歩道が続き、 九塞溝より標高が高いため、私は酸素ボンベを片手に歩きました。

■ 山を昇る“黄色い龍”の正体

黄龍という名は、 黄色がかった乳白色の石灰華が山肌を覆い、 まるで山を昇っていく黄金の龍のように見えることから付けられたといいます。

ここは、石灰分を含んだ湧水が 気の遠くなるような年月をかけて自然に作り上げた石灰棚。 その棚田のような段々に、 彩池(さいち)と呼ばれる湖沼がどこまでもどこまでも続いています。

その数、なんと3400の湖沼。 人が何年もかけて切り拓く棚田も素晴らしいですが、 自然がつくり上げたこの景観は、 「自然の力はどれほど大きいのか」と思い知らされる場所でした。

■ “水色”という色を初めて理解した

私は文学の才能はありませんが、 黄龍を歩きながら「水色とは何か」を考えさせられました。

棚田のすぐ近くで真上から見ると、水は透明。 しかし、少し離れて棚田全体を眺めると、 水面がまるでクレヨンや色鉛筆の“水色”そのものに見えるのです。

「水色という色は、ここから生まれたのではないか」 そんな仕様もないことを思ってしまうほど、 本当に美しい光景でした。

■ 九塞溝よりも心に残った景勝地

九塞溝は中国旅行の中でもトップクラスの人気を誇り、 確かに素晴らしい景勝地です。

しかし私見では、 黄龍はそれ以上に心を揺さぶられる景勝地だと思います。

日本からの観光ツアーでは九塞溝が必ず計画されていますが、 ぜひその際は黄龍にも立ち寄ってほしいです。 一味違う感動が、きっと待っています。

8・15 平和のつどい

― 終戦の日に、戦争を語りつぎ未来を考える集い

毎年、終戦の日にあわせて開かれてきた「平和のつどい」。 今年も兵庫区・妙法華院の本堂で、静かに、そして温かく開催されます。

戦争体験を語り継ぐ人が少なくなる中で、平和への思いを共有し、次の世代へとつないでいく大切な機会として続けられてきました。 お盆の時期でもあり、亡くなられた方々を偲びながら、平和の尊さを改めて胸に刻む時間となりそうです。

📅 開催概要

  • 日時:8月15日(土)13時30分〜

  • 会場:兵庫区・妙法華院 2階本堂

  • 講演テーマ「戦前、侵略戦争 NO! 子どもを守る教師がいた!」

  • 講師:田中隆夫さん(国治安維持国賠同盟 県本部副会長)

  • 参加協力費:500円

  • 主催:兵庫の「語りつごう戦争」展の会

🎤 講演の見どころ

今回の講演では、戦前の厳しい社会状況の中でも「子どもを守る」という信念を貫いた教師たちの姿が紹介されます。

国家総動員体制が強まり、自由な教育が制限されていった時代。 そんな中でも、子どもたちの未来を守ろうとした教師が確かに存在しました。

田中隆夫さんは、長年にわたり治安維持法や戦争責任の問題を研究し、語り継ぐ活動を続けてこられた方です。 戦前の教育現場で何が起きていたのか、そして今の時代に何を学ぶべきなのか―― 静かに、しかし力強く語りかけてくださることでしょう。

🌿 平和を思うひととき

妙法華院の本堂は、落ち着いた雰囲気の中で心を整えられる場所です。 お盆の時期に訪れると、どこか懐かしい気持ちになり、平和への祈りが自然と湧いてきます。

戦争を体験した世代が少なくなる今、こうした場で「語りつぐ」ことの意味はますます大きくなっています。 参加者同士が思いを共有し、未来へ向けて平和をどう守るかを考える、そんな温かい集いです。

✨ 参加の呼びかけ

主催の「語りつごう戦争」展の会は、 「終戦の日に、平和への思いをともにしませんか」と広く参加を呼びかけています。

どなたでも気軽に参加できる会です。 ぜひ足を運んでみてください。

ホームに佇む赤い機関車――全国で唯一の存在

鉄道の線路上を力強く走り抜け、旅客の安全な移動を支える一台の機関車があります。 その名は 「共産党員号」。赤い車体がひときわ目を引く、全国で唯一の特別な機関車です。

