第71回県連総会を開催しました

📝 第74回全国大会を受けて兵庫県連総会を開催しました

7月6日午後、第74回全国大会に関連して兵庫県連総会を開催し、14名が参加しました。参議院選挙期間中のため来賓の出席はありませんでしたが、協会本部、大阪府連、中国大阪総領事館 薛剣総領事、兵庫県議会議長をはじめ、芦屋市・明石市・赤穂市・宝塚市の各市長、兵商連、神戸・長田民商、神戸合同・姫路総合各法律事務所、日ベト友好協会、国賠同盟など、多くの団体や個人から祝電やメッセージが寄せられました。

🗣 会長挨拶と活動報告

開会の挨拶では前田会長が、歴史修正主義の勢力が拡大する中、協会が力を入れている「中国近代史学習会」が果たす重要な役割について強調されました。各支部での学習活動のさらなる展開に期待を寄せました。

兵頭理事長からは、2024年度の活動まとめと2025年度の活動方針、財政報告、新役員の提案が行われました。

✍️ 最近の取り組みと今後の方針

7月5日には中国百科検定試験が実施され、全国で約150名が受験。神戸会場では4名が参加し、そのうち2名は初めての受験者でした。中国に関心を持つ市民が着実に増えていると感じられる結果でした。

5月には「ASEANから学ぶ学習会」、6月28日には姫路支部で総会記念講演会を開催し、市民の学びの場づくりに力を入れています。今後は中国語講座の受講者回復、会員・準会員の増加に向けた取り組みをさらに強化。また、戦争展を中心とした平和活動や、太極拳、中国茶の会、音楽祭など、楽しい催しも企画していく予定です。

🧠 討論と新役員の承認

討論では、ホームページやブログ活用の提案があり、情報発信力向上のための学習会を企画することが決定しました。

西宮支部からは、アンケートに基づいて開いた太極拳教室や中国茶講座、餃子作り体験、中国東北料理教室などの取り組みが報告され、会員から好評を得ています。
その後、活動報告、方針、財政報告の採択、新役員案の承認が、満場一致の拍手で確認されました。

最後に、新しく事務局長に選出された光斎直樹さんが挨拶。「21年に神戸に来て協会に入会したばかりの新米ですが、皆さんと一緒に頑張っていきたい」と意気込みを語ってくださいました。

姫路支部総会講演会

去る6月28日、姫路支部は姫路労働会館にて支部総会を開催しました。総会終了後には、神戸大学大学院教授・太田和宏先生をお招きし、「世界とアジアをリードするASEAN」と題したご講演をいただきました。以下は、その講演の概要です。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は1967年に設立され、現在は東南アジアの10カ国が加盟していますが、近く東ティモールの加盟が承認され、11カ国体制となる見込みです。

世界にはさまざまな軍事的・経済的同盟がありますが、太田先生は「ASEANは、先進国主導の同盟には加わりたくないという国々の集まりであり、決議や決定は全会一致を原則とする」と紹介されました。「加盟国の独自性を尊重し、話し合いによる全会一致を原則とする」という姿勢は、非常にユニークで新鮮な印象を与えます。

もっとも、域内の大国や先進国を完全に無視しているわけではありません。平和や経済発展の実現には、そうした国々との協力も不可欠です。そのため、ASEANは「ASEAN+3」という枠組みを設け、中国・日本・韓国を加えた首脳会議や外相会議を開催しています。

ASEAN加盟国の国内情勢や、ASEANを取り巻く国際環境は決して安定しているとは言えません。ミャンマーでは軍事クーデターにより軍政が敷かれ、少数民族への武力攻撃も続いています。タイもつい最近まで軍政下にありました。インドネシアでは軍人出身の大統領が就任し、報道の自由の制限や警察権限の強化など、民主主義の後退が懸念されています。

このように、東南アジアの多くの国では「人権」や「民主主義」が軽視され、少数民族の生活や安全が武力によって脅かされている現状があります。

また、各国の国際的な立場も多様です。インドネシアは自主独立を重視し、ベトナムやフィリピンはアメリカと友好関係にあり、中国とは対立しています。シンガポールやタイもアメリカとの関係が深い一方で、ラオス・カンボジア・ミャンマーは親中国的です。マレーシアも親中国ではありますが、一定の距離を保っています。

注目すべきは、中国が1970年代後半から積極的に海洋進出を進め、南シナ海のほぼ全域をカバーする「九段線」を提示し、その内側を自国の領域と主張している点です。中国は島嶼や岩礁を次々と埋め立てて開発を進め、周辺諸国との間で武力衝突を含む紛争を引き起こしています。

