平岡 敬・元広島市長の提言

「素直に怒れ──戦争を止めるために、中国と敵対することに意味はない」

広島市長を1991年から2期8年務めた平岡敬(ひらおか たかし)さんは、現在98歳。ご高齢ながら、いまも「アメリカによる核爆弾投下の責任追及」「二度と核兵器が使われない世界をつくるために」などのテーマで講演を続け、新聞・雑誌への寄稿も精力的に行っています。

その平岡さんが最近示した「歴史を学ぶことの重要性」という主張の中から、特に「中国と日本の近年の関係」について語られた部分を紹介します。

歴史を学ぶことの大切さ

平岡さんはまず、日本人の歴史認識の欠落を指摘します。

日本は1931年の満州事変からずっと中国と戦った。多くの日本人は米国と英国に負けたとは思っているが、中国に負けたとは思っていない。そもそも中国と戦争したことすら意識していない。中国との戦争が行き詰まり、米英との戦争に突き進んだのだ。

中国への侵略、そして満洲国建設は明らかな誤りだった──平岡さんはそう断言します。

ところが近年、日本政府は再び中国を敵視する方向へ舵を切りました。安倍政権期には沖縄・与那国島への自衛隊配備が進み、南西諸島の軍事拠点化が加速。さらに2023年、岸田政権は安保三文書を改訂し、敵基地攻撃能力の保有を明記。日本は「専守防衛」から「戦争ができる国」へと道を開いた、と平岡さんは警鐘を鳴らします。

中国と敵対することに意味はない

平岡さんが強調するのは、外交の重要性です。

1972年の日中共同声明には、次の三点が明確に示されています。

  1. 中華人民共和国が唯一の合法政府である(「一つの中国」)

  2. 日本が中国に与えた甚大な損害について、中国は賠償を求めない

  3. いかなる問題も戦争ではなく話し合いで解決する

この共同声明を具体化したものが、後の「日中平和友好条約」です。

平岡さんは言います。

15年間も迷惑をかけ続けた日本に対し、中国は賠償を求めないと言ってくれた。その恩義を日本は忘れてはならない。

これは毛沢東だけの言葉ではなく、蒋介石も「徳を以て接す」と述べ、報復しない姿勢を示しました。 中国側は「日本政府の軍国主義は悪いが、日本人民は違う」と区別して考えてきたのです。

平和への道を開くのは外交・教育・メディア

平岡さんは、戦争への道を開くのも、平和への道を開くのも、最終的には外交と教育、そしてマスメディアの役割だと語ります。

日本は戦争への反省が十分ではなく、歴史を直視しないまま対立を煽れば、望まなくとも戦争は起こる──その危機感が平岡さんの言葉には込められています。

中国と敵対することに意味はない。

いまこそ耳を傾けたい提言

最近の日本では、政府は中国に対し「喧嘩腰外交」、マスメディアは「嫌中報道」が目立ちます。 こうした空気の中で、平岡さんの提言は、私たちが立ち止まり、歴史を見つめ直すための貴重な指針となるはずです。

この言葉を、日本人すべてに届けたい。ぜひ読んでほしいと思います。

参考資料

  • 月刊《地平》 2026年3月31日号

  • 季刊《道》229号

  • Yahoo!ニュースエキスパート(2026年3月5日)

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