■「共産党員号」とは

「共産党員号」機関車は、中国鉄路沈陽局集団有限公司・沈陽機務段に所属し、牽引機は「和諧D3D1921」型。 2016年7月1日に正式に「共産党員号」と命名され、今年でちょうど10周年を迎えました。

車体のベースカラーは鮮やかな赤と深いワインレッドの組み合わせ。 車頭に掲げられた大きなエンブレムには、党徽・麦穂・歯車などの象徴的なモチーフがあしらわれています。

■乗務するのは全員が共産党員の運転士

「共産党員号」には10名の運転士が所属しており、全員が共産党員。 1本の列車には2名が乗務し、走行中は交代しながら運転します。

出発前には、機関車の連結状態や電源設備の正常性、列車番号や編成情報、出発信号など多くの項目を確認し、 すべてが整ったのを確認してから汽笛を鳴らし、列車をゆっくりと動かします。

■国際列車から長距離列車まで幅広く牽引

「共産党員号」はこれまでに、

  • 北京〜モスクワ間の国際連絡列車

  • K19/20次列車の北京〜ハルビン区間

  • 丹東〜北京間のK27/28次列車 など、数々の重要な牽引任務を担ってきました。

2021年7月からは、K54/53次列車を担当。 毎日、沈陽北駅と北京駅を往復し、所要時間は約8時間。 夕方に出発し翌朝に到着する「夕発朝至」の直通運行です。

■全車両が寝台、旅客からの人気も高い

編成は硬臥(ハード寝台)13両、軟臥(ソフト寝台)3両、高級軟臥1両の計17両。 機関車の特別な意味合いから、停車駅のホームでは記念撮影をする旅客の姿も多く見られます。

7月1日、杭州から乗車した田さんはこう語りました。 「今年は中国共産党創立105周年。旅の途中で『共産党員号』に出会えて、記念写真まで撮れたのは本当に幸運でした。旅に特別な意味が加わりました。」

また、旅客の李さんは笑顔で話します。 「乗車前にわざわざ『共産党員号』を見に行きました。車両の型式も確認しましたよ。列車がゆっくりホームを離れると、とても安心した気持ちになりました。車内も快適で、眠っているうちに翌朝には北京に着くんです。」

■赤い機関車は使命を胸に走り続ける

赤い車体は星の光を映し、 「共産党員号」は今日も前へ進み続けます。 使命を胸に、力強く駆け抜け、 新たな旅路でその栄光をさらに刻んでいくのです。

出典:中国鉄路

第72回県連総会を開催

全国大会の決定を受け、新たな年度へ歩み出す一日

7月6日午後、第75回全国大会の決定を受けて、県連の定例総会が開かれました。雨模様の中でしたが、15名が参加し、落ち着いた雰囲気の中で会議が進められました。

◆ 開会あいさつと祝電・メッセージ

総会は福田千種理事が議長に選出され、前田清会長のあいさつで始まりました。続いて祝電・メッセージが紹介され、協会本部、東京都連、大阪府連、奈良支部をはじめ、中国大阪総領事館の薛剣総領事、兵庫県議会議長、芦屋・明石・赤穂の各市長、兵庫民商、神戸合同法律事務所、神戸医療生協、国賠同盟、日本共産党神戸市議団など、多方面から温かい言葉が寄せられました。

◆ 活動報告・次年度方針・財政報告

兵頭晴喜理事長から、活動報告、次年度方針、財政報告、新役員案が示され、参加者との質疑や意見交換が行われました。

報告では、協会活動の柱である日中不再戦・平和の取り組みに加え、

  • 中国語講座

  • 太極拳

  • 各種学習活動

などの現状が共有されました。

◆ 支部からの活動報告と課題

討論では、西宮支部から中国茶の会、月例学習会、尼崎での中国史学習会などの取り組みが報告されました。一方で、中国語講座や学習会の宣伝不足が指摘され、今後は積極的な広報を工夫していくことを確認しました。