もちろん、周辺国の同意を得ずに埋め立てや開発を行っているのは中国だけではありませんが、中国の手法は特に強引かつ大規模であり、時には武力を用いて反対を抑え込もうとします。フィリピンはこの領有権争いを国際仲裁裁判に提訴し、中国の主張は全面的に否定される判決が下されました。

アメリカも黙って見ているわけではありません。オバマ政権以降、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」戦略を展開し、インド・日本とともにQUAD、オーストラリア・イギリスとともにAUKUSといった枠組みを構築し、中国包囲網を形成しています。これにより、南シナ海の緊張は一層高まっています。

中国にとって南シナ海は軍事的に重要な地域であり、「一帯一路」構想の海上ルート確保も“核心的利益”と位置づけられています。そのため、同地域の開発を急ぎ、フィリピンやベトナムなどとの間で紛争が頻発しています。

ASEANは紛争解決のため、中国との間で「南シナ海行動宣言」および「行動規範」の締結を目指すことで2011年に合意しましたが、いまだに正式な締結には至っていません。

今後のASEAN

ASEANが目指すのは、「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の三本柱からなる統合体、すなわち「ASEAN共同体」の構築です。加盟国がより緊密に連携し、地域全体の平和と繁栄を追求することを目的としています。

  • 政治・安全保障共同体
  • 経済共同体
  • 社会・文化共同体

このASEAN共同体の構築は、東南アジア地域の安定と発展に大きく寄与することが期待されています。

ただし、EUのような完全な統合を目指すのではなく、加盟国の主権を尊重しつつ、緩やかな統合を進めていく方針です。

また、EUはキリスト教を共通の文化的基盤としていますが、ASEAN諸国はイスラム教・キリスト教・仏教など宗教的背景が多様です。宗教の違いは価値観の違いにもつながり、それを乗り越えて統一的な体制や組織を築くのは容易ではないと、太田先生は指摘されました。

第74回全国大会を開催

6月14日・15日の両日、東京都内にて第74回全国大会が開催されました。会場およびオンラインを合わせて、代議員、評議員、役員など約200名が参加しました。兵庫県連からは、役員1名、代議員2名が会場で、評議員2名がオンラインで参加しました。

大会は、冒頭で3名の議長が選出され、この1年間に逝去された56名の会員が紹介され、黙祷が捧げられました。

開会の挨拶では、井上会長が「日中交流には困難もあるが、先方も積極的な企画を通じて前進を図ろうとしている。特に沖縄青年交流会や、7月に北京で開催される世界青年平和集会などに、協会としても積極的に参加し、前進を目指したい」と述べました。

続いて、松尾理事長が大会議案発表後の情勢の変化について説明し、田中事務局長代行が活動の総括と次年度方針の提案、ならびに財政報告を行いました。

討論では、福岡から参加した二世代表が「二世支援のつどい」の成功と、それによる大きな励ましについて報告。三重県での新支部結成の経験や、神奈川県で開催された音楽と文化のつどいが多くの参加者を得て成功したことなども共有されました。また、京都からは「日本在住であっても外国籍の人が会員になれない点」について疑問が提起されました。

15日には、昼休みの時間を利用して「全国女性活動交流のつどい」が開催されました。大阪、東京、北海道苫小牧など、先進的な活動を行っている地域からの報告があり、参加者同士で意見や疑問を交わす活発な交流が行われました。

午後には、討論のまとめと方針の採択、財政報告の承認、新役員の提案と承認が行われ、大会は閉会しました。

夕食交流会で大いに盛り上がる

14日夜には、同会場にて立食パーティー形式の夕食交流会が開催されました。飲み物としてビール、ワイン、ウイスキー、焼酎が提供されましたが、なぜか日本酒は用意されていませんでした。

アトラクションとして披露された二胡の演奏や変面ショーに、会場は大いに盛り上がり、参加者同士の親睦が深まりました。

2025新年のご挨拶

2025年の新年にあたり、皆さまに心からのご挨拶を申し上げます。

昨年は、孫文「大アジア主義講演」から百年、また神戸が生んだ著名な作家陳舜臣生誕100年にちなむ学習講演会、「中国近現代史」学習会、などとともに「夢コンサート」、など楽しい行事も実施されました。これらの諸行事にご参加などご支援ご協力有難うございます。

