「漢詩を読む会」4月の日程

「漢詩を読む会」は4月16日(土)開催!参加予約受付中!

新型コロナ感染症の拡大で、2月19日(土)に予定していた「漢詩を読む会」は延期となり、4月16(土)に開催します。参加予約を受けつけています。

   「漢詩を読む会」4月の日程

  • 日時:4月16日(土)午後2時~4時
  • 会場:東灘文化センター8F第3会議室(JR住吉駅下車すぐ)
  • 講師:丹羽博之 大手前大学総合文化学部教授
  • テーマ:「蚕婦詩の世界」―その2

資料代:1,000円 定員20人

   昨年12月の「漢詩を読む会」会場風景

軽くて光沢もあり、上品な絹、それを作るには、桑を育て、葉を取り、蚕を育て蛹にし、製糸工場で仕上げるという複雑な過程を経ます。その苦労は並大抵なものではありません。その辛苦を詠んだ詩に蚕婦詩があり、日中韓で数多く詠まれています。その一斑を紹介し、当時の人々の苦労を偲びます。その貧富の差の激しさの矛盾をついたものが蚕婦詩です。

12月の漢詩を読む会は日本の外貨獲得の中心となった絹の製糸工場を描いた映画「あゝ野麦峠」の映像の一部を映し、劣悪な環境の下、厳しい労働に従事する当時の女工さんたちの状況を紹介し、澁澤栄一が書いたとされる来鵠の七言絶句「蚕婦」を読みました

12月に参加された方は当日お配りした資料をご持参下さい。初めて参加の方は当日会場でお渡しします。

会場アクセス図(東灘文化センター)

尼崎で「中国問題講演会」を開催

中国と日本が世界平和の原動力に!

3月20日(日)午後、日中友好協会尼崎支部準備会は尼崎市内に山本恒人大阪経済大学名誉教授を迎え、「どうなる?日本と中国」をテーマに講演会を開催し市民約40人が参加しました。講演に先立ち地元の「年金者ヒューマンがくだん」のメンバー6人による歌や楽器演奏が行われました。

協会は「東シナ海を平和の海」にするための対話を訴えている

山本教授は、31ページに及ぶ資料をもとに講演、はじめに日中友好協会の今について、「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を断じて許さず、紛争を平和的手段で解決し、武力に決して訴えないことを求める」2月27日に発表した協会理事長談話を紹介しました。そして今年は1972年の日中国交正常化から50年の歴史的な節目の年であり、改めて日本の侵略戦争と戦後の中国敵視政策を清算し、日中両国による日中共同声明の精神を踏まえ、不再戦を柱として友好運動を進めていること、併せて尖閣や台湾の「有事」を強調し日米軍事同盟の強化が進み、軍事的な対立の最前線に立たされている沖縄の現地からは「日本の安全を確保しているのは日米安保条約ではなく、日中共同宣言と日中平和友好条約だ」との声さえあがっているとことを紹介し、協会は「東シナ海を平和の海」にするための対話を進めることの大切さを訴えていることを強調しました。

三つの歴史決議で総括し、未来志向の二つ目の百年に向かう

中国について山本教授は、二百年の刻苦を経て亡国の淵から復興へと題し、中国共産党結党以来の1921年~2020年の百年における奮闘が中国自体と世界に巨大な歴史的変化をもたらしたとして中華人民共和国成立時の第1の歴史的決議(1945年)、文革を総括した第2の歴史的決議(981年)、その歴史的経緯を踏まえ、未来志向の二つ目の百年を示す第3の歴史決議(2021年)について資料を示しながら解説しました。

二つ目の百周年の目標について、二段階に分けて推進するという戦略的配置を行っている。2020年~2035年は社会主義現代化を基本的に実現し、2035年から今世紀半ばまでを社会主義現代化強国に築き上げる。物質文明・政治文明・精神文明・社会文明・生態文明が全面的に向上し、国家統制体系・統治能力の現代化を実現し、総合国力も国際的影響力もトップレベルに達し、全人民の共同富裕が基本的に実現し、人民がより幸せで安心な生活を送ることを目指すというものです。

