講演「ポスト・コロナの世界と中国」

中国が東アジアと世界における「平和・反核・軍縮・民主主義・環境保全」に向かってリーダーシップを発揮することを願う

12月13日、加古川市で開催された日中友好協会加古川支部主催の「中国問題学習講演会」で山本恒人大阪経済大学名誉教授が講演した内容の要旨を紹介します。

ポストコロナをリードする中国

中国問題を見る場合、トータルに中国を考えることが大事で、新型コロナ感染症への対応も、当初、武漢の「医師問題」に見られる失敗といわれる「欠陥と不足」を認め、初動の遅れが「建国以来の公共衛生事件」を招いた(習近平)。初動の遅れを反省し、病院の新設などの「集中的、徹底的対応」をとり、現在のコロナ感染症の統計を見ると殆ど封じ込めた状態にあるといえる。

拡大を止める速さが経済回復のテンポを決める

データをもとに、「感染拡大のストップのスピードが、経済回復のテンポを制す」として、中国のGDPの推移を他国と比較して説明。

米中は「関与」から「分離」へ

米中の経済対立とその歴史的な経緯を、ニクソン時代のキッシンジャー国務長官の「対中関与」と対比し、現ポンペイオ国務長官スピーチでの「対中関与政策を根本的に転換」し、価値観の異なる中国との全面的な対決、すなわち冷戦期のイデオロギー対立に類似した世界を見越していると説明。

中国の発展方向、三つの段階で目標、国民所得の底上げ

中国の国家発展方向について、今年開催の党19期五中全会決定で簡潔に述べている、2020年までの第一段階「小康社会の全面達成。貧困ゼロ。2035年の第二段階で近代化基本的に達成。第三段階は2050年、米・独・日に並ぶ。投資主導型から消費主導型へ。外需から内需へ。国民所得の底上げ、内需を大きくする方向、格差を縮小、先進国を目指す。

香港・台湾・少数民族問題

香港・台湾・少数民族についてその問題点を説明。台湾の「一国二制度」は切り離すことのできない「一体」概念で五十年という期間は創造的で動的な過程である。また、一国二制度とは、「自治」を進めながら国の「秩序と統一」を図り、どういう国家を建設していくかという「世界史的課題」なのである(丸山重威・日中友好新聞)。なお、香港市民、学生は、「香港独立」論や「暴力肯定」とは一線を画している。台湾については、「台湾人が共有するSARSの記憶」をもとに「水際作戦」「マスクの市場管理」など早期の対応が成功した。

大漢民族主義の風(文革期の如し)

今、最も懸念されている問題としての少数民族問題を取り上げ、習近平演説での「正しい国家観、歴史観、民族観、文化観、宗教観を確立」するための教育強化を指示。その中で、「イスラム教の中国化を堅持せよ」と語り、ウイグル族などイスラム系少数民族の信仰を党の指導下に置き、社会主義的価値観と融合させるよう求めている。また、内モンゴルで今年9月の新学期から「モンゴル語」での教育を制限。来年以降は道徳や歴史の授業も漢語の教科書にすると表明、など大漢民族主義の風が強まっていくことが懸念される。

日中韓の連帯こそ東アジア・世界への貢献

最後に、「中国は、米国と共にアジア軍拡を主導していると見られている。中国の経済発展と豊かさへの前進は称賛に値するが、平和・軍縮・自由と民主主義の旗手たりえていない」(井手啓二氏)の指摘に同意しつつ、この課題解決は中国だけでなく日本の課題でもある。明治以来の中国と東への侵略と加害の「歴史の克服」は国民共通の課題である。アメリカによる「中国脅威論」に追随し、憲法改悪・戦争への道を突進する日本の現状にストップをかけるのは私たちの責任である。その主体的な歩みこそ、中国が東アジアと世界における「平和・反核・軍縮・民主主義・環境保全」に向かってリーダーシップを発揮する時代を迎える保障となり、励ましとなる。(M)