日本政府は、総選挙での国民の審判で大きく後退したとはいえ、「日米同盟の強化」「安保三文書」にもとづく軍事同盟強化と大軍拡の道をつきすすみ、「アジア版NATO」「核共有諭など危険な主張と態度をとり続けています。これは米中対立下のもとで、アメリカの対中戦略に日本を巻き込む危険な事態にほかなりません。まさに「『戦争する国』への歴史的転換」であり、事実上の憲法改悪に他なりません。安保関連3文書に断固反対を表明するとともに、私達は、日本とアジアの平和を脅かす「『台湾有事』にしてはならない」し、「台湾有事を日本有事にはしてはならない」決意です。今、世界は「対立と分断」が横行し、大激動の時代を迎えています。とくに北朝鮮兵士まで投入しているウクライナへのロシア侵攻による戦闘及びイスラエル・パレスチナ戦闘の即時停戦を求めます。いま中国には、世界の厳しい目が注がれ、大国となった役割と責任が求められます。

2025年は、「日本の敗戦80周年」にあたり、また「『非核神戸方式』議決50周年」にあたります。おりしも「核兵器と人類は共存できない」と粘りづよく活動を続けてきた日本原水爆被害者団体協議会が2024年度の「ノーベル平和賞」を受賞し、「核兵器廃絶」を訴えて戦っている世界の平和活動家を励ましました。

日中友好協会は1950年創立以来の原点、「日中不再戦・平和運動」を基本に、「日中相互交流・相互理解」、「中国を知る」「百科検定への挑戦」などの学習活動をいっそう強める決意です。これらの諸行事と合わせて、楽しい多彩な文化活動の継続発展の活動の中で、「仲間づくり活動に大いに取組みましょう。

本年もいっそうのご支援と、ご協力をお願い致します。

2025年1月 吉日
兵庫県連合会会長 前田 清

9月18日に深圳で発生した 日本人小学生殺害事件について

9月18日に深圳市で日本人小学生が殺害される事件が発生しました。

6月にも蘇州市でも傷害事件が発生しており、中国在住日本人だけでなく、日本国内でも不安が広がっています。

あらためてご家族に哀悼の意を表するとともに、蘇州事件で日本人母子をかばって犠牲になった中国人女性にも哀悼の意を表します。

事件現場の小学校前には、日本人だけでなく、多くの中国人も献花に訪れ、痛ましい事件に対し怒りと悲しみを共有しています。

一方では、中国版SNS上で事実とは異なる反日情報が流されていることも事実です。今回の事件が中国にとって「国恥の日」とされる柳条湖事件の当日であったことも関わりが取りざたされています。中国政府が蘇州の事件も含め、今日に至るも原因を発表していないことも、不安の一因となっています。

今回の事件は日中関係の発展にとって痛ましく、憂慮すべき事件と言えます。中国側も「事件に心を痛め、不幸にして亡くなられた子供に深い哀悼の意を表し」「中国側は法に基づいて事件を捜査、審理し、いかなる形の暴力犯罪行為にも断固として取り締まりします」(吴江浩大使の中国建国75周年記念祝賀会)と表明しています。日中両国政府は近年、対話を通じた平和外交よりは対立面を際立たせる傾向があり、両国の国民感情にも少なからぬ負の影響を与えています。しかし両国政府はそれぞれの国内における両国関係者の安全に対して万全を期すのは当然の責務であり、一刻も早い事件の解明と今後の対策について責任ある対話を進め、具体的措置を講じていくことが大切です。

日本中国友好協会としても両国国民の友好交流のさらなる発展に努め、このような哀しい事件が再発しないよう、各方面との協力に努めることを改めて表明します。。

2024年9月29日
日本中国友好協会

汚染水問題の対立と未来と世界の解決策

福島の汚染水海洋放出をめぐって中国と日本の応酬が続いている。3月4日、ウイーンのIAEA(国際原子力機関)理事会で、中国の李松常駐代表は「日本の汚染水放出は領土や管轄区域を遥かに超え許されない。中国は放出に断固反対し国際監視体制強化を求める」と述べた。

IAEAのグロッシ事務局長は3月14日、東電福島原発を視察、海洋放出について「放出量はまだ全体の5%未満で、水や海洋生物などにマイナスの影響がない形を続けていく必要がある」と話す一方で、「われわれの期待に沿った形で運用されている」と述べた。

これに対し、在日中国大使館は14日、「国際世論を誤解させる一方的な情報を発信すべきではない」とする報道官談話を発表。IAEAに「客観的で公正な原則の堅持」を、日本には「国内外の懸念への真剣かつ誠実な対処」を求めた。

「科学的」はウソ

海洋放出の汚染水は「処理」をしても、薄めた放射性物質はなくなっていない。日本政府は「IAEAが報告書で承認した」と、安全性と正当性があるかのように宣伝しているが、報告書は「国際的な安全基準に合致している」と言うだけ。「科学的」とはウソで、報告は「海洋放出の方針を推奨するものでも承認するものでもない」とする。