中国共産党の全面的指導の徹底について

中国における「一党支配」体制、「中国共産党の全面的指導」の徹底について、「歴史決議」文中に、「先進諸国が数百年かけて歩んだ道を僅か数十年で駆け抜けて」きたという文言を紹介しました。欧米や日本の諸列強国の帝国主義侵略により、亡国の淵に立たされた中国は、国民を総結集して近代国民国家を築き上げ自立できるよう、国民党の孫文から共産党に至るまで、政党と国家が一体化する「党国体制」という強力な集権的政治体制の構築に努めました。その結果、全土支配を目論んだ日本に対して国民総動員の抵抗を築いて勝利した後、近代国民国家としての中華人民共和国建国建国に至りました。建国後も厳しい国際環境や国土開発の課題達成のために、強力な指導性とナショナリズムのもとで国民と共に困難を克服してきたためこの道しかないという考えにたっていると思われると山本教授は語ります。

米国の対中政策と香港・台湾の「一国二制度」

さらに山本教授は、米国のバイデン政権の対中政策、台湾問題、香港問題について、日本をはじめ同盟諸国との関係強化により中国の孤立化を推進しようとしていること、台湾問題について「一つの中国」をを堅持すると唱えつつ「有事に備える」台湾との提携強化により台湾海峡の軍事的緊張を作り出している。米中国交回復の1979年1月1日、中国全人代常務委員会は「台湾同胞に告げる書」を発表、「統一問題を解決するにあたり、台湾の現状と台湾各界人士の意見を尊重し、情を重んじた合理的な政策と方法を採用し、台湾人民に損失を蒙らせない」ことが強調され異なる体制を超えた融和、共存、の「一国二制度」の原型となったものです。中国が真剣に台湾との平和的統一を台湾方式「一国二制」で実現しようとするなら、「一国二世」否定に等しい「香港国家安全維持法」の施行を停止し、改めて資格をはく奪された議員を復帰させた上で香港立法会での審議に委ねること、また同時に香港行政長官選出の完全普通選挙を実施することが求められると語りました。

中国が東アジアと世界に向けリーダーシップを発揮する存在へ

最後に山本教授は、中国が東アジアと世界の「平和・反核・軍縮・自由と民主主義・環境保全」に向かってリーダーシップを発揮する存在となる用件は何かについて、明治日本以来の中国・東アジアへの日本の侵略と加害の「歴史の克服」は日本国民共通の課題であり、それをふまえた「日中不再戦」運動の実態となるものです。単なる観察者にとどまることは反歴史的といえます。アメリカのジャパン・ハンドラーが時の安倍政権に迫って「専守防衛」の壁を取り払って集団的自衛権に基づく新安保体制を発動させ、アメリカの指揮下に自衛隊が陸海空一体となる日米共同演習が沖縄・南西諸島・本土でも常態化し、憲法改悪さえ具体日程に上っています。今回のロシアのウクライナ侵攻に乗じて「核の共有論」まで飛び出す始末。これにストップをかけるのは私たちの責任です。中国が東アジアと世界における「平和・反核・軍縮・自由と民主主義・環境保全」に向かってリーダーシップを発揮する時代を迎える大きな支えとなるでしょう。日本と中国の間には「日中共同声明」と「日中平和友好条約」という国交正常化以来の貴重な財産があり、民間には草の根の友好運動という営みがあります。

中国語初級講座4月開講 受講者募集!