財政面では、会員・準会員の減少や中国語講座受講者の減少を克服する必要があるとの課題も共有されました。

◆ 新役員の承認

討論を経て、活動報告・方針・財政報告・役員案はすべて拍手で承認されました。 役員では、姫路支部の河野興仁さんが退任し、新たに「中国残留孤児を支援する会」の瀧本恵子さんが理事に就任しました。

◆ 記念講演「核不拡散(NPT)条約再検討会議に参加して」

総会終了後、休憩をはさんで15時から記念講演が行われました。 講師は兵庫県原水協の梶本修史事務局長。テーマは 「核不拡散(NPT)条約再検討会議に参加して~核廃絶と世界平和」

梶本さんはパワーポイントを使い、NPTの歴史や今回の会議の様子を詳しく紹介しました。最終合意文書は採択されなかったものの、多くの国が核兵器廃絶への決意を表明し、核兵器禁止条約への参加国も増えていることを報告。 最後に、日本政府の姿勢転換を求め、核廃絶へ向かう道筋を示して講演を締めくくりました。

◆ おわりに

雨の中での開催となりましたが、総会は新年度の歩みを力強く始める場となりました。支部の活動報告や課題共有、記念講演を通じて、平和への思いと地域活動の大切さを改めて確認する一日となりました。

中国旅の思い出(第6回)

透明な湖沼が連なる仙境 ― 九塞溝の色彩

今回は、中国内陸部・四川省の北端に位置する九塞溝(きゅうさいこう/ジウジャイゴウ)です。 省都・成都から飛行機なら1時間足らず、現在では高鉄(新幹線)で約2時間と、アクセスは非常に便利になりました。

この地はチベット族をはじめとする少数民族の居住地で、 谷には9つのチベット族の村(山寨)があることから「九塞溝」と呼ばれています。 標高は1800mから3400mにわたり、大小100以上の湖沼が連なるカルスト地形の淡水湖水地帯。 岷山山脈から流れ出た水が滝をつくり、湖沼をつなぎながら流れ落ちていきます。

■ 極度の透明度を誇る「五花海」

九塞溝には数多くの名勝がありますが、その代表格が五花海です。

ここの水は、炭酸カルシウムが微細な浮遊物を核として沈殿するため、 驚くほど透明度が高いのが特徴です。 深さ20mの湖底まで、くっきりと見えるほど。

湖底に沈んだ倒木には石灰分が付着し、 まるで化石のように形を保ったまま残っているのも独特の景観です。 ただ、水があまりに澄みすぎて、普通の魚は住みにくいと聞きました。

■ 宝石を散りばめたような「五彩池」

九塞溝の最奥、海抜3100mに位置する五彩池は、 まさに九塞溝の象徴ともいえる場所です。

エメラルドグリーンとはこういう色なのか―― 池を見た瞬間、そう思いました。 宝石を散りばめたような輝きで、これまで見たどんな湖とも違う美しさでした。

春は渇水期と言われますが、私が訪れたのは8月の盆休み。 水量も十分で、最高の状態を見ることができました。

■ 滝が連なる涼やかな谷

入り口から歩いていくと、連なる湖沼の間に盆景灘瀑布が現れます。 海抜2000m付近なので、夏でも涼しい風が心地よく感じられました。

さらに五花海方面へ進むと、真珠灘瀑布が姿を見せます。 名前の通り、真珠が流れ落ちるような白いきらめき。 水があまりに透明で、 「写真に水が写らないのでは?」と思ったほどでしたが、 きれいな写真が撮れて満足でした。

■ 日本では見られない風景がここに

九塞溝は中国旅行の中でもトップクラスの人気を誇りますが、 実際に訪れてみると、その理由に深く頷けます。

日本ではなかなか見られない色彩と透明度、 そして標高差が生み出す多彩な景観。 感激する場面が何度もありました。

次回は、九塞溝のすぐ隣にある世界遺産、 黄龍(ホアンロン)をご紹介します。 どうぞお楽しみに。

各地で「戦争展」が開かれます

夏の訪れとともに、兵庫県内の各地域で恒例の「戦争展」が開催されます。 戦争の記憶を語り継ぎ、平和の尊さを次の世代へ手渡すために続けられてきた取り組みで、今年も多くの市民団体が力を合わせて準備を進めています。

