漢詩を読む会

「漢詩を読む会」開催はお待ちください!

4月頃の開催を予定していましたが、事務局担当者が2月中旬にコロナ陽性となりその後、後遺症の症状が酷く入院治療中で、回復が遅く開催準備が遅れています。これまでご参加頂いていた皆様には誠に申し訳けありませんが開催条件が整うまでもう少しお待ち下さいますようお願い致します。

黄遵憲(清)の日本雑事詩

黄遵憲(1848~1905)、字は公度。広東省嘉応の人。客家の出身。光緒二(1876)年、挙人(地方試験及第者)となる。以来、外交官として日本、英米などに駐在した。これらの国の発展を目にした彼は、自国の改革を思い、康有為、梁啓超と交際して、変法自疆運動に参加した。梁のため資金を援助し、雑誌「時務報」を発刊した。日本へは明治十年(1877)年、書記として来訪し、ほぼ四年間滞在した。光緒二十四(1898)年、日本駐在公使を命ぜられたが、病気のため上海で療養した。この年、戊戌政変が起こり、変法派の康有為、梁啓超は失脚、日本に亡命し、彼も一時軟禁された。その後、郷里に引退し、後輩の教育に専念した。

日本雑事詩  黄遵憲  七言絶句

玉牆舊國紀維新 玉牆の旧国維新を紀し

萬法随風倏轉輸 万法風に随いて倏ち転輪す

杼軸雖空衣服粲 杼軸空と雖も衣服粲たり

東人贏得似西人 東人贏ち得たり西人に似るを

玉垣の風情にも知る伝統の国が、維新の政に成功し

何もかも、新しい風潮にそって、たちまちに変化した

国の財政は貧しいというのに、服装ばかり輝いている

これも日本人が、西洋人の猿真似をしただけのこと

(石川忠久編 漢詩鑑賞事典より抜粋)

唐・張継「楓橋夜泊」を読む

10月28日の「漢詩を読む会」は日本でもよく知られる唐・張継の「楓橋夜泊」を丹羽博之大手前大学教授の解説で読みました。

楓橋夜泊   張継

月落烏啼霜満天 月落ち烏啼いて 霜 天に満つ

江楓漁火対愁眠 江楓漁火 愁眠に対す

姑蘇城外寒山寺 姑蘇城外の寒山寺

夜半鐘声到客船 夜半の鐘声 客船に到る

月は沈み、烏が啼き、霜のおりる気配があたり一面に満ちている。長江沿いの楓、漁舟の光、旅の愁いに眠れぬ私の眼にそれらが入る。蘇州のまちはずれの寒山寺から、夜更けに鐘の音がこの旅路の舟の中にまで聞こえてくる。

第一句は、晩秋の夜更けの空気の冷たさと、闇の深さと、それを感じる詩人の孤独感を、非常に感覚的な世界の中に表現したものといえる。

第二句は、旅の愁いに眠れずに、ぼんやりと対岸の風景を眺めている。真っ暗で冷たい空気の中でも紅葉した楓は紅く、漁舟の灯火は暖かそうに映ったことだろう。

第三句の「姑蘇城」は蘇州の街。宮殿である「姑蘇台」があった山を姑蘇山といい、その山を郊外に抱く街ということで姑蘇城という。蘇州のまちには寒山寺という寺があった。ここには伝説の僧、寒山・拾得が住んでいたと言われている。

第四句では、寒山寺から聞こえてくる鐘の音が自分が乗っている旅の舟にまでとどくという意味。(漢詩を読む会資料より)


「峨眉山月歌」 唐・李白

四川省成都の西南方に、峨眉山という山がある。標高3,035m、といえばわが国の富士山の高さに近い。古代の地理書『水経注』によれば、「秋日清澄のとき、両つの山を望み見れば、相い峠つこと蛾の眉の如し」といい、蛾眉山、または峨眉山とよばれる。

李白(701ー62)の七言絶句「峨眉山月の歌」は、この山をうたったものである。前篇わずか二十八の中に、五つの地名を詠みこんで、しかもその痕跡を感じさせない、といわれ、古今の絶唱とされる。

峨眉山月歌 李白

峨眉山月半輪秋 峨眉山半輪の秋

影入平羌江水流 影は平羌江水に入って流る

夜発清渓向三峡 夜 清渓を発して 三峡に向かう

思君不見下渝州 君を思えども見えず 渝州に下る

まず地図によって地名をたしかめてみよう。平羌江は、別名青衣といい、峨眉山のふもとを流れて楽山県に至り、揚子江の支流岷江に合する。楽山県の下流に犍為県があり、ここに清渓駅があった。やがて江水は本流揚子江に入り、四川省の東端に至って、有名な蜀の三峡がある。三峡に至るちょうど中間地点、そこにあるのが今の重慶の町、古名でいえば渝州である。(一海知義著・漢詩一日一首・秋冬編より)


「漢詩を読む会」10月は唐・張継の「風橋夜泊

「漢詩を読む会」を下記日程で開催します。テーマは日本でも有名な張継の「楓橋夜泊」です。どなたでもご参加頂けます。

2023年10月28日(土)14:00~15:30

●神戸市立東灘区文化センター8F 会議室3

JR住吉駅下車、改札を出て左へ、渡り回廊を東へ約3分

●テーマ: 唐・張継「楓橋夜泊」

講師:丹羽博之 大手前大学総合文化学部教授

参加費:1,000円(資料代含む) 定員:20名

参加予約は下記へ電話、FAX、メールで

日中友好協会「漢詩を読む会」☎078-412-2228


「漢詩を読む会」を4月15日再開!

昨年11月以降休講していた「漢詩を読む会」を再開します。日程、テーマが決まりましたのご案内します。

日時:2023年4月15日(土)午後2時~3時30分

会場:神戸市立東灘区文化センター8階会議室3(JR住吉駅下車すぐ)

講師:丹羽博之 大手前大学総合文化学部教授

テーマ:杜牧「江南春」

資料代:1,000円

定員:20人 

日中友好協会兵庫県連合会「漢詩を読む会」

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net


2023年 新年の漢詩二首

「元旦」頼山陽(1781~1832)大坂生まれ

故紙堆中歳過強  猶余筆削̪志遍長 

東窓掃几迎初日    読起春王正月章

部屋に積まれた反故の中 歳は四十を過ぎた

今なお原稿に手を入れ 満足なものはできない志は遥か遠くにある

東の窓辺にある机を掃除し 元日のご来光を迎える

新年の「読み初め」は「春秋」の「春王の正月の章」 

「元日」王安石(1021~1086)江西省臨川 

爆竹声中一歳除  春風送暖入屠蘇

千門万戸瞳瞳日  総把新桃換旧符

爆竹の音を聞きながら一年を送った

暖かい春風のなか、屠蘇を飲む

払暁の陽光が家々を照らす 

皆旧い桃符を新しいものに取り換える