初めて学ぶ人、基本を復習したい人が対象です

昨年度休講していた中国語「初級クラス」は2022年4月から再開します。現在受講者を募集しています。初めて学ぶ人、学習経験はあるが基本を復習したい方が対象です。講師は、中国・内モンゴル自治区出身の娜仁夫(ナランフ)さんです。フフホト市で中学の教師をしていました。1994年、私費留学で来日後日本語を習得し日本語能力試験1級合格、その後、大阪大学大学院で学ぶ傍ら当協会の中国語講師を20年余り担当しているベテラン講師です。この機会にぜひ中国語を学びましょう。

初級開講日:2022年4月22日(金)午後1:30~3:15(毎金曜日)

教室:日中友好協会兵庫県連合会「中国語教室」

JR摂津本山駅北口を東へ線路沿いに徒歩約1分、阪急岡本駅南へ徒歩約6分、山手幹線道路「本山北町3」の信号を南へすぐ「甲南ビラ」201号

入会金:10,000円(学生、協会員は不要)

受講料:35,000円(4月~9月分前納)

申込時に協会会員となられた方も入会金は不要です。

受講者が5人以下の場合は開講を延期する場合があります。

お申込み、お問い合わせ

日本中国友好協会兵庫県連合会「中国語を学ぶ会」

〒658-0003神戸市東灘区本山北町3丁目4-9「甲南ビラ」201号

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail: okmt50@nicchu-hyogokenren.net

中国百科検定に挑戦しよう!

中国百科検定とは? 趣旨と理念

『中国百科検定』は「日中両国の関係改善のためには、まず相手国への理解を深めることが大切」との強い思いから誕生しました。中国語の能力ではなく、中国の歴史・地理・政治経済・文化等、多方面の知識を問う、日本でも極めてユニークな検定試験です。2014年に始まり、今年7月16日(土)に開催する検定は第11回目を迎えます。

中国には「以民促官」という言葉があります。民をもって官を促す。たとえ政府間に困難があっても民間の交流を盛んにして状況を変えていく、という考え方です。現在の日中関係においても、互いの政府に期待するより、先ずは民、国民ひとりひとりが互いに隣国を知ろうとする気持ちを持つことが大切なのではないでしょうか。私たちは、国民の力、すなわち「草の根」の力が日中友好を前進させるものと信じています。

中国百科検定に挑戦しよう! 検定に向け学習会を開催します

第11回「中国百科検定」は2022年7月16日(土)午後3時~、兵庫県民会館で実施されます。検定に挑戦しましょう。そのための「中国を知る学習会」を開催します。7月の検定は初級・3級・2級の3コースがあり、どなたでも受験することができます。

中国を知る学習会の日程と内容(全5回)どなたでも参加できます!

4月18日(月)午後2時~4時 内容:地理 

5月16日(月)午後2時~4時 内容:歴史

6月13日(月)午後2時~4時 内容:政治・経済

7月4日(月)午後2時~4     内容:文化・芸術・スポーツ

7月11日(月)午後2時~4時 内容:模擬問題

会場:何れも 日中友好協会兵庫県連合会「教室」

JR摂津本山駅北口を東へ線路沿いに約1分「甲南ビラ」201号室

阪急「岡本」駅南へ約6分、山手幹線「本山北町3」信号南すぐ

資料代:200円/回        定員:10人

お申込み、お問い合わせ

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net

日中文化交流-展示会と講演会

―日中国交正常化50周年記念―

「書」と中国児童絵画の展示・講演「漢字の歴史」

昨年8月に開催予定の展示会と講演会は、コロナの影響で再々の延期となっていましたが、3月16日から開催することになりました。ぜひご来場下さい。

展示会は、漢字の発祥である「甲骨文字」を題材にした「書」など多数の作品と、2017年に加古川市を訪問し市内の中学校生徒との交流を深めた中国江蘇省の中学生徒の絵画作品を展示します。

「講演会」は漢字研究家の藤田而響先生が「甲骨文字と漢字の歴史」と題し講演します。漢字発祥の歴史と漢字文化の交流の視点から古代中国と日本の歴史、文化を学びます。

●「書と中国児童絵画の展示」

日時:2022年3月16日(水)~19日(土)9:00~17:30

   16日は13:00~、19日は17:00まで

会場:東播磨生活創造センター1F展示ギャラリー、タパス

●「講演会」

日時:2022年3月17日(木)14:00~16:30

会場:東播磨生活創造センター1F講座研修室

講師:藤田而響先生(ものしり文字会主宰)

テーマ:甲骨文字と漢字の歴史

何れも入場無料

主催:日本中国友好協会加古川支部

連絡先:☎090-8753-5972(前田)

