「辛亥革命」を学ぶ―中国近現代史を学ぶ会

中華民国臨時政府の成立と宣統帝退位

清朝のもとでの立憲君主制実現という方向に向かうかに見えた20世紀初頭の中国であるが、その転機は改革を支えていた立憲派の離反から始まった。自らの主導による政治体制の実現を夢見ていた彼らにとり、1911年5月に組織された最初の近代内閣が皇族を首班として漢人閣僚は僅か3分の1足らずを占める陣容であったことは、到底納得できるものではなかった。再組閣が拒絶されたことで、清朝に対する信頼は一挙に低下し、さらに四川省で鉄道国有化をめぐり発生した保路運動への不満を募らせていたところへ、10月10日に湖北省武昌で武装蜂起が発生した。革命派の工作で蜂起した清朝の新式軍隊に在地の立憲派も協力し、湖北軍政府の樹立を宣言した。これを契機として各地で蜂起が続発し、ここに辛亥革命が勃発した。

武昌蜂起の勃発後、清朝は最精鋭の北洋軍を南下させて湖北の革命蜂起鎮圧作戦を展開し、さらに隠棲中の袁世凱を総理大臣に起用して事態の収拾を図った。袁は有利に鎮圧作戦を展開することで圧力をかけつつ、革命勢力側の交渉による解決を持ちかけた。その結果、共和側の受諾と引き替えに自らの大総統就任を認めさせ、1912年2月に宣統帝の退位詔書が発せられて清朝は滅亡した。そして3月に袁は臨時大総統の孫文にかわって大総統に就任し、首都も北京に移転した。(プリント資料「辛亥革命」と孫文より。写真は清朝末期から中華民国建国直後の硬貨。左は袁世凱、中は孫文)

 

次回学習会の日程

日時:2024年2月24日(土)午後2時~4時

会場:日中友好協会兵庫県連合会「教室」

JR摂津本山駅北口を東へ線路沿いに徒歩1~2分「甲南ビラ」2F

参加費(資料代):500円

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net

みんなで学ぶ「中国近現代史学習会」

清朝を打倒し、アジア初の共和国家を樹立

昨年5月から月1回開催を続けてきたみんなで学ぶ「中国近現代史」学習会は明末から清朝が衰退していく過程までを学びました。超大国だった清はアヘン戦争や国内の太平天国の乱、義和団事件などにより国内の混乱、欧米列強による港の開港、領土の割譲などに加え莫大な賠償金支払いが続き弱体していきます。

前回(12月23日)の学習会では、テキスト(中国史・下、山川出版社)第6章の復習とまとめを年表で確認しながら辿りました。現代の中国領土は清朝時代の版図が原型となっているとのこと。現在、習近平政権がスローガンとしている「中国の夢・中華民族の偉大な復興」の意味が学習により少し見えてきたような気がします。次回学習会は下記の日程で開催しましす。(写真はwikipediaより)

日時:2024年1月27日(土)午後2時~4時

会場:日中友好協会兵庫県連合会「教室」

JR摂津本山駅北口を東へ線路沿いに徒歩1~2分「甲南ビラ」201号

テキスト:「中国史・下」山川出版社

第7章:清末の改革から革命へ―中華復興の試み―辛亥革命・東アジア初の共和国樹立

プリント教材を用意しますのでテキストがなくても参加できます。

参加費:500円

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

参加予約は下記へ

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net

中国歴史講座「中国の最新考古事情」

来村多加史教授が「黄河・長江文明」で講演

日中友好協会加古川支部主催の中国歴史講座新シリーズの第1回が7月22日(土)午後、加古川市の東播磨生活創造センターで開催されました。今シリーズは全6回(2023年7月~2026年3月)が予定されていて、古代史フアンからも好評の講座です。

今回のテーマは―中国の最新考古事情「黄河・長江文明の新発見」―、来村多加史阪南大学国際観光学部教授が約1時間半にわたり、新石器時代前期から後期に至る、中国で調査発掘された土器や青銅器などについて、年表や地図、絵、写真入りの詳しい手づくり資料と映像を映しながら講演しました。

先ず、新石器時代の遺跡について地図と写真で示しその位置と時代を解説。北から、牛河梁遺跡(紅山文化期)・西水坡遺跡(仰韶文化期)・陶寺遺跡(龍山文化期)・姜寨遺跡(仰韶文化期)・良渚遺跡群(新石器時代後期)・三星堆遺跡(殷代)・河姆渡遺跡(新石器時代中期)を地図上で示し、それら遺跡全てについて、特徴や出土品、集落の想像図などを示しわかりやすく説明しました。