中国百科検定に向け「中国を知る学習会」

第9回「中国百科検定」は2021年3月20日、兵庫県民会館で実施

第8回「中国百科検定は11月29日に全国20か所で行われ、165人が受験しました。第9回検定は2021年3月20日(土・祝)に実施されます。受験申込みは12月1日~2021年2月20日までとなっています。協会兵庫県連合会は、第9回検定を神戸市中央区の「兵庫県民会館」で実施します。検定に向け、中国を正しく知る機会として、2021年1月より連続5回の「中国を知る学習会」を開催します。検定を受験しない方ももちろん参加できます。

緊急事態宣言発出により「中国を知る学習会」は中止しています。改めて日程はお知らせします。

  • 1月13日は27日に延期しました。

会場:日中友好協会兵庫県連会議室

講師:前田清  日中友好協会兵庫県連会長

資料代:200円 マスク着用でご参加下さい!感染防止対策をして開催します。

百科検定の受験申込み・リーフレットは下記へご請求下さい!

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax(078)412-2228

E-mail : okmt50@nicchu-hyogokenren.net

学習講演会「ポストコロナの世界と中国」

覇権か国際協調か・米大統領選後の米中新冷戦の行方

コロナ禍を克服した中国・国家と社会の役割が鮮明、世界が注視する香港・台湾・少数民族自治問題などについて山本恒人大阪経済大学名誉教授の講演を聞き学習します。どなたでも参加できますのでお誘い合わせてご参加下さい。

日時:2020年12月13日(日)午後2時~4時30分

会場:東播磨生活創造センター(かこむ)1F講座研修室

(JR加古川駅南を南東へ徒歩5~6分、県加古川総合庁舎)

講師:山本恒人大阪経済大学名誉教授、協会大阪府連副会長

資料代:500円 マスク着用でご参加お願いします

主催:日本中国友好協会加古川支部

連絡先:090-8753-5972(前田)

中国を知る講座~文化・芸術・風俗習慣~

第5回「中国を知る講座」~文化・芸術・風俗習慣

9月から始めた「中国を知る講座」は今回で最終を迎えます。第8回中国百科検定は10月29日に申込みを締切り、11月29日(日)に加古川市で実施されます。第9回中国百科検定の申込期間は12月1日~2021年2月20日で、3月20日(土・祝)に神戸市中央区の兵庫県民会館で実施されます。

兵庫県連合会は、検定に向け9月8日から全5回の「中国を知る講座」を開催してきました。これまで、中国の地理・民族・世界遺産、政治・経済、歴史を学んできましたが最終回の今回は、文化・芸術・風俗習慣を学び、これまで百科検定に出題された初級~上級の試験問題活用し、参加者の希望レベルで学習の成果を試す機会を設けます。初めての方の参加も歓迎します。

第5回「中国を知る講座」開催日程

日時:2020年11月11日(水)午後2時~4時

会場:日中友好協会兵庫県連合会「会議室」

テーマ:文化・芸術・風俗習慣

講師:前田 清 協会兵庫県連合会会長

資料代:200円 ※マスク着用でご参加下さい。

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

   Tel&Fax:(078)412-2228

   E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net

連続5回「中国を知る講座」

中国を正しく知るための連続学習会

今年3月に実施を予定していた「中国百科検定」は新型コロナ感染症の拡大により延期となっていましたが第8回検定を11月29日(日)に、第9回検定を2021年3月20日(土・祝)に開催することが決まり準備をすすめています。

第8回「中国百科検定」2020年11月29日(日)加古川市で実施

 会場:東播磨生活創造センター「かこむ」1F「講座研修室」

●第9回「中国百科検定」2021年3月20日(土祝)神戸市で実施

 会場:兵庫県民会館10F 会議室「福」

百科検定に向け、兵庫県連合会は「中国を正しく知る」ことが大切で、そのことが国民の中国への感情改善にもつながると、中国を知る学習会を計画しました。どなたでも参加できますのでぜひご参加下さい。

①9月8日(火)午後1時~3時 地理・民族・世界遺産

②9月28日()午後1時~3時 政治・経済

③10月14日(水)午後2時~4時 歴史

⓸10月28日(水)午後2時~4時 文化・芸術など

⑤11月11日(水)午後2時~4時 模擬テスト(初級~特級)を実施

会場:日中友好協会兵庫県連「会議室」

阪急岡本駅南を西へ徒歩1分、鳥貴族が入るビルの3F 

資料代:200円 ※マスク着用でご参加下さい!

