中国・興安嶺から日本へ―もう一つの名前を持つ三世代の女たちが、記憶を語り出す
1945年、中国北部、旧満州の山奥・興安嶺で拾われて育った王春連、その娘の蒼紅梅、孫娘の楊柳の三世代の物語。中国では「日本鬼子」と呼ばれ、文化大革命では徹底的な弾圧に晒された王春連。医師を志すも、社会からそれを許されなかった紅梅。日本に帰国後、壮絶ないじめにあった兄をもつ楊柳。女性が自らに語るように苛酷な過去と向き合い、三世代それぞれのアイデンティティの不安が錯綜する。「中国残留孤児」の血脈をリアルかつみずみずしく描く物語。中国帰国者の歴史、現状を知る上で一読すべき書です。(河内美穂著・現代書館新刊情報より、1800円+税)