全国鉄道で電子発票を全面導入!

100年以上にわたり使われてきた紙の鉄道切符に別れを告げ、鉄道のデジタル化が新たな段階へと進みました。2025年10月1日、新中国成立76周年の記念日にあたるこの日から、全国の鉄道旅客輸送において電子発票(電子領収書)が全面的に導入されました。

紙から指先へ——切符の進化が時代を映す
新中国成立当初は、硬い厚紙に手書きで乗車情報が記された切符(硬券)が使われていました。1979年には北京駅で初のコンピューター発行によるソフト紙切符(軟券)が登場。1997年には全国で統一様式のソフト紙切符が普及し、2007年には磁気式の「小さな青い切符」が試験導入され、高速鉄道時代の幕開けを迎えました。
2020年には全国で電子切符が導入され、身分証ひとつで乗車できる「一証通行」が現実のものとなりました。そして今、電子発票の全面導入により、領収書の取得や経費精算がワンタッチで可能になりました。
「窓口での購入、電話予約、券売機での発券……すべて経験しましたが、今では領収書も電子化され、何度でもダウンロード・印刷できるようになりました」と語るのは、青島への高鉄旅行を予定している肖さん。鉄道利用の利便性は年々向上しています。

利便性の向上は、販売方式の進化から
インターネット販売システム「12306」が登場して以来、登録ユーザーは8億人を超え、現在では約85%の切符がオンラインで販売されています。
切符の形の変化は、鉄道業界の進化を記録するだけでなく、国家の発展と時代の進歩を映す鏡でもあります。
1999年、初の「国慶節ゴールデンウィーク」では、鉄道の一日あたりの旅客数は400万人未満でした。当時の切符購入は、混雑・騒音・長時間待ちが当たり前でした。
2013年10月1日には、旅客数が初めて1000万人を突破。2か月後には「12306」スマートフォンアプリが登場し、指先ひとつで切符が買えるようになりました。
2023年9月29日には、1日で2000万人以上が鉄道を利用。「加長版ゴールデンウィーク」と呼ばれたこの期間、12306の一日あたりのアクセス数は500億回に達しました。

サービスの進化が旅をもっと快適に
モバイル決済、キャンセル待ち予約、座席指定、インターネット注文の食事、学生証のオンライン認証、高齢者向けの改良やバリアフリー対応など、サービスは次々と進化し、利用者から高い評価を得ています。
2025年10月1日以降、電子発票が全面導入される一方で、鉄道部門は紙の行程案内や、オフラインでの電子発票申請窓口、代理購入者向けの発行サービスも継続。高齢者やインターネット利用が難しい方々にも配慮されています。
「切符は鉄道職員から旅客への“招待状”です。形が変わっても、目的は旅をより便利にすることです」と語るのは、中国鉄道科学研究院の首席研究員であり、12306科創センター副主任の単杏花氏。鉄道のデジタル化・スマート化を進める中で、12306の機能をさらに充実させ、より快適で効率的なサービスを提供していくと述べています。