展示資料や写真、体験談、地域に残る戦争遺跡の紹介など、内容は地域ごとに特色があり、毎年足を運ぶ方も少なくありません。 静かに展示を眺める時間は、日々の暮らしの中で忘れがちな「平和のありがたさ」を改めて感じるひとときとなります。

📍 第27回 加印平和のための戦争展

日時:7月31日(金)13時 ~ 8月2日(日)16時 会場:加古川総合庁舎1階「かこむ」

加古川・稲美・播磨地域で続けられてきた「加印戦争展」は今年で27回目。 地域に残る戦争の記録や市民が集めた資料が並び、毎年、親子連れや若い世代の姿も見られます。 会場の「かこむ」はアクセスもよく、気軽に立ち寄れる雰囲気です。

📍 守ろう平和・なくそう戦争展 in 宝塚2026

日時: ・8月10日(月)10時~18時 ・11日(火・祝)10時~16時 会場:宝塚市立西公民館

宝塚では「守ろう平和・なくそう戦争展」が開催されます。 市民ボランティアの熱意で続けられてきた展示で、戦争体験者の証言や地域の歴史資料が丁寧に紹介されます。 公民館ならではの温かい雰囲気の中で、ゆっくりと展示を見て回ることができます。

📍 第31回 尼崎平和のための戦争展

日時: ・8月21日(金)9時~18時 ・22日(土)9時~18時 ・23日(日)9時~16時 会場:尼崎市立中央北生涯学習プラザ

尼崎では今年で31回目となる「尼崎戦争展」が開かれます。 長年続く取り組みだけに資料も充実しており、地域の戦争遺跡や市民の証言など、尼崎ならではの視点で平和を考える展示が並びます。 期間中は親子で訪れる方も多く、世代を超えて語り合う姿が見られます。

🌿 おわりに

これらの戦争展は、いずれも地域の実行委員会が中心となって開催されています。 「戦争の悲しみを繰り返さないために、できることを続けたい」という思いが、静かな展示の一つひとつに込められています。

夏の一日、少し足を止めて平和について考える時間を持ってみるのも良いかもしれません。

内モンゴルで進む漢語教育強化とモンゴル族の現実

中国には日本と同じく各地に方言があります。しかし、その違いは日本の東北弁と関西弁の差どころではなく、文法・語彙・発音が大きく異なり、ほとんど“別の国のことば”と言ってよいほどの隔たりがある場合もあります。 このままでは地域間の意思疎通が難しいため、北京語を基礎とした標準語「漢語普通話」が整備され、全国で普及が進められてきました。大学入試や授業、全国から人が集まる職場では普通話が使われるのが一般的です。

■ 内モンゴルの従来の教育制度

少数民族地域では、つい最近まで小学校低学年の授業はその民族の言語で行われていました。 内蒙古自治区では長年、モンゴル語を基盤に中国語も学ぶ「双語教育」が採用されてきました。

  • 小学校1・2年生:モンゴル語の標準語で授業

  • 3年生以降:漢語(普通話)による授業

ところが、2020年の全国人民代表大会で「国家通用語文」普及政策が決議され、これに基づき教育内容が大きく変更されました。 同年9月の新学期から、小中学校の「語文(国語)」「政治(道徳)」「歴史」は漢語の教科書を使用し、授業も漢語で行うことが決定。つまり、1年生から漢語による授業が始まることになったのです。

■ 住民の反発とメディア報道

この変更に対し、内モンゴルでは「民族のことばと文化が失われる」として保護者らが抗議デモや授業ボイコットを行いました。 日本のマスメディアもすぐに反応し、

  • 「モンゴル語教育廃止」

  • 「抗議行動が拡大」

  • 「中国政府の狙いは民族抹殺」

といった刺激的な見出しが並びました。

■ なぜ漢語教育が急がれるのか

中国は56民族が暮らす多民族国家であり、使用される言語も多様です。 国内の意思疎通を円滑にし、経済活動の効率化、教育水準の向上、情報化社会への適応、さらにデジタル化・AI化に伴う情報標準化を進めるため、統一言語の普及は国家的課題となっています。 こうした背景が、政府が漢語教育を強化する理由と言えるでしょう。