第20回兵庫県平和美術協会「会員展」

絵画、書、写真、陶芸などの力作が展示される

小松益喜画伯が中心に発足した「兵庫県平和美術協会」は、『平和の壁に、花一輪を』合言葉に、広く美術愛好家の輪を広げてきました。「会員展」は兵庫県平和美術協会員による展覧会で、夏の展覧会よりは、出品数は少なめですが、絵画・書・写真・陶芸など力作が揃います。ぜひ、お知り合いお誘いのうえお越し下さい。

と き:2022年3月24日(木)~28日(月)

ところ:神戸アートビレッジセンター(兵庫区新開地5丁目)

神戸高速「新開地」駅東口上る、新開地商店街を南へ徒歩約3分

入場無料

主催:兵庫県平和美術協会 ☎070-1749-0112(宇山)

第51回神戸空襲犠牲者合同慰霊祭

感染対策をして今年も開催します!

昨年一昨年とコロナ禍の下、厳しい状況が続いています。1995年1月17日の阪神淡路大震災に見舞われた私たちを、またも続く自然災害を日本中の人々が助け合ってきました。新型コロナウイルス感染症拡大も、医療現場の皆さまの努力や働く皆さまの努力で収束が来ること、また人が人を傷つけあう戦争は人間の思いや想像力できっと避けられることを信じたいものです。

77年前の3月17日、5月11日、6月5日、8月6日と何度もあった神戸空襲を忘れないように、亡くなられた方々の無残な死や無念へ思いを新たにするために、亡くなられた方々を思うひと時を過ごします。ただ、今年も感染症拡大に配慮し、マスク着用や消毒の徹底などと、密集を避ける形で行いますのでご協力をお願い致します。

日時:2022年3月17日(木)午後1時30分~

場所:薬仙寺(神戸市兵庫区今出在家町4-1-14)

☎078ー671ー1696 市営地下鉄海岸線「和田岬駅」から案内板があります。(連絡先:080-1419-8208)

内容:空襲体験のお話、戦災体験集の朗読など

神戸空襲を記録する会

尖閣問題~平和的解決を~

「尖閣問題」がわかる日中友好ブックレット(Ⅰ)

2010年の尖閣諸島沖での漁船衝突事件以来、日本と中国の関係は悪化しています。この間、日中両政府による話し合いの動きもありましたが、日本の尖閣諸島「国有化」をきっかけに、その対立はエスカレートしています。両国の関係は日中国交回復以来、最も悪い状況になっています。世論調査では「相手国に対して良く思わない」という比率は両国とも約9割となっていますが、一方両国の関係は大事であり、関係を修復すべきだという声も約7割を占めています。

尖閣諸島問題については、雑誌や書籍、新聞など様々な角度から多くの論評がありますが、このブックレットでは、尖閣諸島をめぐる問題について、ここ数年の動きと、明治期以降を中心にその歴史的経過などをわかりやすく説明し、平和的な話し合いで解決すべきだという視点で解明しています。

日中友好協会は、1950年の創立以来、かつての中国に対する侵略戦争への反省から再び侵略戦争を許さないという精神のもとに、草の根の運動としてねばり強い運動を進めています。尖閣諸島の問題についても、こうした運動を地道に進めながら、両国の友好と平和に通じる解決を願い、国民への呼びかけと日中両政府へのはたらきかけを重ねています。このブックレットが、尖閣諸島の問題と日中友好のために少しでも役立つことを願っています。

1、尖閣問題の平和的解決めざすアピール 2、尖閣諸島とは 3、漁船衝突事件と「国有化」 4、尖閣諸島をめぐる歴史 5、日本、中国、アメリカ、東南アジアの動向 6、平和的な話し合いで解決を  資料・年表(ブックレット目次より

日中友好ブックレットⅠ「尖閣問題~平和的解決を~」

日本中国友好協会編 発行:本の泉社

定価:540円+税(送料別)

多くの方に今読んで頂きたいブックレットです!