お申込み、連絡先

日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax(078)412-2228

E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net

中国外交史のなかの日本ー中国・唐代後期

『新唐書』「渤海伝」を読み唐王朝、統一新羅、日本の関係を学ぶ

協会加古川支部主催の新シリーズ第9回「中国歴史講座」中国外交史のなかの日本―中国・唐代後期―が7月25日午後、加古川市内で開催されました。来村多加史阪南大学国際観光学部教授が自身の手づくり資料で7、8世紀の統一新羅が治める朝鮮半島と日本、そして唐王朝がからむ三国関係について解説しました。

668年に高句麗を滅ぼした唐は、高句麗の故地に安東都護府(地方を治める役所)を置き、新羅の地にも鶏林州都督府を置いて朝鮮半島を直接支配しょうとしたが、新羅が反発し戦争となり、670年から676年の7年間激戦となった。新羅は唐軍を撃退し朝鮮半島を治め統一新羅を樹立。698年には高句麗の故地で渤海国が成立します。

こうした歴史の流れを整理するために来村教授は『新唐書』「渤海伝」の原文を読み、当時の中国東北部の民族、部族の分布や朝鮮半島の情勢についてわかり易く解説しました。また、渤海国の使者が度々来日していること、大陸から日本海を渡る海上ルートについても地図を示しながら説明、渤海国と当時の日本が人、文物の交流を盛んに行っていたことを紹介しました。唐の文化は遣唐使が伝えたと言われるが、渤海使や遣渤海使が伝えた情報や文化も見逃せないと解説しました。

コロナ感染症と香港問題で学習会

どうなる、香港立法会選挙

7月18日午後、協会東神戸支部主催の「現代中国学習会」が神戸市東灘区で開催され、「新型コロナ感染症と中国のこれから」と題し、安井三吉神戸大学名誉教授が講演しました。安井教授はまず、自身が2015年に訪中して以後この5年間における中国の大きな変化について話し、習近平体制が強化される中、中国の通販大手企業やIT産業界で大富豪が出現していること、IT活用によるキャッシュレス社会、芝麻信用(個人情報の点数化)が進み、米中の対立が貿易分野から軍事、IT分野にまで覇権争いがエスカレートしている、中国はこの間、多くの法律をつくり、その法律に照らして判断をしている点が「文化大革命」時とは違う状況にあると指摘しました。

今年5月、中国では両会(中国人民協商会議第13届全国委員会第3次会議・第13期全国人民代表大会第3次会議)が開催された。この会議で決定され世界が注目するのは香港問題。6月30日、中華人民共和国香港特別行政区維後国家安全法(国家安全維持法、国家安全法)が成立し施行されました。安井教授は、この法の審議経過、内容、機構等について日中両国のマスコミ報道も示しながら解説、施行初日の7月1日の香港でのデモで10名が拘束され1名が起訴されたことを紹介。

7月18日に受付が始まった香港立法会選挙について、立候補者に国家安全維持法を含む香港基本法の遵守を義務付けていることにふれ、この法に反対する候補者の立候補が認められるかどうか注目されています。新型コロナウイルス感染症問題では、昨年12月末から今年4月末に至る中国での感染拡大の経過と当局の対応、感染症に対する中国の基本認識と対処方針について紹介しました。

参加者からは、「台湾・沖縄と中国の関係についてどう思うか?」「中国と米国の関係は新冷戦と言えるか?」、またアンケートでは「広大な中国は、今何を考え、どんな方向に向かっているのか?正しい認識が出来ないので、不安がいっぱいです。中国の政治家は、誰のための政治をしているのか?」など多数寄せられています。

