日本中国友好協会本部は、4月21日に菅首相が靖国神社の春季例大祭に合わせ真榊を奉納したことに対し抗議文を首相宛てに送付しました。以下は送付した抗議文です。
内閣総理大臣 菅義偉殿
菅首相による靖国神社への真榊奉納に抗議する
靖国神社の春季例大祭にあたる21日、菅義偉首相は「内閣総理大臣」の肩書で靖国神社に真榊を奉納した。菅首相の靖国神社への供物の奉納は、昨年10月の同神社秋季例大祭時に続くものであり、首相による春秋の例大祭での真榊奉納と終戦記念日の玉串料奉納が毎年繰り返されている。
靖国神社は侵略戦争に国民を動員する精神的な支柱であっただけでなく、A級戦犯を合祀し、侵略戦争を美化・正当化し宣伝する施設となっている。政教分離を定めた憲法に違反する行為は、国を代表する首相が侵略戦争を正当化し、「大東亜戦争聖戦論」の立場に立つことを内外に示し、日本が再び軍国主義の道を歩むのではないかとの国際的な疑念を生じさせるものである。
さらに、菅首相とバイデン米大統領が16日(日本時間17日)に発表した共同声明で台湾問題に言及したことで、中国政府の「ひとつの中国」の立場を尊重してきた日本の基本的な立場への疑念が生じ、台湾海峡の軍事的な対立をあおる懸念が強まっている中で、靖国神社への真榊奉納が日中両国間の信頼関係を大きく損なうことを強く危惧する。
日本中国友好協会は、侵略戦争の美化・正当化と宣伝につながる靖国神社への真榊の奉納と参拝に強く抗議するとともに、国際社会が共有する歴史認識を重視し、日中平和友好条約をはじめとした日中両政府間で確認された精神のもとに、アジアと世界の平和と安定のために平和国家としての役割を果たすことを日本政府に強く求めるものである。
2021年4月22日
日本中国友好協会(会長 井上久士)