茶色のパンダがいるって知っていますか?

中国・陝西省の秦嶺山脈。その終南山のふもとにある「西安・秦嶺野生動物園」には、世界でただ一頭の“茶色のパンダ”が飼育されています。
名前は「七仔(チーザイ)」。2009年、秦嶺山脈の山中で発見され、保護されました。中国では「チョコレートパンダ」と呼ばれ、親しまれています。

🐾パンダにも種類がある?
パンダは一見するとみんな同じように見えますが、生物学的には2つの亜種に分けられます。
• 四川亜種:四川省や甘粛省の山地に生息。顔がやや長く、クマに似た印象。
• 秦嶺亜種:陝西省・秦嶺山脈に生息。顔が丸く、猫のような雰囲気。
現在、中国にいる野生のパンダは約2,000頭。そのうち秦嶺亜種は約340頭と、比較的少数派です。

🌄なぜ茶色いパンダが生まれるの?
これまでに茶色いパンダが確認されたのは、七仔を含めてわずか7例。すべて秦嶺亜種で、四川亜種では一度も見つかっていません。
なぜ茶色になるのかは、まだ科学的に解明されていません。遺伝的な要因や環境の影響など、研究が進められているところです。
ちなみに七仔はすでに父親になっていますが、子どもは普通の白黒パンダ。茶色が遺伝するとは限らないようです。

🏞秦嶺山脈とは?
秦嶺山脈は甘粛省から河南省まで、約1,600kmにわたって連なる大山脈。標高は2,000〜3,000m級で、アジアモンスーンの流れを遮り、シベリアの寒気を南下させない役割も果たしています。
この山脈は中国の南北を分ける“分水嶺”であり、気候・農業・文化の境界線でもあります。かつて諸葛孔明も悩まされた天然の要塞として知られ、希少動物の宝庫でもあります。
ここにはパンダのほか、金絲猴(キンシコウ)、トキ、ターキンなど、貴重な動物たちが暮らしています。

📸最近また茶色いパンダが!
最近、秦嶺山脈の山中で新たな茶色いパンダが目撃されたというニュースが報道され、写真も公開されました。
1985年に初めて茶色いパンダ「丹々(タンタン)」が発見されて以来、茶色のパンダは非常に珍しい存在。その神秘的な姿に、秦嶺山脈の自然の奥深さを感じずにはいられません。

茶色いパンダは、まだまだ謎に包まれた存在です。これからの研究と発見が楽しみですね。