青木茂著「南京大虐殺から雲南戦へ」

日本の中国侵略から敗戦に至る足跡を巡る

青木茂著・新刊「南京大虐殺から雲南戦へ」が2月5日付で出版されます。日本による対中国全面侵略の初期に大虐殺が引き起こされた南京と、アジア太平洋戦争における日本の敗戦を決定づけた滇西抗戦(雲南戦)の舞台となった中国・雲南の今(現在)を本書で確認して頂ければと思います。

惨劇の舞台で見た、侵略に対する中国の人びとの思いは?日本による対中国全面侵略の初期に大虐殺が引き起こされた南京と、日本の敗戦を決定づけた雲南戦の舞台、拉孟・騰越・・・。日中双方に忘れえぬ記憶を刻んだ二つの地を巡り、日本人の歴史認識と戦争責任を考える。

本書は、早い書店では2月3日あたりから並び始めることもあるそうです。Amazonなどのネット書店では、すでに予約を開始しています。たくさんの方に本書を講読して頂けることを願っています。青木茂

青木茂著「南京大虐殺から雲南戦へ」―日本の中国侵略から敗戦に至る足跡を巡る」(花伝社)

本体価格 1,700円(税別)

日中友好協会兵庫県連合会でも取り扱っています。

 

南京大虐殺事件から86年

犠牲者追悼式典に1万人が出席

1937年8月から始まった第二次上海事変に伴い派遣された日本陸軍の上海派遣軍(司令官・松井岩根)は国民政府軍の激しい抵抗を受けて苦戦を強いられたが、11月5日に第10軍(司令官・柳川平助)を杭州湾に上陸させ中国軍の背後を突き、3か月にわたる上海戦に決着をつけた。上海派遣軍と第10軍をあわせて編成された中支那方面軍(司令官・松井岩根)は上海戦のために派遣された軍であった。それが、武藤章、松井岩根、柳川平助らの野心によって、準備も作戦、装備もなかった南京攻略作戦を参謀本部の統制に反して現地軍の独断専行で強行し、「南京大虐殺事件」を引き起こしたのである。

大本営の正式の命令もないまま、参謀本部の統制に反するかたちで、中支那方面軍が独断専行で開始した南京攻略戦であったが、日本の大新聞は同作戦に便乗して、大規模な報道陣を前線へ派遣し、従軍記者に少なからぬ犠牲者を出しながらも、「南京城に日章旗が翻る日はいつか」「どこの郷土部隊が南京城一番乗りを果たすか」などの報道合戦を繰り広げた。国民は南京城に迫る日本軍部隊の報道に注目し、興奮するようになった。国民も「中国一撃論」に幻惑され、南京が陥落すればあたかも日中戦争が決着して、日本が勝利するかのような期待感を抱くようになった。

1937年12月、日本軍は首都南京の攻略戦で、投降した中国軍の兵士や一般市民、難民に対して虐殺を行いました。日本軍による中国人虐殺は20万人に及びます。中国はユネスコに南京虐殺の資料を世界記憶遺産として登録申請し、2015年10月10日に登録が発表されました。

南京大虐殺事件から86年となった今年12月13日、南京市の南京大虐殺遇難同胞紀念館の広場で犠牲者追悼の記念式典が開催され、生存者や犠牲者の遺族、学生、市民、日本など国外からの参加者など約1万人が参加し中国国家公祭日として虐殺の犠牲者に黙祷し追悼しています。式典であいさつした全国人民代表大会常務委員会副委員長・李洪忠氏は「人類文明史の暗黒の1ページだ。国際法に明確に違反する暴行で、誰であれ、どのような勢力であれ否定することの出来ない反人類的犯罪である」と強調しました。今年は日中平和友好条約締結45周年であり、両国は建設的で安定的な中日関係の構築に努力し、アジアと世界の平和、安定、繁栄に貢献しなければなりません」と呼びかけました。南京事件の生存者は現在38人となり、平均年齢は93歳を超えています。

