どうなる「報道の自由」―新聞記者職業資格試験
社会主義の下で、「言論・表現の自由」はどうなっていくのだろうか?そして「報道の自由」は?中国政府は今年初め、7月から中国本土のメディアで働く記者の資格試験制度を導入する、と発表した。香港、台湾、マカオと海外メディアの記者は対象外とされているが、メディアを管轄する国家新聞出版署が実施する「新聞記者職業資格試験」で、国内の取材・編集活動に必要な「新聞記者証」を今夏以降は全国統一試験に合格した人にだけ交付。5年ごとに更新が必要になる、という。
国内の報道だから新しいことはなく問題はないと思いがちだが、国内の情報が出てきにくくなるとすれば、他人事ではない。まして、習総書記は報道・世論工作チーム建設を重視しているといい、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を実行し、中国共産党の宣伝と意識形成を着実に進める狙い、というから「言論統制の強化」が心配だ。
中国メディア、つまり「新聞工作者」の任務は、政府の決定をいち早く知らせ、全国にこれを徹底させることと、世の中に起きている事実を知らせ、党や政府が間違った決定をしないようにすることだとされてきた。しかし、「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」では、中国はワースト2位の179位(日本は68位)。少なくとも報道の自由については問題がありそうだ。(丸山重威・ジャーナリズム研究者、日中友好新聞「中国レーダーより抜粋)