中国旅の思い出(第9回)

チベットの象徴 ― 布達拉宮(ポタラ宮)を訪ねて

昨晩は少し頭痛がありましたが、朝になるとすっかり回復していました。 ホテル近くの小さな雑貨屋へ行くと、店番のおばさんが「你好」と声をかけてくれます。 一度会っただけなのに挨拶してくれる――その温かさがとても心地よく感じられました。

今日もバナナと飲み物を買い、 昨日入手した入場整理券を手に、いよいよ布達拉宮(ポタラ宮)へ向かいます。

■ 観音菩薩の名を冠した宮殿

「布達拉」という名は、観音菩薩が住むというサンスクリット語 「ポータラカ」に由来します。

布達拉宮は7世紀初め、チベットを統一した 吐蕃(とばん)第33代王・ソンツェン・ガンポが マルポリの丘に築いた宮殿が始まりです。

その後、国内の仏教対立や王位継承問題などで吐蕃は877年に滅亡。 時代は流れ、1642年にダライ・ラマ5世がチベットを再統一し、 3年後に増築する形で布達拉宮の建設が再開されました。 歴代のダライ・ラマによる増改築が続き、 1936年に現在の姿となりました。

布達拉宮は、 チベット仏教の総本山であり、 チベット政権の中心でもあります。 13階建て、部屋は2000以上とも言われる巨大な宮殿です。

■ 白宮と紅宮 ― 役割の異なる二つの領域

布達拉宮は大きく「白宮」と「紅宮」に分かれます。

● 白宮

歴代ダライ・ラマの住居であり、政治の中心。 外壁が白く塗られていることから「白宮」と呼ばれます。

● 紅宮

金箔で覆われた歴代ダライ・ラマの霊塔が並び、 ミイラとなったダライ・ラマたちが永久の眠りについています。 荘厳でありながら、どこか背筋が伸びるような空気が漂っていました。

壁画も多く、まさにチベット美術の宝庫です。

■ 屋上から眺めるラサの街

布達拉宮では屋上にも上がることができました。 写真で見る布達拉宮は壮麗ですが、 屋上から眺める景色もまた格別です。

素朴な街並みとチベット高原が一望でき、 「ここがラサなのだ」と胸に染み入るような新鮮さがありました。

■ 50元紙幣の裏面に描かれる宮殿

布達拉宮は、現在の中国で発行されている50元紙幣の裏面に描かれています。

余談ですが、中国の紙幣には 中国語のピンイン表記に加え、 モンゴル文字(モンゴル語)、 チベット文字(チベット語)、 アラビア文字(ウイグル語)、 アルファベット(チワン語)で 「中国人民銀行」と記されています。 多民族国家らしい表記です。

■ 午後はジョカン寺へ

布達拉宮の余韻を胸に、 午後は同じ世界遺産であるジョカン寺(大昭寺)を訪れます。

ラサの中心にあり、チベット仏教の信仰が最も濃く息づく場所。 次回はそのジョカン寺の旅をお届けします。

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