参加者から、三星堆に政権はあったのかとの質問に、殷の人が逃げてきて文化を作ったのではないかと。三星堆遺跡発掘では調査員は宙刷りの状態で慎重な発掘作業を続けているという。遺跡発掘で人骨が残っている所と残っていない所があるがどういうことかとの質問に、土の質の違いによるもので、日本より中国の土質の方が残りやすい、水浸しの所も残る確率は高いとのこと。龍山文化の遺跡から発掘された面(顔)は彫が深いように思うなど講演を聞いて次々と質問や感想が出ました。

中国歴史講座「黄河・長江文明の新発見」

北村多加史先生の中国最新考古学事情

東アジアを視点に、古代中国と日本の歴史を学ぶ「中国歴史講座」開催を続けている日中友好協会加古川は、新シリーズとして中国の最新考古学事情「黄河・長江文明の新発見」をテーマにその第1回目を7月22日に開催します。

中国でも日本でも次々発見される歴史遺跡。中学・高校時代に学んだ知識では時代遅れ。新シリーズ「中国の最新考古学事情」と題して連続6回の講座です。新しい視点で中国の古代文明の実像を北村先生手づくりのテキストで学びます。どなたでも参加できますのでお誘い合わせてご参加下さい。

日時:2023年7月22日(土)午後2時~4時30分(質疑応答含む)

会場:東播磨生活創造センター(かこむ)1F講座研修室

JR加古川駅を南東へ徒歩約6分、県加古川総合庁舎

講師:北村多加史 阪南大学教授

テーマ:黄河・長江文明の新発見

参加資料代:1,000円、大学生800円、高校生以下無料

主催:日本中国友好協会加古川支部

お問い合わせ:090-8753-5972(前田)

講演「日中文化交流」の歴史 Zoomでライブ配信

講演は二部構成、どなたでも参加できます!

日中友好協会法政大学教職員支部が6月24日に総会を開催します。総会の後、下記の要項で講演が行われZoomでライブ配信されます。どなたでも参加できますのでご参加下さい。講演は二部構成でパワーポイントの図像を紹介しながら行われます。

日時:2023年6月24日(土)14:30~16:30

講演者:鈴木靖(法政大学国際文化学部教授)

鈴木先生は、2022年の1年間、日中友好新聞に「日中文化交流史」をテーマに連載を担当され、「中国を知る」きっかけとしての学習会とも位置付けています。

第一部「日本人とは」

日本人が誕生するまでの過程を、近年研究が進んでいる古気象学や分子人類学の成果を踏まえて紹介します。

第二部「日本文化交流が作り上げた日本」

渡来人を通じた日本と中国の文化交流が、「日本」という国家を成立させるまでの歴史について紹介します。

下記のURL・ID・パスコードからご参加下さい。

https://us06web.zoom.us/j/81140298027?pwd=V1lWeDd0dWRPNVZmZDI2NkM1VHF5dz09

(ミーティングID: 811 4029 8027 パスコード: 756480)

日中友好協会法政大学教職員支部

みんなで学ぶ「中国近現代史」学習会始まる

今の中国を理解するためには近現代史の学習から

中国を理解するために始めた「みんなで学ぶ  中国近現代学習会」の第1回は5月20日(土)午後開催し7人が参加しました。テキスト「中国史」下巻(山川出版社)第5章「中華帝国の繁栄、1.明帝国の成立―元末期から明帝国へ、2.明末~激流の時代」についてページ毎のポイントをまとめた詳しいプリントを教材として感想や疑問点を出し合いながら学びました。プリントの一部を紹介します。

「明帝国の建設」の項の一部では、「朱元璋集団の特徴。第一は、困難な戦いを勝ち抜いてきた軍団の質実剛健の気風。元朝の自由放任的な政策の下で貧困農民を犠牲にして繁栄していた都市や先進地域中心の社会経済に対して、強い引き締め政策をとった。第二は、流民的略奪集団と一線を画する儒教的な正統主義である。もともと朱元璋は、白蓮教反乱集団の一武将として頭角を現したが、のちに知識人や儒学者をブレーンにしたことにより、刹那的な富貴より、天下をとるという大目標に向けて、有徳の君主の伝統的モデルに沿って自らを律するようになる。

