柳宗元の「江雪」を読む

孤独な境遇を一枚の画幅に託し詠う

第15回「漢詩を読む会」が2月16日に開催されました。テーマは、柳宗元「江雪」、丹羽博之大手前大学教授が解説。また、日本の漢字音について、呉音・漢音・唐音・慣用音の四種類があることを例をあげて紹介しました。

柳宗元(中唐・773~819)、字は子厚、都長安に生まれ育った。21歳の若さで進士に及第、5年後、博学宏詞科にも合格。校書郎・藍田県(陝西省)尉・監察御史裏行を歴官、御史台では、韓愈や同期進士科及第者の劉禹錫と机を並べた。永貞元(805)年33歳の時、王叔文・韋執誼らの引き立てで順宗の親任を得、礼部員外郎となり彼らと共に減税・宦官勢力駆逐・宮女の解放などの政治改革に乗り出す。しかし、病身順宗の退位とともに新政は挫折、彼は絶頂から突き落とされ、邵州(湖南省)刺史、永州司馬、柳州(広西壮族自治区)刺史と左遷され、転任させられ中央に復帰することなく柳州の地に47歳で亡くなった。(写真は百度図片「江雪」より)

  「江雪」 柳宗元 (五言絶句)

千山鳥飛絶 どの山々にも飛ぶ鳥の影は絶え

萬徑人蹤滅 どの小径にも人の足跡は消えた

孤舟蓑笠翁 ただ一艘の小舟、蓑笠つけた老人

獨釣寒江雪 一人で雪の降る中、川面に釣り糸を垂れている

冷えびえとした雪の山や川、それは作者の周囲を取り巻く環境にほかならず、雪の中に釣り糸を垂れて動かぬ老人の姿、それは孤独や失意に耐えて生きる作者の姿を表している。(石川忠久「漢詩鑑賞事典」より)

次回、第16回「漢詩を読む会」は4月20日(土)開催予定

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