中国残留日本人・中国帰国者とは誰か

日中友好新聞新年号より帰国者問題の連載始まる

日中友好協会は月2回定期発行する「日中友好新聞」2024年新年号より浅野慎一摂南大学特任授教が執筆し「中国残留日本人・中国帰国者の人生が問いかけること」をテーマとした連載記事掲載を始めました。その第1回記事を紹介します。

中国残留日本人・中国帰国者とは誰か

中国残留日本人とは、1945年の日本敗戦時に中国に取り残され、1972年の日中国交正常化以降まで日本への帰国を果たせなっか日本人です。その中でも、敗戦当時、13歳未満だった人を残留孤児、13歳以上の人を残留婦人と呼びます。

残留日本人の正確な人数は、分かりません。公式統計もありません。厚労省は2023年10月現在、日本に永住帰国した残留日本人を6724人(孤児2557人、婦人4167人)、身元調査に参加した残留孤児を2818と公表しています。しかし、この数字が全体のごく一部でしかないことは明らかです。身元調査に参加できず、日本への永住帰国を果たせないまま、中国で死去した残留日本人は数えきれません。中国には今なお、日本政府によって認定されず、身元調査・永住帰国を求めて苦しみ続けている残留日本人もいます。

日本政府に認定された残留日本人の多くは1980年代以降、中高年になってから、日本に永住帰国しました。永住帰国した残留日本人は、一緒に帰国した家族も含め、「中国帰国者」と呼ばれています。中国帰国者についても公式統計はなく、全体像は不明です。厚労省は、永住帰国者を2万911人と公表しています。しかし、そもそも残留日本人の人数自体が前述のように不明なうえ、厚労省が把握しているのは日本政府が国費で帰国旅費を支給した家族だけです。実際には、国費支給の対象からも排除され、私費で帰国せざるを得なかった中国帰国者は膨大な人数にのぼります。

そして近年、中国帰国者の中でも、特に残留日本人の子ども(二世)の深刻な問題が注目されつつあります。日本中国友好協会も2019年以来、二世問題の解決に向けて、10万人署名や国会請願行動に全国組織をあげて取り組んできました。第二次世界大戦が終結して78年。残留日本人問題は、中国帰国者問題として、世代を越えて今なお受け継がれています。これは決して「過去の記憶」にとどまらず、今ここで緊急に解決すべき現在進行中の問題なのです。(浅野慎一摂南大学現代社会学部学部長・特任教授、中国「残留日本人孤児」を支援する兵庫の会世話人代表)

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