盛唐の王之渙と王翰の「涼州詞」2首を読む
4月7日に開催した第10回「漢詩を読む会」は王之渙と王翰の涼州詞2首を丹羽博之大手前大学教授の解説で読みました。
王之渙(688~742)涼州詞
黄河遠く上る白雲の間 一片の孤城万仞の山
羌笛何ぞ須いん楊柳を怨むを 春光渡らず玉門関
黄河上流の遠く遥かな西の果て、ポツンと立つ砦、途方もない距離感と荒涼とした世界の孤独感。遠い砂漠の前線で涙もかれた兵士の悲しみが突き上げてくる。春の光も届かない所だという絶望的な心境、悲哀を強烈にうたっている。
王 翰(687~726?)涼州詞
葡萄の美酒夜光の杯 飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す
酔うて沙場に臥すとも君笑うこと莫かれ 古来征戦幾人か回る
葡萄酒は西方から伝わった珍しい物、中国ではない西の方にあるとい雰囲気が伝わる。寝転がって飲んでいる者、馬上で琵琶を弾いている者、殺伐とした急き立てられるような寸暇の気晴らし。明日も知れぬ命、その苛酷な運命を紛らわそうと束の間の歓楽。戦場のやりきれない気分が表現されている。
次回は6月9日開催予定です。