中国のAI、世界を揺るがす

1月20日、中国のスタートアップ企業「ディープシーク」が、世界の最先端を行き、追随するものなしと思われていたアメリカの“Chat GPT”を超える性能の生成AI・R1モデルを開発したと発表。

しかも製作にかかった費用はアメリカの10分の1ほどという。世界に衝撃が走った。

ウォール街ではハイテク株が急落、AI半導体メーカ大手のNVIDIA(エヌビディア)は92兆円失ったという。

中国は技術応用に優れ、製品開発や改造に強い反面、新技術の開発には弱いと言われていた。2017年の中国共産党19回大会は技術革新に取り組むことを決議し、それを受けて中国国務院は[AIは未来を牽引する戦略的技術]と位置づけ、その発展スケジュールを決定し発表した。「ディープシーク」R1モデルの誕生にはそうした背景がある。中国のイノベーションが動き出したことを現すものだと言えよう。

これまでは、AI開発にはNVIDIAなどの高価な半導体がたくさん必要とされていたという。しかし、アメリカ政府は急速に発展する中国のデジタル技術に脅威を感じ、2019年から国内企業に中国の通信機器メーカ・華為(ホアウエイ)への半導体の輸出を規制、電子部品やソフトの取引を禁じた。また友好国へ華為の製品を使用しないよう呼び掛けた。さらに人気アプリTik Tokに対してもアプリ配信などを禁止し、アメリカでのTik Tokの事業をアメリカ企業に売却するよう求めるなど、中国企業への締め付けを強めており、ディープシークにもNVIDIA半導体の売却を禁じて来たという。

アメリカは中国のデジタル技術が急速に発展し、また社会実装が進み、世界的に大きな影響力を持つようになって来たことに神経を尖らせている。ディープシークはそうしたアメリカの干渉や制約に直面しながらも技術的にそれを乗り越えた。

新聞報道によると、ディープシークのAIのダウンロードは一時“Chat GPT“を抑えて一位になったという。

アメリカがいろいろ悪口を言ったり、規制したりしているのは、中国のデジタル技術の性能が優れていて、アメリカの脅威になっていることを認めている証拠でないかと思われる。

大西  広先生(京大、慶大名誉教授・日中友好協会本部副理事長)は、『ハイテク分野の覇権を争う中国から突如として有力AIスタートアップが登場したことは、これまでの米国の対中半導体規制が骨抜きになった可能性を示唆する。日経は「米国がオープンソースのAIモデルを規制する事態につながる恐れもある。」と書いていますが、そうなると世のオープンソースの中心は中国になるでしょう。こういう世界を見てみたいものです。要するに技術で「覇権」を握りさえすれば怖いものなし、ということです。いよいよこういう時代がやってきました』とフェイスブックに投稿されている。(県連理事 奥野有造)

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