南京の人びとを救った外科医

ドキュメンタリー映画と講演で「南京事件」を考える

ロバート・O・ウイルソン(1904-1967)南京国際赤十字委員会委員。金陵大学付属病院(鼓楼病院)医師。日本軍の南京占領時、唯一の外科医師として鼓楼病院で医療活動に従事し続々と病院へ運び込まれる負傷者の治療にあたった。上映されるドキュメンタリー映像は、日本軍占領下で南京に残ったただ一人の外科医―ロバート・O・ウイルソンの記録で史上初めての映像です(上映時間50分)。

ドキュメンタリー映画「ウイルソン医師―南京孤独のたたかい」

講演:高文軍(元桜花学園大学教授)

「私と南京―歴史、大虐殺の事実調査、戦争中の父」

高文軍さんプロフィール

1954年生まれ、1982年中国南京師範大学(当時は「師範学院」)を卒業。1991年に来日し、名古屋大学大学院で博士課程を終え、2020年3月まで桜花学園大学の教授。父は、1942年冬、日本軍下の「偽軍」が新四軍の根拠地への攻撃を行い、父の部隊は阻止の戦闘に出た。弾が尽きて捕縛され投獄された。雪の山野で服、靴と帽子を奪われ、素足で血だらけのシャツ一枚で拷問を受けている。

日時:2023年12月9日(土)14時開演

会場:エルおおさか・南館5Fホール(地下鉄京阪「天満橋」)

資料代:1,000円

主催:南京の記憶をつなぐ2023

「停戦を!虐殺やめろ!」各国で抗議デモ広がる

世界を動かす民衆の声、「世界平和」に大国の責任

イスラエルのガザ爆撃、民衆の虐殺への抗議活動は11月に入って世界でますます広がっている。「ハマスの攻撃に対するイスラエルの自衛権行使」などの「言い訳」ではなく、「天井のない監獄」に封じ込めたガザの人びとを空爆と戦車で抹殺しょうとする国際法違反の攻撃も一層明らかになってきたためである。

11月4日には、米国ワシントンで数万人が参加したデモがホワイトハウスと連邦議会議事堂の通りを埋め尽くしたほか、ベルリン、ロンドン、パリなどでもデモが広がった。すでにイタリア、スイス、デンマーク、オランダなど欧州、トルコ、オーストラリアなどにも広がっている。

2003年から4年にかけて、米国のイラク攻撃に反対するデモが世界中を一周したことがあったが、今回の「民衆デモ」はまさにそれを超える広がり。国連特別総会での賛成121、棄権44、反対14という国際世論も裏付けされた形だ。

米中は、11月中旬にサンフランシスコのAPEC(アジア太平洋経済協力)の会議の際、バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談が行われた。中国の王毅外相は、即時停戦と他のアラブ諸国を交えた「国際平和会議」の早期開催を主張しており、そこに進めるか、期待は高まっている。

すでに「世界の警察官」はいなくなった世界だが、軍事的、経済的影響力のある大国は、世界平和の責任から逃れられない。「世界を動かすのは平和と人権を求める民衆の声」という原点に立ち返っての行動を求めたい。ただ、私たちにとっての問題は、こんな状況の中でも米国追従を崩さず国連での「即時停戦」に棄権し、外相がイスラエルを訪問して、民衆への無差別攻撃や虐殺行為の国際人権法違反の非難より「自衛権」を口にしてイスラエルのご機嫌取りをする日本政府の外交姿勢だ。

「私たちはもう戦争はしない。すべての国は民衆への攻撃はやめ、国際紛争はすべて話し合いで―」。「戦争放棄」の日本国憲法9条をもつ日本は、こう主張する。「反戦と正義の国」でなければならない。これは自民党政権でもできるはずだ。(丸山重威・ジャーナリズム研究者 日中友好新聞12月1日「中国レーダー」より)

第46回兵庫の「語りつごう戦争」展

「新しい戦前」にさせないために―歴史を学ぶ―

兵庫の「語りつごう戦争」展の会は「再び戦争をしない」「再び暗黒社会にしない」という思いで、戦争の記憶を風化させず、語り継ぐ趣旨で活動していますが、ロシアのウクライナ侵攻、米中の南シナ海、台湾を巡る動向、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル等の発射実験、それに対応する自衛隊の沖縄県・鹿児島県への集中配備、先制攻撃構想、等々、さらにガザ地区におけるイスラエルとの戦闘の勃発は私たちの願いと全く逆行するものであり、危惧と憤激を憶えるものです。戦争展へぜひご来場下さい。

