🚉全国的に有名なのに、守るのはたった一人の駅——青海湖駅の物語
2月27日の早朝、標高3260メートルに位置する青海湖駅は気温マイナス9度。刺すような寒風が、がらんとしたホームを容赦なく吹き抜けていた。
夜明け前、51歳の駅値班員・趙磊(ジャオ・レイ)はすでに一日の仕事を始めている。コンピューター画面に向かい、構内の線路使用状況や刻々と変わる信号を注視しながら、通過列車の運転士とリアルタイムで連絡を取り合う。
青海湖駅は青海省の省都・西寧から約130キロ、最寄りの海北チベット族自治州・海晏県の中心部から39キロ離れた場所にある。青蔵鉄道の五等駅で、列車の行き違いや臨時停車の確保を担う。毎日160本以上の列車がここを通過する。
駅には待合室も旅客もいない。ぽつんと建つ駅舎を守るのは、趙磊と孟青雲(モン・チンユン)の2人だけ。1週間交代で、昼夜を問わず勤務にあたっている。
「普段は調度員が遠隔で駅を管理しますが、工事や“天窓”と呼ばれる保守作業の際には、駅での手動管理に切り替わり、値班員が列車運行の組織、設備監視、各部署との調整をすべて担当します」と趙磊は説明する。
高原の冬春は厳しい寒さと雪に見舞われ、ポイント(道岔)は雪や氷で固まりやすい。そのため、ポイントの状態を常に監視し、必要に応じて保線部門へ除雪・除氷を連絡することが、冬春の重要な業務となる。
駅は町から遠く離れているため、休勤日は上下それぞれ1日1本だけの通勤列車に乗るしかない。2本の列車が青海湖駅に停車する間隔は50分。この50分が、2人が顔を合わせられる最も長い時間だ。
交代時には、引き継ぎ事項を事前にノートへ書き込み、一つひとつ丁寧に確認する。引き継ぎが終わると、互いに家から持ってきた食べ物を分け合う。列車が去れば、またどちらか一人が静かな駅を守る。
暇な時間、趙磊は行車室で軽いストレッチをして体をほぐす。ひとりの時間、駅に響くのは連絡機器の音と、時折通過する列車の「ガタン」という音だけ。あとは、ただ静寂が広がる。
行車室の窓辺には数鉢の観葉植物が置かれ、外の枯れた景色と対照的な緑を添えている。「普段はあまりに静かなので、植物を育てていると気持ちが和むんです」と趙磊は笑う。
今年は趙磊が青海湖駅を守って4年目、鉄道員としては30年目の節目。そして青蔵鉄道全線開通から20周年でもある。見届けてきた年月を思い返し、感慨深いという。
「20年で青蔵鉄道は“通る”だけの路線から、“優れた”路線へと大きく進化しました。設備はどんどん良くなり、勤務環境も整ってきました。新しい年も、孟青雲と一緒にしっかり駅を守りたいですね」と語る。
駅名は「青海湖」だが、趙磊が実際に湖を見る機会はほとんどない。多くの友人は「毎日青海湖が見られるんでしょ」と言うが、駅から湖までは直線で10キロ。ほとんどの季節、彼の目に映るのは荒涼とした風景だけだ。

2025年の夏、休勤日に友人と二郎剣景区を訪れ、ようやく青海湖を間近に見ることができた。湖畔を走る列車を眺めながら、「自分はその旅を支える側にいるんだ」と実感し、仕事の意義を改めて感じたという。
日が沈み、月が昇る。遠く離れた青海湖駅には、今日もひとり、静かに駅を守り続ける人がいる——。
