万人坑=人捨て場を知る旅を通じて現地で確認する侵略と加害の実態―いま問われる私たちの歴史認識
2019年8月10日、青木茂著「華南と華中の万人坑」―中国人強制連行・強制労働を知る旅(花伝社)が出版されました。自ら引き起こした侵略戦争において日本が中国本土に残した傷跡、万人坑が中国各地の至る所に今も数えきれないほど現存しています。華南と華中の万人坑を訪れた著者が、その背景にある中国人強制連行・強制労働の惨状などをルポ形式で紹介しています。膨大な犠牲者が埋められた現場と、当時を知る人たちの証言を前に、私たちの歴史認識がいま問われています。
犠牲者の多くは、炭鉱や鉄鉱などの鉱山や軍事要塞、巨大ダムなどの土建工事現場などで強制労働させられ、主に過労と飢えにより衰弱死(過労死)させられた中国人であり、主要な「犯人」(加害者)は日本の民間営利企業です。日本で話題にされる中国人強制連行・強制労働のほとんどは、日本国内に連行されてきて花岡鉱山鹿島事業所などで強制労働させられた約四万人の被害者のことであり、中国本土(大陸)における強制連行・強制労働が日本で話題にされることはほとんどありません。
その中国本土における強制労働の被害者数は、傀儡国家「満州国」をでっちあげ日本が占領支配した東北で1640万人、「満州国」の南側に位置し、アジア太平洋戦争の「戦力培養補給」の基地だと日本が位置付けた華北では2000万人にもなる。さらに華中と華南でも最低10万人単位、おそらく100万人単位の強制労働が行われていることを考えれば、15年戦争の期間中に中国本土(大陸)で日本により強制労働させられた中国人被害者は4000万人(概略)にもなるというのが「万人坑を知る旅」訪中団の一員として7回にわたり中国本土を歩き回り強制労働と万人坑の現場を確認してきた私の結論です。「華南と華中の万人坑」著者・青木茂)
「華南と華中の万人坑」中国人強制連行・強制労働を知る旅(青木茂著 発行・花伝社 A5判並製256頁・本体1700円+税)