元来、IAEAは「アトムズ・フォー・ピース(Atoms for Peace)平和のための原子力を」というアイゼンハワーの提唱で生まれた組織なのだ。

中国の原発は

中国の主張が「国際管理」に留まっていることにも理由はある。

共同通信は3月9日、「中国の原発が2022年に放出した排水に含まれる放射性物質トリチウムは、東電福島第1原発処理水の年間放出計画量の上限と比べて最大9倍になる」と報じた。

23年度の原子力専門書「中国核能年鑑」のデータで、その放出の範囲や、通常の汚染水か、破損した原発によるかの違いはあるが原発から出る放射性物質に違いはない。

放射性廃棄物問題は全人類の問題

原発の放射性廃棄物をどうするかは、全人類、全世界、文明そのものが抱えている問題だ。これが解決できない以上、地球を汚染する原発政策はやめなければならない。先進国も発展途上国もそれは同じ。

いま、日本と中国こそ、「百年後の世界と人類」を見すえた議論をするべきではないだろうか。(丸山重威・ジャーナリズム研究者)※「日中友好新聞2024年4月15日号」中国レーダーより

岸田首相による靖国神社への真榊奉納と閣僚の参拝に抗議する

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
経済再生担当大臣 新藤 義孝 殿

岸田首相による靖国神社への真榊奉納と閣僚の参拝に抗議する

靖国神社の春季例大祭にあたり、岸田文雄首相は「内閣総理大臣」の肩書で靖国神社に真榊を奉納し、現役閣僚の新藤義孝経済再生担当大臣が参拝した。

靖国神社は日本軍国主義のアジア太平洋への侵略戦争に国民を動員する役割をはたし、侵略戦争の遂行した責任者であるA級戦犯を合祀し、今もなお侵略戦争を美化・正当化し宣伝する施設となっている。この靖国神社への供物の奉納や参拝は、政教分離を定めた憲法に違反する行為であり、国際社会が共有する歴史認識に真っ向から対立する誤った歴史観を日本政府が抱いていることを内外に示す行為となっている。

今年1 月に陸上自衛隊の幕僚副長と自衛隊員数十人が靖国神社を集団参拝し、さらには海上自衛隊が遠洋練習航海へ出発する度に集団参拝を繰り返していたことが明らかとなったが、この旧日本軍を彷彿とさせるような自衛隊による靖国神社参拝は、春秋の例大祭と8 月の終戦記念日の度に繰り返されている首相による靖国神社への供物の奉納と閣僚や国会議員による参拝が発する誤ったメッセージを受けての結果であると断ぜざるを得ない。

日本中国友好協会は、侵略戦争の美化・正当化と宣伝につながる靖国神社への真榊の奉納と参拝に繰り返し強く抗議するとともに、国際社会が共有する歴史認識を重視し、日中両国が公約した日中平和友好条約の精神のもとに、歴史の過ちに真摯に向き合い、アジアと世界の平和と安定のために平和国家としての役割を果たすことを日本政府に強く求めるものである。

2024 年4 月22 日

日本中国友好協会
東京都台東区浅草橋5-2-3
鈴和ビル5階
TEL03-5839-2140
FAX03-5839-2141
E-mail:nicchu@jcfa-net.gr.jp

第5回中国問題懇談会(オンライン開催)

 両岸関係(中台関係)にとって大きな契機となった2014年の「海峡両岸サービス貿易協定」への批准反対運動は「ひまわり運動」と呼ばれ、若者が大きな役割を果たしましたが、この中核を担った若者たちを長く追ってきたドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』を題材に両岸の相互理解のために必要なことを考えます。

とき: 5月11日(土) 午後2時~4時
形式: オンライン
講師: 吉川龍生氏(慶應義塾大学教授)
テーマ: 映画『私たちの青春、台湾』が映し出した中台関係
参加: 無料
参加方法: 所属と氏名を表記のうえ下記のURL、ミーティングID、パスコードでご参加ください。
備考: 『研究中国』NO18を事前に読んでの参加をお勧めします。

https://us02web.zoom.us/j/84519420188?pwd=
WE9QK2ozWWZ4ZDErek5Na1hZbG43dz09
ミーティングID: 845 1942 0188
パスコード: 979492

