ロシアのウクライナ侵略に対し中国は?

ロシアをどう抑えるか、中国は「中立」の立場ー日中友好新聞より

冷戦時代と違い、米国と並び世界経済の牽引役になった中国。「暴走」するロシア・プーチン大統領をどう抑えるか。「平和の舵取り」への期待は大きい。

国連の対ロ決議に棄権

ロシアのウクライナ侵略に対し、中国はすでに2月24日「中国はロシアに武器は提供しない。ロシアは大国であり支援の必要もない(外交部報道局長)と「中立」の立場を明らかにした。
「ウクライナ領内から全ての軍隊を直ちに完全・無条件に撤退させること」をロシアに求める決議をした3月2日の国連・緊急特別総会でも、反対ではなく「棄権」した。
習近平国家主席は「欧米などの経済制裁は、世界の金融、エネルギー、交通、サプライチェーンの安定に衝撃を与える」と発言、経済制裁について警戒感を示している。

軍事支援報道に反論

いま侵略戦争が続くなかで中国が当惑し警戒しているのは、中国がロシアと同一視されること。外交担当トップの楊潔篪共産党政治局員は3月14日、ローマでサリバン米大統領補佐官と会談したが、中国がロシアを軍事支援しているとの報道に「中国の客観的で正当な立場に泥を塗り偽情報を拡散している」と批判した。
英紙「フィナンシャルタイムズ」が3月13日、米政府当局者の話として「ロシアが中国に軍装備品の提供などを求めた」と報道したことに対しても、趙立堅副報道局長が14日「虚偽情報」と反発した。
問題なのは、「中国は問題そのものの是非にもとづき独立した客観的・公平な方法で判断し主張してきた」(同氏)と言っても具体的なその姿が見えないこと。
「朝日」などによると、国務院参事室公共政策研究センターの胡偉副理事長は3月11日、「中国は世界で唯一プーチン氏を阻止する能力を持つ国。この優位性を発揮しなければ」と強調、「プーチンと早急に手を切るべきだ」と国外ウェブサイトで主張した。だがこの論文は消され、読めない。これも中国の「当惑」である。(丸山重威・ジャーナリスト・写真、日中友好新聞4月1日号中国レーダーより抜粋)

中国の近現代史を学び現代中国の問題点を考える

日米共同声明に「台湾海峡の平和と安定」の重要性強調

昨年4月、菅前首相とバイデン米大統領との間で「日米共同声明」が出されました。「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」という一文を書き込みました。日米共同声明に台湾問題を明記するのは日中国交正常化以来なかったことです。

日本のメディアは中国の動向、脅威を報じ海峡の危機を煽る

昨年の自民党総裁選で、高市早苗氏なども中国の軍事的脅威を強調しながら、日本の防衛予算の大幅拡大を主張していました。また、日本のメディアは中国軍の動向や、その脅威を報じ、台湾海峡の危機が煽られています。

台湾政府が「台湾独立を正式に宣言」することが最も危険

中華人民共和国の立場は、台湾は中国の一つの省ということで、台湾を統一したいわけです。米国も日本もこの中国の立場を理解して国交を正常化し今日に至っています。台湾問題で最も危険なのは、台湾政府が中国から独立を正式に宣言することです。この時には、中国が本当に武力を使い、血が流れる可能性があります。

台湾の世論は「現状維持」が圧倒的多数

では、そんな恐ろしいことが起こる可能性が、にわかに高まっているのでしょうか。台湾の内閣にあたる行政院の大陸委員会が毎年、中国大陸との関係についての世論調査を発表しています。2021年9月の調査では、「すみやかに独立すべき」と答えたのは、6・6%にすぎません。過去の調査でも「すみやかに独立」が、台湾世論の1割を超えたことはないのです。85%は基本的に現状維持なのです。これが重要です。

台湾住民の多数は戦争の危機を感じていない

台湾の民意が、すぐに独立を求めているわけではありません。独立指向が強いといわれる民進党の蔡英文政権でさえ、「統一はしない」と主張していますが「独立する」とは言っていないのです。基本的に事態を冷静に見ているわけです。昨年10月に台湾民意基金会が行った世論調査では、「台湾海峡で遅かれ早かれ戦争が起き、大陸から攻めて来ると思うか」という質問に、64%が「そうは思わない」と答えている。「そう思う」と答えた人は28%にすぎません。台湾の人々は意外に戦争の危機を感じていません。

