蔡英文総統や頼清徳次期総統などと面会
小池百合子東京都知事が2月7日、台湾を訪問、蔡英文総統や5月に就任する頼清徳次期総統などと相次いで面会した。中国外務省は「どんな形でも、台湾との公式な交流には断固として反対する」と批判。これに対し小池知事は、「都市外交は重要」と反論した。
しかし、今年は6月20日告示、7月7日投開票で東京都知事選が行われる予定。小池知事にとっては、3選を狙って出馬するか、それとも国政復帰で初の女性首相を目指すか、思いを巡らしながらの台湾訪問のはず。一昨年の米国・ペロシ下院議長の訪問と同様、中国が強く反対すれば、一躍メディアのヒロインになると考えたのかもしれないが、中国は「台湾独立勢力に政治的に利用されることを避けるよう希望する」と受け流し、記事にもならなかった。
一方、2月8日には立憲民主党や日本共産党と市民団体が野党共闘による統一候補の選定委員会を立ち上げた。呼びかけ人代表は、宇都宮健児弁護士、前川喜平元文部次官など。立憲民主党の手塚仁雄都連幹事長や日本共産党の小池晃書記局長のほか、社民党や東京・生活者ネットワークも出席した。
元日の能登半島地震で大きな問題になったのは、過疎と高齢化が進むなかでの「自治体の疲弊」だ。今回の災害では、道路、水道、電気のインフラが全壊したが、職員も被災し、対応も不十分にならざるを得なかった。避難所も被災者の数に間に合わず、病院や高齢者施設の被災対応も不十分だった。同じことが東京で起きたらどうするか?これがまず、都知事の仕事だ。その態勢づくりのなかでも、充実させなければいけない課題が多いはず。ここでは、多様な要求もあるだろうが、特に「多摩格差」の課題もあるだろう。
そして次に考えなければいけないのは、戦争の危機の中で、過去の歴史への反省と政治姿勢だ。都知事への注文は、関東大震災の際の朝鮮人虐殺をなかったものとしたり、東京大空襲の記録への姿勢がある。神宮外苑問題に見られる野放図な再開発問題もある。中国と違って「地方自治」が憲法で決められている日本の行政。「都市外交」を一概に否定する気はない。しかし、重要なのは、その基盤になる「都民のための行政」がどう貫かれていくかである。(丸山重威・ジャーナリズム研究者、日中友好新聞3月1日号「中国レーダー」より、写真は台湾総統府)