その後、朱元璋は、兵士による婦女財物の略奪や焼き討ちを厳罰をもって禁じた。白蓮教をさえ「妖術」と罵り、かつて自分が属していた「紅巾軍」にたいし、「都市を焼き尽くし士大夫を殺戮した」としてその破壊的傾向を糾弾した。帝位につく以前から、科挙制度や祭壇の建設、律令の編纂など歴代王朝の伝統に則る諸制度の整備が学者グループによって精力的にすすめられ、「天命を受けた仁義ある君主」のイメージに支えられ朱元璋は新王朝を樹立した。朱元璋自身は、儒学的教養とは縁のない環境に育ち、成人後も戦争に明け暮れていたにもかかわらず、皇帝となった時は儒教の古典や歴史に対する相当の素養を身につけていた。

第二回学習会にご参加下さい!

日時:2023年6月17日(土)午後2時~4時

会場:日中友好協会兵庫県連合会「教室」

テキスト「中国史」下 お持ちの方はご持参下さい。

テキストがなくても参加できます。

資料代:500円

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax: 078-412-2228

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net

第2回「中国問題懇談会」オンライン開催

―国際比較からみる次世代の人材育成

近年の中国において躍進めざましい分野の一つに教育が挙げられる。今世紀に入り高等教育が急速に発展し、大衆化時代へ突入、中間層の拡大を促している。苛酷な競争で知られる「高考」(全国統一入試)の改革が進み、多様な選抜方式が導入され注目を浴びている。

特に女子の大学進学者が増加し、理系進路を選択する割合は日本をはるかに凌駕する。変革期の中国の教育問題、次世代の人材育成について東アジア諸国、欧米、日本を含む国際比較の観点から広く検討します。

日時:2023年3月4日(土)午後2時~4時30分

形式:オンライン

講師紹介 詳しくは添付のチラシをご覧下さい。

南部広孝(京都大学教授・専門:比較教育学

河野銀子(山形大学教授・専門:教育社会学、ジェンダーと科学技術

大濱慶子(神戸学院大学教授・専門:比較教育学、ジェンダー研究

参加無料

◇「研究中国」NO.15を事前に読んでのご参加をお勧めします。

参加方法:所属と氏名を表記のうえ下記のURL、ミーティングID、パスコードでご参加下さい。

https://us02web.zoom.us/j/83176840703?pwd=QktVbkJzRVFpM0VqbGZxYWJRYm1PZz09

ミーティングID: 831  7684  0703

パスコード:148554

主催:日本中国友好協会 「研究中国」刊行委員会

Tel: 03-5839-2140    Fax:03-5839-2141

E-mail: nicchu@jcfa-net.gr.jp

中国認識の21世紀的転換点を眺望する

「日中国交正常化50周年記念講演会」西村成雄前孫文記念館副館長・大阪大学名誉教授が中国を語る

日中国交正常化50周年を記念し、日本中国友好協会兵庫県連合会は12月11日午後、西村成雄前孫文記念館副館長・大阪大学名誉教授を迎え、「中国はどこへ行く―中国共産党第20回大会~3期目を迎えた習近平体制」と題し神戸市内で記念講演会を開催し市民45人が参加しました。100分にわたる講演の一部を紹介します。

西村成雄氏は唐代から清朝時代の歴史を振り返り辛亥革命(1911年)以降、皇帝政治から共和制へ移行していく中国の国家体制が出来る過程や現在の中国をめぐる情勢について25ページにわたる資料を提示し、その歴史の延長線上にある現在の中国について語りました。中国をどう理解するか、3点をあげ解説しました。1、「六角形の中国(6領域から中国への認識)」、①政治②軍事③経済④金融⑤思想⑥社会、この分野が今後どうなっていくか、その特徴などを見ていけば歴史的発展段階がわかるのではないか。いま米国はこの領域で中国を抑え込もうとしている。2、「党国体制」、党が国家を運営するという考えがなぜ生まれたのか、政治の構造はどうなっているのかについて、これまでの近現代の歴史を25年毎の周期で考えてみる必要がある。清朝第6代皇帝・乾隆帝の時代に3年間、国民の水準を引き上げるためとして訓政(国民を指導する体制)を執った歴史がある。乾隆帝没(1799年)後、アヘン戦争、辛亥革命を経る中で国家体制について、皇帝政治を倒し共和制へと体制移行する過程で中国は、英国型のブルジョワジー政党制やドイツ、日本型の官僚主導の政治体制ではなくロシア型の革命党主導の政治体制を執り、今日まで引き続がれてきた歴史を解説しました。3、「世界の中の中国」、世界における中国の位置付け、国際的枠組みを知っておく必要がある。2010年、中国のGDPは日本を超え、現在は3倍となっている。米国に次ぐ世界第2の経済大国となり、これが軍事力にも影響を及ぼしている。この中国と今後どう付き合っていけばよいのか、先ずは相手(中国)のことを正しく、よく知ることです。その上で、それを超える論理を考えることが大事ですと語りました。

