中国旅の思い出(第8回)

天の湖へ ― 初めてのチベット、ラサと納木错

今回は、私にとって初めてのチベットの旅です。 チベット自治区の首都・ラサに降り立ちました。標高はなんと3700m。 富士山より高い場所に街があるという事実を、体で思い知らされることになります。

■ ラサ到着直後、階段が上れない

中国の旅では、いつも安ホテルを利用しています。 今回も写真にあるような二階建ての素朴なホテルに宿泊しました。

いつものように、まずは地図を買って歩き回るつもりでしたが、 ホテルに着いて二階の部屋へ上がろうとした瞬間、 階段を上るだけで息が上がり、精いっぱい。 部屋に入ってベッドに横になると、起き上がる気力が湧きません。

「空気が薄い」とはこういうことか―― 頭も少し痛み、お腹もすいているのに動けず、 その日は何もできずに静かに休むことにしました。

■ 翌朝は回復、まずはポタラ宮へ

翌朝、頭痛も消え、ようやく元気が戻りました。 ホテル近くの幅2mほどの小さな雑貨屋でバナナと飲み物を買い、 今回の第一目的地であるポタラ宮へ向かいました。

しかし、もらえたのは入場整理券のみ。 入場できるのは翌日とのこと。 そこで予定を変更し、ラサから北へ約100kmの場所にある 納木错(ナムツォ)湖へバスで向かうことにしました。

■ 標高4700m、天の湖・ナムツォ

納木错の標高は4700m。 酸素ボンベを携帯しての訪問です。

湖の大きさは70km×30kmという巨大な塩湖。 何万年も前に隆起してできたのでしょう。 チベット語で「天の湖」を意味するナムツォは、 その名の通り、空と湖が溶け合うような神々しい景観でした。

湖の向こうには、 万年雪をいただく7000m級のニェンチェンタンラ山脈が横たわり、 静寂の中に圧倒的な美しさが広がっています。

この湖はチベット仏教の聖地であり、 多くの巡礼者が訪れます。 湖を一周する巡礼者もいるほどで、 周囲には祈祷旗(タルチョ)で覆われた仏塔が点在しています。

祈祷旗は五色で、それぞれが自然の元素を表します。

  • 白:雲

  • 赤:火

  • 緑:水

  • 黄:土

  • 青:空

色があせるほど、祈りが風に運ばれた証とされ、縁起が良いとされています。

■ チベットの生活を支えるヤクの糞

この神聖な湖でも、祈祷旗と同じくらいよく見かけるものがあります。 それはヤクの糞です。

チベットでは非常に重要な資源で、 料理や暖房に使われる燃料になります。 牧畜地域では、先人が残した家畜の糞が命綱となり、 その道が次の人々の移動を支える―― そう考えると、ヤクの糞がいかに大切かがよく分かります。

■ 再びラサへ、明日はポタラ宮

午後を過ぎると、また少し頭が痛くなってきました。 標高4700mの場所では、体が正直です。

ラサへ戻り、翌日のポタラ宮訪問に備えました。 いよいよチベットの象徴ともいえる宮殿へ向かいます。

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