日中友好協会兵庫県連合会は9月13日、香港問題に絞った学習講演会を開催する予定です。

中国近現代史研究会を再開

6月は清朝末期以降の概要を復習

日中友好協会加古川支部は、毎月開催を続けている中国近現代史研究会の学習会が、コロナウイルス感染拡大により開催を2月以降中断していましたが、6月27日午後から再開しました。参加に際し、入室前に除菌、検温、マスク着用確認など会場からの要請に応じながら、地元のほか神戸、明石、加東、和歌山などから11人が参加し、清朝末期からの概要復習と共和国成立後も「新民主主義の旗印」を掲げながら中国はなぜ社会主義を目指したのか?など次回のテーマにも及び議論をスタートさせています。次回は7月12日(日)に開催します。(写真は中華人民共和国成立時の天安門広場、新華網より)

現在だけを見ていては中国はわからない 初心者ばかりみんなでワイワイ討論 どなたでも参加できます。初めての方歓迎!

日時:2020年7月12日(日)午後2時~4時30分

会場:サンライズビル5F会議室B(JR加古川駅南東すぐ)

テーマ:「岩波新書中国近現代史シリーズ」第4巻第1章

―表題「社会主義への挑戦」―テキストがなくても当日配付のレジュメ・プリントで学習できます)

参加費:1回 500円  マスク着用でご参加下さい

日中友好協会加古川支部 ☎090-8753-5972(前田)

現代中国学習会

コロナ後の中国の政治・経済のゆくえ―2ゕ月遅れて開かれた「全人代」を読み解く―

 中国・武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、全世界へと拡がり、今も多くの国に困難をもたらしています。感染拡大にともない、日本では4月7日「緊急事態宣言」が発出され、約50日間にわたる自粛を余儀なくされました。5月25日に宣言は全国で解除され、新しい生活様式での日常が戻りつつあります。

 中国は、1月23日に人口1,100万人の武漢市を都市封鎖し、徹底した検査と隔離により感染拡大を防止、コロナ禍を克服してきました。今年3月に予定していた全国人民代表大会を5月下旬に開催し、コロナ後をスタートさせました。今年の「全人代」では何が議論され、何が決まったのか。会議内容の解説とこれからの中国の政治、経済を展望し、安井三吉神戸大学名誉教授に講演して頂きます。最近の「香港問題」についても語って頂きます。

  • 日時:2020年7月18日(土)午後2時~4時
  • 会場:東灘文化センター8階第1会議室(旧区民センター)
  • 講師:安井三吉神戸大学名誉教授

1941年東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒、1972年神戸大学教養部助教授、国際文化学部教授、2004年定年退官、名誉教授、孫文記念館館長・神戸華僑歴史博物館研究室長。専門は中国社会文化論

参加協力費:500円 事前予約が必要です

主催:日本中国友好協会東神戸支部

Tel&Fax(078)412-2228(兵庫県連内)

E-mail:sps98kg9@kobe.zaq.jp

講座「中国外交史のなかの日本」

東アジアを視点に古代中国と日本の歴史を学ぶ

激動の東アジアをNHK TV歴史番組などでお馴染みの北村多加史先生が講演する「中国歴史講座」です。中国の歴史を基本に、同時代の日本をわかりやすい先生手づくりの「テキスト」で日中交流の歴史を学びます。

今年2月29日に予定していた講座ですが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期していました。どなたでも参加頂けますので改めてご案内致します。お誘い合わせてご参加下さい。

日時:2020年7月25日(土)午後2:00~4:30

会場:東播磨生活創造センター「かこむ」1階講座研修室

(兵庫県加古川総合庁舎1F、JR加古川駅を南東へ徒歩6分)

講演:来村多加史先生(阪南大学国際観光学部教授)

テーマ:中国・唐時代―後期

資料代:1,000円 大学生800円 高校生以下無料

主催:日中友好協会加古川支部

お問い合わせ:☎090-8753-5972(前田)