■ 内モンゴル自治区による住民調査

住民の反対行動を受け、内モンゴル自治区人民委員会は「住民が漢語教育強化をどう考えているか」を把握するため、自治区地方言文字研究応用センターに委託し、 「内モンゴル辺境地区言語態度および言語能力検査」 という大規模アンケートを実施。2024年に結果が公開されました。

調査対象は都市部ではなく、問題の焦点となっている辺境の20の“旗”と“市”。回答者は2,520人で、そのうちモンゴル族は2,186人。 普通話が「よくできる」と答えた人は 8.4%、モンゴル語標準語が「よくできる」は 25.6%。 多くの人が標準語ではなく、地域のモンゴル語方言を日常語としている実態が浮かび上がりました。

■ 92.6%が「国家共用語は必要」と回答

注目すべきは、「国家通用語は有用と思うか」という質問への回答です。 92.6%が「非常に有用」と答えたのです。

京都大学・慶應義塾大学名誉教授で日中友好協会副理事長の大西広先生は、ウェブメディア「中国学ドットコム」に掲載した評論 《内モンゴル辺境地区における日常語と漢語化への反応》 の中で、この結果を取り上げ、

「漢語教育が必要という点では、内モンゴルの蒙古族の中でほぼ合意ができている」

と指摘しています。

つまり、モンゴル族の多くは、 学歴社会と厳しい就職競争を生き抜くためには高度な普通話能力が不可欠である という現実を理解しているのです。

■ 不満を抱く層と「ことばへの愛着」

大西先生はさらに、政府の言語政策に不満を強く持つ傾向があるのは、

  • 男性

  • モンゴル族

  • 年長世代

  • 高学歴者

  • メディア関係者

であると分析しています。

また、モンゴル族も漢族も日常ではそれぞれの方言を使い、それに強い愛着を持っています。 その愛着が、標準語である「普通話」への距離感となり、特にモンゴル族ではその傾向がより強いと指摘されています。

中国近代史学習会にご参加ください

日中友好協会兵庫県連では、毎月「中国近代史学習会」を開いています。 中国近代史の流れをゆっくりたどりながら、激動の時代を生きた人々の姿を学ぶ、落ち着いた雰囲気の勉強会です。

しかし、最近は参加者が少なく、6月20日の回は残念ながら参加者がお一人で流会となりました。 せっかく準備を重ねている内容ですので、できれば多くの方と一緒に学び、語り合いたいと願っています。

歴史に詳しくない方でも大歓迎です。 「少し興味がある」「昔の中国を知ってみたい」――そんな気持ちだけで十分です。 どうぞ気軽にお越しください。

📘 7月の学習テーマ

今回のテーマは、近代中国を語るうえで欠かせない 毛沢東と蒋介石。 二人の歩んだ道は、中国の近代史そのものと言っても過言ではありません。

そして今回の講師・前田清県連会長は、若い頃に中国を訪れ、毛沢東本人と実際に会った経験を持つ数少ない日本人の一人です。 歴史書では得られない「その場の空気」「人物の印象」「時代の息づかい」を、前田会長は自らの体験を交えて語ってくださいます。

こうした“生の証言”を聞ける機会は滅多にありません。 新聞やニュースを読むときにも理解が深まり、視野が広がる内容になるはずです。

この回は中止になりました。次回の予定は追ってお知らせします。

📅 日時

7月18日(土) 14:00〜16:00

📍 会場

日中友好協会 兵庫連合会 教室

👤 講師

前田清・県連会長(毛沢東と面会した経験を持つ)

💴 参加協力費

500円

📞 お申し込み・お問い合わせ

日中友好協会 兵庫県連事務所 TEL/FAX:078-412-2228