内閣総理大臣 岸田文雄殿
靖国神社の秋季例大祭にあたる17日、岸田文雄首相は就任後初めて「内閣総理大臣」の肩書で靖国神社に真榊を奉納した。岸田首相の靖国神社への供物の奉納は、安倍元首相、菅前首相に続くものであり、首相による春秋の例大祭での真榊奉納と終戦記念日の玉串料奉納が毎年繰り返されている。
靖国神社は侵略戦争に国民を動員する精神的な支柱であっただけでなく、侵略戦争を推し進めたA級戦犯を合祀し、今もなお侵略戦争を美化・正当化し、「大東亜戦争聖戦論」の立場に立つことを内外に示し、歴史の事実を見誤る日本が再び危険な道に足を踏み入れるのではないかとの国際的な疑念を生じさせるものである。さらに、この秋季例大祭にあたり、退任直後の菅義偉前首相が「前内閣総理大臣」の肩書で参拝したことは、安倍元首相の退任直後の参拝とあわせて、日本を代表する政治家の「本音」が侵略戦争正当化・美化にあることを内外に明らかにしたと言わざるを得ない。
日本中国友好協会は、侵略戦争の美化・正当化と宣伝につながる靖国神社への真榊の奉納と参拝に強く抗議するとともに、国際社会が共有する歴史認識を重視し、日中平和友好条約をはじめとした日中両政府の公約の精神のもとに、アジアと世界の平和と安定のために平和国家としての役割を果たすことを日本政府に強く求めるものである。
2021年10月18日
日本中国友好協会(会長 井上久士)
写真はA級戦犯が合祀されている靖国神社(Wikipedia より)