日程:2023年12月6日(水)~10日(日)

午前10時~午後6時(6日は午後1時から、10日は午後4時半まで)

会場:妙法華院2F(高速神戸駅西口上り南へすぐ)

内容:資料展示・平和色紙展など(チラシ参照下さい)

・「戦争体験を聞くつどい」(12月7日、9日、10日、午後1:30)

・「12・8のつどい」午後1時30分 3F会議室

高齢者介護の理念と取り組み

お話し:市川禮子さん(社会福祉法人きらくえん名誉理事長)

主催:兵庫の「語りつごう戦争」展の会

連絡先:090-5896-6048(上野さん)

2023「神戸空襲と神戸港の写真展」

神戸に平和祈念館を!

神戸空襲の被害率(死傷者の割合)が、全国でも一番高かったことを知っていますか?本展では、戦争の影響を大きく受けた市民の暮らし、神戸港の歴史から現在も街に残る戦禍まで、写真と資料を通して神戸空襲を追体験します。

日程:2023年11月3日(金)~8日(水)10時~18時

3日(金・祝)・5日(日)は17時、最終日8日(水)は15時まで

会場:神戸市立長田区文化センター3Fギャラリー

入場無料

主催:神戸に平和記念館をつくる会(☎090-6370ー9317)

後援:神戸市、神戸市教育委員会、朝日新聞神戸総局、神戸新聞、サンテレビ、読売新聞神戸総局

戦時下、強制連行・強制労働による中国人犠牲者を追悼

神戸・関帝廟で犠牲者追悼「慰霊祭」開催の歴史

太平洋戦争末期、兵庫県内へ強制連行された中国人が、神戸港と相生の播磨造船所で、厳しい監視の下、重労働を強いられ神戸で17人、相生で28人が病気や栄養失調による衰弱などで亡くなっています。

当時の日中友好協会神戸支部が、「兵庫県殉難中国人・慰霊と殉難詳報」を作成しその実態を伝え残しています。詳報によれば、協会神戸支部と華僑団体が協力し、1954年1月から県内での強制労働の実態調査を始めています。神戸港では港湾荷役作業を請け負っていた関連企業、相生市では播磨造船所などから聞き取り調査。犠牲者の遺骨収集調査は、神戸港では病院、寺・教会、火葬場など関係先を調査したが遺骨の所在は見つからずとの記載があります。

相生市では、相生市役所、播磨造船所への調査で3人の遺骨が共同墓地に埋葬されていることが判明、協会役員・宝地院住職・神戸華僑聯誼会・中国帰国者代表が相生市と交渉し、埋葬されていた遺骨とその場の土を持ち帰り宝地院に安置し、1957年10月18日、神戸華僑聯誼会主催の法要供養が宝地院で行われました。翌19日には、県内30団体で構成された兵庫県殉難中国人慰霊実行委員会主催の慰霊祭が関帝廟で行われました。

阪神・淡路大震災で宝地院本堂が全壊し、再建の過程で慰霊祭で使われた「殉難中国烈士之霊位」と書かれた「位牌」が見つかり、1998年から協会兵庫県連合会主催の「強制連行・強制労働による中国人犠牲者を慰霊する集い」を開催し今年で26年目となります。9月3日(日)午後、猛暑の中、宝地院本堂で行った慰霊の集いは、協会役員、会員、協会外の市民など20人が参加しました。住職による読経と参加者の焼香で犠牲者を追悼しました。追悼行事の後、米国人カメラマンが1939年~40年に撮影した中国各地民衆の日常生活や日本軍侵攻に備える動き、1940年8月の日本軍による重慶無差別大爆撃を地上から撮影した極めて貴重なカラー動画を視聴し、感想などを出し合い懇談しました。