台湾問題は中国の国内問題、原点を忘れてはならない

確かに今日、中国の経済成長につれて軍事力も大きくなり、質的変化も見られます。私たちはもう一度、台湾問題の原点を確認すべきだと思います。それは、日本が日清戦争(1894~95年)から50年間、台湾住民の意思を無視して植民地支配をしてきたこと、ポツダム宣言を受諾して中国に返還された後の台湾の処遇は、中国の国内問題であるということです。この原点は決して忘れるべきではありません。(写真・井上久士日中友好協会会長、駿河台大学名誉教授、日中友好新聞2022年2月1日号より

中国江蘇省無錫市の「太湖隧道」が開通

昨年末に開通、全長10.79km、幅43.6m、湖底のトンネル

中国の鉄道、道路の交通網は年々新しく造設され大きく様変わりしています。「太湖隧道」は中国江蘇省無錫市の湖岸地区にあり、馬山街道と南泉地区の間に位置し、太湖の下を通る蘇錫常南高速道路の湖底トンネルです。2017年6月から事前の準備作業を始め、2018年1月9日、正式に着工し、4年の工期をかけて2021年12月30日に開通しました。「太湖隧道」は全長10.79km、道幅43.6m(各3車線)で通行料は昨年5月に決定され、50元(約900円)となっています。これは、中国の湖底を通るトンネルとしては長さ、道幅も最大だそうです。

「一九四六」神戸展 安斎育郎実行委員会代表の就任あいさつ

私はこのたび、王希奇先生の絵画の神戸展実行委員会代表を務めさせて頂きます安斎育郎と申します。どうぞ宜しくお願いします。私が終身名誉館長を務める立命館大学国際平和ミュージアムは、世界の大学に先駆けて、1992年に総合的な平和博物館を開設しました。立命館大学も戦時には約3000人の学生を戦場に送り、1000人近い学生の命を失っています。戦後、立命館大学は戦時の教学のあり方を深く反省し、「平和と民主主義」を教学理念として採用しました。国際平和ミュージアムは現在リニューアル休館中ゆえお招きすることは叶いませんが、2023年9月にリニューアル開館の折には機会を見てご訪問を歓迎致したく存じます。

国際平和ミュージアムは、太平洋戦争のもとで全土が戦場となった日本が受けた「被害」の側面だけでなく、それに先立つアジア・太平洋諸国に対する「加害」の歴史も取り上げています。侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(南京虐殺記念館)とは協力協定を締結しています。私は2018年~2020年、「平和のための博物館国際ネットワーク」のGeneralCoordinatorを務め、2020年9月には成功裡に第10回国際平和博物館会議をオンラインで開催しました。同時に開催した「マンガ・パンデミックWeb展」には、中国の漫画愛好家から多数の応募をいただきました。文化は国境を超えるひとつの例でもありました。

王希奇先生の作品が日本各地で展覧され、多くの日本人が(若い人たちも含めて)戦争の悲惨さ、非情さ、非人間性を理解する助けとなることは、何と有難いことでしょう。展覧会の機会を与えて頂いたことを、深く感謝申し上げます。神戸展の実行委員会代表を務めるにあたり、改めて心より御礼申し上げます。日本では落ち着いているかに見える新型コロナ・ウイルス感染症は、世界的に新たな感染流行の様相を呈しています。皆様十分ご自愛の上、ご健勝にてお過ごし下さい。

安斎育郎(立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長)

「一九四六」王希奇(魯迅美術学院教授)神戸展

●日時:2022年8月31日(水)~9月4日(日)10:00~18:00

(最終日は15:00まで)

●会場:兵庫県立原田の森ギャラリー本館2階大展示室

(https://hyogo-arts.or.jp/harada/)

●入館料 大人1000円(大学院生以下無料)