【プロフィール】
慶應義塾大学経済学部教授。専門は、中国語圏映画・中国近現代文学・外国語教育。日本語字幕を担当した映画
に、傅楡監督『私たちの青春、台湾』(2020年)、黄驥・大塚竜治監督『フーリッシュ・バード』(2018年)など
があり、監訳書に傅楡『わたしの青春、台湾』(五月書房新社、2020年)、共著書に『外国語教育を変えるために』
(三修社、2022年)などがある。霞山会の月刊誌『東亜』に、「電影中国」というコラムを連載中(3カ月おき)。

〈連絡・申し込み先〉
日本中国友好協会(本部)
東京都台東区浅草橋5-2-3鈴和ビル5階
TEL03-5839-2140
FAX 03-5839-2141
Email nicchu@jcfa-net.gr.jp

日中両国民の認識を問う「日中共同世論調査」

日中関係発展の妨げは「領土をめぐる対立」が最も多い

言論NPOと中国国際伝播が昨年8月下旬から9月下旬に実施した「第19回日中共同世論調査」の結果が10月10日に公表されました。主なポイントを紹介します。

昨年は日中平和友好条約45周年でしたが、両国民の半数近くが「機能していない」「形骸化している」と回答、中国にはこの条約を改善すべきとの声が59.1%、この条約が機能していないと判断した人にその理由を尋ねると、日本人で最多は「両国間に軍事的な対立や不安が存在するのに、この条約に基づいて解決する努力がない」(30.3%)、中国人で最多は「平和と繁栄に責任を持つという国交正常化以来の外交努力がない(45.7%)となっている。

福島処理水について中国国民で心配する声はあるが日中関係の障害と考える人は5.8%にとどまる

心配していると回答した人は中国人で47.6%、日本人では33.2%が心配しているとの回答。処理水が日中関係の障害となるかでは、日本人が36.2%で中国人は5.8%にとどまっている。

相手国に対する印象はこの一年で悪化し、日本人は9割超える

日本国民の中国に対する印象はこの一年でさらに悪化、日本人の92.2%(昨年87.3%)、中国人の62.9%(昨年62.6%)となっている。その理由として、増加したのは、日本人では「中国メディアが反日報道を繰り返すから」が40.7%、中国人では「日本が一つの中国の原則に消極的な態度を示すから」が37.3%、「外交において米国に追随する行動が理解できないから」が27.1%(昨年21.1%)となっている。

日中関係の重要性をどうみているか

日中関係を「重要」と考える日本人は65.1%(昨年74.8%)、中国人では60.2%へと11ポイント減少している。

日中関係の発展を妨げるものは何か

日中両国で最も多いのは「領土をめぐる対立」だが、両国ともに昨年からは減少しており、特に中国人では56%から39.5%まで減少、日本人で二番目に多い回答は、新設の「福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出問題」の36.7%だったがこれを選択した中国人は5.8%に過ぎなかった。

台湾海峡における軍事紛争の可能性とその原因

台湾海峡における緊張の高まりは、「中国」に原因があるとみる日本人は59%、中国人は昨年まで最も多かった「米国」に原因があると考えている人が34.5%で昨年の52.5%から18ポイント減少し、「米国と日本」が25.8%から29.2%に増えている。(10月10日、プレスリリースより一部を抜粋)

イスラエル・パレスチナ問題についての理事長談話

協会本部は12月4日、イスラエル・パレスチナ問題についての理事長談話を発表し、岸田首相、駐日イスラエル大使館、駐日パレスチナ常駐総代表部、駐日中国大使館へ送りました。談話全文を下記に紹介します。

イスラエル・パレスチナ問題についての理事長談話

「一刻も早い恒久的な停戦を」

ハマスがイスラエルの入植地に大規模攻撃を加え、さらには多くの人質をとったことから始まった今回の戦争は、ジェノサイドともよばれるイスラエルによるガザ攻撃を招き、すでに1万人を超えるパレスチナの一般市民の犠牲者を産み出すに至っています。特にイスラエルによる攻撃の犠牲者の4割までが子どもと伝えられるような中、一刻も早い停戦と休戦を求める国際世論が強まっています。

しかし、日本政府は国連総会で採択された休戦提案に棄権するなど、アメリカに追随した態度で世界の信頼を失っています。日本国民としてこの態度には失望するとともに抗議せざるを得ません。

私たちは日中不再戦を求めて活動を続けている団体として、「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と宣言した日中共同声明と日中平和友好条約の精神を大事にしていますが、その立場から日本政府も行動することを強く求めます。

今、中国政府は「即時停戦」を求めてフランス大統領との電話会談の後、国連の行動、和平会談の提唱など様々な努力を始めています。一刻も早い恒久的な停戦を目指すこのような世界の動きを注目し、私たちも共同の努力を尽くしたいと考えます。

2023年12月4日      日本中国友好協会

理事長 松尾 武蔵