第21回「戦争遺跡めぐり」

神戸・東灘区―本庄地域戦跡めぐり―

兵庫の「語りつごう戦争」展の会は年1回、県内の戦争遺跡めぐりを行っています。今年はJR甲南山手~阪神深江周辺に残る戦跡を巡ります。

日時:2023年10月9日(月・祝日) 小雨決行

集合場所:JR甲南山手駅改札前 午前9:50集合 10:00出発

コース:JR甲南山手駅→赤(朱)鳥居→本庄墓地→踊り松の碑→  新明和工業(旧川西航空機甲南製作所)→神戸大学海事科学部(旧神戸商船大学)→阪神深江駅 12:30頃、解散予定

※写真の赤(朱)鳥居は、森稲荷神社の鳥居で高さ5.8m、昭和2年に建立されました。昭和20年(1945年)5月11日の米軍による空襲の際、青木にあった川西航空機甲南製作所(現在の新明和工業)の攻撃目標とされた歴史も秘めています。

参加費:300円(資料代含む)

参加申し込みはお名前・連絡先・所属・Tel.Faxをお書きの上下記へFaxでお願いします。10月2日締め切り

主催:兵庫の「語りつごう戦争」展実行委員会

FAX:0798-43-7138  

お問い合わせ先:090-8535-7401(大木さん)

強制連行・強制労働による「中国人犠牲者を慰霊する集い」

犠牲者追悼と記録映像「苦幹」上映

太平洋戦争末期、日本政府は国内の労働力不足を補うため中国大陸から中国人を強制的に連行し、鉱山や港湾、造船所など全国の135事業場(地図参照)で劣悪な環境の下、過酷な労働を強いて病気や栄養失調、衰弱により敗戦までに全国で6,834人の犠牲者が出ました。兵庫県内では、神戸港で17人、相生の造船所で28人が亡くなっています。

戦後、協会は侵略戦争への反省のもと、全国で犠牲者の遺骨送還運動を始め、県内では当時の協会神戸支部の人たちが中心となり実態調査を行い、1957年10月、各界からの参加で「兵庫県殉難中国人慰霊祭」を神戸の関帝廟で盛大に行いました。翌1958年に第8次遺骨帰還船で、神戸支部役員と慰霊祭前日に仮通夜を行った宝地院住職の2名が相生の犠牲者遺骨3柱を中国へ持参し納骨しました。

私たちは二度と戦争の惨禍を繰り返さないために、この歴史の事実を語り伝えています。今もウクライナでは激しい戦闘が続いていますが戦争に勝者はありません、破壊と多くの犠牲者が出るだけです。紛争はどんな困難があっても武力行使ではなく話し合いで解決しなければなりません。厳しい暑さの中ですが犠牲者追悼にご参加下さい。

日時:2023年9月3日(日)1:30~16:00

会場:宝地院(神戸市兵庫区荒田町3丁目)

・「犠牲者追悼」13:30~ 宝地院本堂

 住職による読経、参加者の焼香

・記録映像「苦幹」上映  14:00~地階集会室

 米国人撮影、中国西域の住民の暮らしや1940年8月の日本軍による重慶大爆撃を映したカラー動画。

・参加費(お供え):500円

主催:日中友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax: 078-412-2228

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net

第28回尼崎平和のための戦争展

新しい戦前にさせない!平和憲法とともに

~戦争の準備ではなく平和の準備を~

日程:2023年8月18日(金)~20日(日)

  9:00~18:00 最終日は16:00まで

会場:尼崎市立中央北生涯学習プラザ

(五合橋線・尼崎総合医療センター西へ3分)

「展示」18日~20日 1F学習室ABC

南西諸島の基地問題、沖縄基地地図、平和憲法、パネル「原爆と人間」、各9条の会活動、尼崎の戦災地図、戦争に突き進んだ歴史年表、残留孤児問題、短編アニメ「戦争のつくりかた」ほか

「平和紙芝居」 2F学習室(18日、午前中随時)

「映画・人魚に会える日」(93分)19日(土)1F大ホール

①10時②14時⓷18時 一般1000円 中高生500円(上映協力代)

●マスク着用をお願いします。

主催:尼崎平和のための戦争展実行委員会

後援:尼崎市・尼崎市教育委員会

連絡先:090-4902-8398(松岡さん)