中国旅の思い出(第6回)

透明な湖沼が連なる仙境 ― 九塞溝の色彩

今回は、中国内陸部・四川省の北端に位置する九塞溝(きゅうさいこう/ジウジャイゴウ)です。 省都・成都から飛行機なら1時間足らず、現在では高鉄(新幹線)で約2時間と、アクセスは非常に便利になりました。

この地はチベット族をはじめとする少数民族の居住地で、 谷には9つのチベット族の村(山寨)があることから「九塞溝」と呼ばれています。 標高は1800mから3400mにわたり、大小100以上の湖沼が連なるカルスト地形の淡水湖水地帯。 岷山山脈から流れ出た水が滝をつくり、湖沼をつなぎながら流れ落ちていきます。

■ 極度の透明度を誇る「五花海」

九塞溝には数多くの名勝がありますが、その代表格が五花海です。

ここの水は、炭酸カルシウムが微細な浮遊物を核として沈殿するため、 驚くほど透明度が高いのが特徴です。 深さ20mの湖底まで、くっきりと見えるほど。

湖底に沈んだ倒木には石灰分が付着し、 まるで化石のように形を保ったまま残っているのも独特の景観です。 ただ、水があまりに澄みすぎて、普通の魚は住みにくいと聞きました。

■ 宝石を散りばめたような「五彩池」

九塞溝の最奥、海抜3100mに位置する五彩池は、 まさに九塞溝の象徴ともいえる場所です。

エメラルドグリーンとはこういう色なのか―― 池を見た瞬間、そう思いました。 宝石を散りばめたような輝きで、これまで見たどんな湖とも違う美しさでした。

春は渇水期と言われますが、私が訪れたのは8月の盆休み。 水量も十分で、最高の状態を見ることができました。

■ 滝が連なる涼やかな谷

入り口から歩いていくと、連なる湖沼の間に盆景灘瀑布が現れます。 海抜2000m付近なので、夏でも涼しい風が心地よく感じられました。

さらに五花海方面へ進むと、真珠灘瀑布が姿を見せます。 名前の通り、真珠が流れ落ちるような白いきらめき。 水があまりに透明で、 「写真に水が写らないのでは?」と思ったほどでしたが、 きれいな写真が撮れて満足でした。

■ 日本では見られない風景がここに

九塞溝は中国旅行の中でもトップクラスの人気を誇りますが、 実際に訪れてみると、その理由に深く頷けます。

日本ではなかなか見られない色彩と透明度、 そして標高差が生み出す多彩な景観。 感激する場面が何度もありました。

次回は、九塞溝のすぐ隣にある世界遺産、 黄龍(ホアンロン)をご紹介します。 どうぞお楽しみに。

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