人間の悲哀を歌い続けた詩人・杜甫
6月13日、4ヵ月ぶりに開いた「漢詩を読む会」は盛唐の詩人・杜甫の「絶句二首」其二を丹羽博之大手前大学教授の解説で読みました。
杜甫(712~770)河南省鄭州市鞏義の生まれ字は子美。若いころ科挙を受験するが及第できず各地を放浪、李白などと親交を結んだ。安史の乱で賊軍に捕えられ、その後脱出して、新帝・粛宗のもとで左拾遺に任じられた。翌年左遷されたため官位を捨て48歳の時、四川省成都の近くに草堂を建て4年ほどを過ごす。その後、再び各地を転々として苦難の一生を終えた。杜甫は乱で賊軍に捕えられ、幽閉を体験したことで自身の悲しみや外界の事象を歌いながらもその悲しみは常に同じ悲しみを持つ多くの人々へ拡げていこうとする傾向が表れてきた。杜甫は中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜」と称されている。
「絶句二首 其二」
江碧鳥逾白 江碧にして鳥逾々白く
山青花欲然 山は青くして花は燃えんと欲す
今春看又過 今春看のあたり又た過ぐ
何日是帰年 何の日か是帰年
江は深緑に鳥はいよいよ白く、山は早緑に花は燃えんばかりだ。ああ今年の春も私の見つめる目の前を過ぎていこいうとしている。いつの日に故郷へ帰れることやら。
(読み下し文は、中国詩人選集第9巻「杜甫上」岩波より)
次回「漢詩を読む会」は8月8日(土)午後2:30~開催予定