中国の高速鉄道、営業距離5万キロを突破

中国の高速鉄道、営業距離5万キロを突破
──「高鉄がつくる豊かな暮らし」が現実に

2025年12月26日、西安〜延安間の高速鉄道が開業し、中国の高速鉄道(高鉄)の営業距離はついに5万キロを超えました。「高鉄が豊かな生活をつくる」「高鉄に乗って中国を旅する」という言葉が、いまや広く共有されるようになっています。
「十四五」期間(2021〜2025年)には、高鉄ネットワークの規模や品質、設備の近代化が大きく進み、技術力は世界の標準をリード。旅客サービスの向上や産業への波及効果も顕著で、中国式現代化を支える重要な基盤となりました。

1. 世界最大規模の高速鉄道網が完成
この5年間で、中国は1万2千キロの新線を開業し、全国の高鉄総延長は5万キロを突破。
2020年末と比べて約32%増加しました。
• 128の県が新たに「高鉄時代」へ
• 「八縦八横」ネットワークがさらに充実
• 500km圏は1〜2時間、1000km圏は4時間、2000km圏は8時間で移動可能に
都市間の人・モノ・情報の流れが加速し、地域経済の一体化が進んでいます。現在、高鉄は**人口50万以上の都市の97%**をカバーし、営業距離は世界1位です。

2. 輸送力とサービスが大幅に向上
高鉄は今や中国の旅客輸送の主力です。
• 動車組(高速列車)5233編成
• うち「復興号」2248.75編成(大幅増)
• 旅客の**80%**を高鉄が輸送
• 1日平均9346本運行、936万人が利用
• ピーク時は1日1600万人が移動
また、12306オンラインチケットシステムの強化、電子チケットの普及、定期券・回数券の導入、ネット注文の車内受け取り、ペット輸送、シニア向けサービスなど、利便性が大きく向上しました。
さらに、高鉄のネットワークを活かした高速宅配サービスも拡大し、最短4時間の「高鉄急送」は182都市に広がっています。

3. 高鉄技術は世界の新基準に
中国は産学研の連携を強化し、独自の高鉄技術体系を構築しました。
• 「復興号」をはじめとする多くの技術成果
• CR450試験車が登場(2024年)
• 走行性能・省エネ・静粛性などで世界トップ
• 試験で時速896kmの相対交会速度を記録
• 国際標準化にも積極参加(UIC・ISO・IECで300件以上)
これにより、中国の高鉄技術は世界的な影響力を高めています。

4. 国家戦略と地域発展を強力に後押し
高鉄は、国家の主要戦略を支える重要インフラとして機能しています。
• 京津冀、長三角、粤港澳大湾区などの一体化を促進
• 西部開発、東北振興、中部崛起などを支援
• 辺境・少数民族地域・旧革命区の交通改善
• 産業チェーンの拡大で経済を牽引
環境面でも効果は大きく、同距離の移動で
• エネルギー消費は飛行機の約18%
• CO₂排出は飛行機の6%、自動車の11%
「十四五」期間のCO₂削減効果は約1444万トンと試算されています。

5. 世界の高速鉄道発展に中国の知恵を提供
中国は「一帯一路」を通じて高鉄技術を海外にも展開しています。
• インドネシア・ジャカルタ〜バンドン高鉄
• 所要時間が3時間→46分
• 旅客1300万人超
• 匈塞鉄道(セルビア区間)
• EU規格と接続し、バルカンで初の高鉄に
• チケットシステムはインドネシア、ラオス、セルビア、スリランカでも活用
高鉄は国際協力の象徴となり、多くの国の移動を変えつつあります。

今後の展望
中国国家鉄路集団は、今後も世界一流の鉄道企業をめざし、
• より安全
• より高速
• よりスマート
• より快適
• より環境に優しい
高鉄ネットワークの構築を進める方針です。