佟岩先生の「日中漢字比べ」

日中友好協会が毎月3回定期発行している日中友好新聞に、月1回連載されている「日中漢字比べ」が実に面白く大へん役に立つ記事として好評です。執筆者は西日本華文教育者協会理事で協会兵庫県連合会の中国語講座講師も務める中国遼寧省出身の佟岩先生です。日中友好新聞最新号掲載分より紹介します。

「太」と「胖」と「肥」

丸々と太った赤ちゃんは、中国語で「大胖嬰儿(嬰児)」だ。でも丸々と太った豚は「大肥猪」と言う。「太」と「胖」と「肥」は何が違うのか。「太」は元々極端に大きく偉大なものを指す。「太陽」、「太古」、「太平」、「太鼓」、「太子」、「太閤」などはそれにあたる。

日本語では、「太」に人が肥えるという意味も加わった。食べ物が乏しい昔は、肥えていることが偉大さの象徴だったかも知れない。中国語の「太」には、そのような意味はない。

「胖」は「月(肉)」と「半」からなり、もともと生贄(いけにえ)の肉の半分を意味していた。「半」は「般」に通じ、大きいという意味もあった。そこから人の身体が大きく太ることも「胖」で表すようになった。

 そして「肥」は「月(肉)」と「巴」からなる。「巴」はとぐろを巻いた大蛇の象形文字で、「肥」は肉付きがよい大きなものを指すようになった。「肥羊」、「肥土」、「肥満」などである。中国で豚肉を買う時、「肥肉」は脂身、「痩肉」は赤身である。

 「中年太り」は、中国語では「中年的体胖」、ダイエットは「减肥」という。中国で、太っている人に対して「肥」という漢字を使ってしまうと、「脂肪だらけ」とか「太った動物」のように貶す(けなす)意味になりかねない。くれぐれも注意して下さい。(日中友好新聞2019年10月15日号「日中漢字比べ」より。カットは百度百科

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