日中国交正常化50周年記念講演会「中国はどこへ行く」

中国共産党第20回大会―3期目を迎えた習近平体制

中国共産党第20回全国代表大会が10月16日~22日に北京で開催されました。大会では新任4人を含む政治局常務委員7人が選出され、3期目となる習近平総書記の新体制がスタートしました。台湾統一や減速が伝えられる経済問題、特色ある社会主義強国をめざす中国の今後の行方について西村成雄氏に講演頂きます。(写真:新華社)

日時:2022年12月11日(日)14:00~16:00

会場:神戸市立兵庫区文化センター講習室

(JR兵庫駅北側、陸橋を山側へ渡ったところ)

講師 : 西村成雄   前 孫文記念館副館長

テーマ「中国はどこへ行く~中国共産党第20回大会―3期目を迎えた習近平体制」

参加協力費:500円         定員:70名

西村成雄 講師:大阪外国語大学卒業・東京都立大学大学院修了、大阪外国語大学・大阪大学・放送大学教員・孫文記念館など。

著書:『中国近現代東北地域史研究』『20世紀中国の政治空間:中華民族的国民国家の凝縮力』『中国の近現代史をどう見るか(岩波書店)』など。

必ずマスク着用でご参加お願いします。

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax:078-412-2228 

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net

高松塚壁画発見50周年―来村多加史教授が記念講演

高松塚壁画の源流が唐王朝にあると思わせるもの

7月30日(土)午後、日中友好協会加古川支部は、高松塚壁画発見50周年を記念し講演会を開催しました。講演会では来村多加史阪南大学国際観光学部教授が「画家が伝えた中国の最先端文化」と題し約2時間講演しました。その一端を紹介します。

唐墓、章懐太子墓・懿徳(イトク)太子墓・永泰公主墓の3墓の墓室壁画は一流の画家により描かれた名作となっている。700年前後に築造されたものと推測される高松塚古墳の壁画は、3墓の壁画と時期をほぼ一にするものであるだけに、それらが比較検討されるのは当然のことであろう。高松塚壁画の画家が黄文連本実であるならば、彼が渡航して唐朝の絵画を学んだ時期は、3墓が営まれた時期よりも半世紀前である。比較するならば、その時期かそれ以前の唐墓壁画を引き合いに出すべきであろう。高松塚壁画の構図や運筆には、唐士(もろこし)においても一流と認められる技量が感じられる。よって、最先端の文化を担う画家たちの作品を見なければならない。

東アジアの墓室壁画概説

1、中国 およそ西周時代から墓室壁画の発想が現れるが、発見例は限られている本格的に発展するのは前漢時代になってからのことである。主題は、神々の世界を天井に表現し、魂の「昇天」を願うものであったが、後漢時代になると、壁面に現実世界の絵画が描かれ、被葬者が生前に送った生活を再現して見せるようになる。南北朝時代に西安や洛陽などの黄土地帯に深い土洞墓が掘削されるようになると、墓室には侍従や侍女に囲まれた屋内での生活風景が描かれ、墓道には、威儀を正して外出する儀仗出行の場面が描かれるようになった。

2、朝鮮半島 主に高句麗の壁画が残されている。高句麗は五胡十六国時代から強大化し、拠点を遼東から朝鮮半島の北部へと移していった。後期の都である平壤は、かつて漢民族の支配地であっただけに、漢民族の文化がよく残り、壁画の方面でも大きく影響を受けた。また南北朝時代には南朝との交流もあって、その影響を受けている。早くから受容した仏教的な色彩も強い。

3、日本 古墳時代後期から九州を中心に装飾古墳が築かれたが、抽象的なデザインが多く、具象的なものも原始絵画の域を出るものではなかった。飛鳥時代になって、中国との直接的な交流が始まるなか、遣唐使に同行して留学した僧侶や学生が唐文化をもたらした。キトラ・高松塚古墳の壁画もその交流史の中で語るべきでである。