日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax:078-412-2228

E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net 

ロシアによるウクライナ侵攻に協会が理事長談話を発出

日本中国友好協会本部は2月27日、ロシアによるウクライナ侵攻に対する理事長談話を発出し、在日ロシア連邦大使館に送付しました。

ロシアによるウクライナ侵攻を断じて許さず、紛争を平和的に解決し、武力に訴えないことを強く求める

ロシアによるウクライナ侵攻に心からの怒りと悲しみを禁じ得ません。いかなる戦争も、その犠牲になるのは一般市民であることを忘れてはなりません。日中国交正常化50周年にあたる今年、日本中国友好協会はあらためて、日中国交を正常化した1972の日中共同声明の精神に立ち返ることを訴えています。

日中両政府が平和5原則と国連憲章の原則に基づいて「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と宣言した日中共同声明の精神は、日中両国のみならず、国際社会が共有すべき規範となるべきものと考えます。いかなる理由があろうとも、戦争と核兵器を含む武力による威嚇を許すことは断じてできません。ロシアがウクライナに対する武力の行使を直ちに停止するために、日本と中国をはじめとした国際社会が共同して、平和的な話し合いによる解決をはかるためにあらん限りの力を注ぐことを心から求めるものです。

2022年2月27日

日本中国友好協会 理事長  松尾武蔵

中国の近現代史を学び現代中国の問題点を考える(2)

日中両国とも相手に良くない印象を持つ人が増加

昨年10月、言論NPOが2021年の日中共同世論調査(下に添付)の結果を発表、両国とも相手に良くない印象をもつ人が増加し、親しみを感じる人よりずっと多い結果が判明しました。

なぜ中国人は日本に良くない印象をもっているのか。その理由の77%の中国人が、日本は侵略の歴史をきちんと謝罪反省していないからと答えています。これを日本のメディアはほとんど報道しません。中国の人たちが、近現代史の中の中国について被害者意識をもっていることに注意する必要があります。これは国民感情といってもよいものです。私たちは、先ずそれを認識する必要があります。

中国にとって最大の課題は、列強の脅威への対応と侵害された国家主権の回復

アヘン戦争の敗北によって香港島を英国に割譲して以来、多くの国家主権が列強によって侵害されました。日清戦争(1894~95年)で台湾も日本に奪われました。領土だけでなく上海の租界のように主権が及ばない地域も生まれました。清朝改革派でも清朝打倒をめざした革命派でも、中国にとって最大の課題は、列強の脅威への対応と侵害された国家主権の回復と考えました。

中国国民党と中国共産党という二大民族主義政党が生まれた

中華民国になっても条約は基本的に引き継がれましたから、この状況に大きな変化はありませんでした。第一次世界大戦を契機に、中国では都市の資本家や労働者、学生のような新興の階級・階層が登場してきました。ロシアでは革命(1917年)が起こりました。こうして、中国国民党と中国共産党という二大民族主義政党が生まれました。1927年には南京に国民党政府が、1949年に中華人民共和国が成立しました。

国民党の時代、日本は31年に満州事変、37年に日中全面戦争を起こし、中国を乱暴に侵略した

日本の侵略により、多大の人命が失われ、計り知れない物的損害が生じました。中国は悠久の歴史を有し、それまで東アジアの大国として君臨してきましたから、近代の屈辱は民族的なトラウマとなったのです。今でも中国で愛国主義が強く主張され、これには中国の民主派と呼ばれる人々も同調するような土壌があることを日本人は理解しなければなりません。同時に、中国はかつて大国でしたから、その版図内に多くの民族を擁し、周辺の国家や地域の宗主権をもっていました。奪われた領土の奪回や主権の回復に奮闘した国民党や共産党も、清朝の最大版図を再度実現させることが民族主義の成就であると考えがちでした。

今日、国力でアメリカに迫るまで復興した中国は、新しい大国として、国内の民族問題とともに周辺諸国・地域の人々に歓迎される関係をどのように作れるかが問われていると思います。(井上久士駿河台大学名誉教授・日中友好協会会長)