主催:「一九四六」神戸展実行委員会

事務局:☎090-3714ー6228

E-mail:smiyahara0405@gmeil.com

中国人画家が葫蘆島からの引揚げを描く

「一九四六」神戸展、10年半かけて描いた大作を展示

「一九四六」の作者は、魯迅美術院(遼寧省瀋陽市)の王希奇教授(61)。この絵は、1945年8月の日本敗戦後、「満州」に取り残され難民状態となった日本人が遼寧省の葫蘆島に集められ、1946年に始まった帰還事業の様子を描いたものです。作者の王さんは、祖父から話を聞き、着の身着のままの子ども達が写った当時の写真に衝撃を受け作品制作を決意したとのことです。この絵は縦3m×横20mの大作で引揚者の表情が繊細に描かれています。これまでに東京・舞鶴・仙台・高知で開催され感動と注目を集めています。今回計画している神戸展を最後に、現在建設中の葫蘆島引揚紀念館(仮称)で常設展示される予定です。

「神戸展の日時、会場」

日程:2022年8月31日(水)~9月4日(日)

時間:午前10時~午後6時(9/4は午後3時迄)

会場:兵庫県立原田の森ギャラリー2F大展示室(阪急王子公園駅西、JR灘駅北へ)

入場料:大人1,000円(大学院生、大学生以下無料)

詳しい内容は下記の神戸展ホームページをご覧下さい。

URL: https://free.yokatsu.com/koube/

主催:「一九四六」神戸展実行委員会

実行委員会事務局・☎090-3714-6228(宮原)

日中友好協会兵庫県連合会・☎078-412-2228

ドキュメンタリー映像「決壊~祖父が見た満州の夢」

講演「河野村開拓団と祖父と私」~胡桃澤伸氏

長野県河野村の村長であった胡桃澤盛の孫、胡桃沢伸は、大勢の村人を死に追いやった祖父、自責の念に苦しみ自殺した祖父のことを、どう受け止めていいかわからずにいた。手がかりになるのは10代の終わりから死の直前まで書いていた日記、青春時代は大正デモクラシーに触れ、自由主義に理想を求め、30代半ばで村長となり村のために奔走する日々の心情が、生々しく綴られている。家族のため、村のため、社会のために行きたい、常に正しくありたいと願っていた祖父は、気がつけば国のため、戦争遂行のために邁進していた・・・。

日時:2021年11月20日(土)午後1時~4時30分

会場:尼崎市中央北生涯学習プラザ1F大ホール

「尼崎医療センター」バス停から西へ徒歩約3分

入場無料(予約不要)三密を避けて椅子を配置します

●ドキュメンタリー「決壊~祖父が見た満州の夢」(信越放送)

戦争中、長野県河野村で村長を務めた胡桃澤盛は国策に従い、村人を満蒙開拓団として、満州へ送り出した。しかし、ソ連軍の侵攻で戦場と化した満州で、73人が集団自決。後に、盛は、罪の意識に苛まれ、42歳で自らの命を絶った。

●講演「河野村開拓団と祖父と私」~胡桃沢伸(精神科医・劇作家)

●対談交流:胡桃澤伸氏と大兵庫開拓団2世の皆さん

写真と資料で辿る「満州・移民」撮影・編集構成:宗景正

1Fロビー(大ホール前)

期間:11月17日(水)~20日(土)9:00~20:00(20日は17時迄)

主催:尼崎市(委託事業団体:コスモスの会尼崎日本語教室)

後援:尼崎市教育委員会

協賛:近畿中国帰国者支援・交流センター・大阪中国帰国者センター

問い合わせ:コスモスの会 090-7489-7091(石打)

「9・18 満州事変」から90年

中国侵略15年戦争の始まりとなった「満州事変」

中国東北部に駐留していた日本の関東:軍は、1931年9月18日、奉天(現・瀋陽)近郊で、日露戦争後にロシアから譲渡され日本の南満州鉄道(株)が経営していた鉄道線路が爆破され、関東軍はこれを中国軍の仕業(戦後、関東軍の謀略と判明)として軍事行動を起こしました、これが柳条湖事件(「満州事変」、中国呼称は9・18事変)です。当初、日本政府は不拡大方針をとっていましたが、後に関東軍の軍事行動を容認します。(写真下は線路爆破現場)

関東軍は「満州」各地を軍事力で占領し、1932年日本の傀儡国家「満州国」を建国させました。これに対し、国際連盟の会合で加盟各国から非難され、国際社会で孤立した日本は国際連盟を脱退、以後、侵略戦争拡大へ突き進み、1937年7月7日の盧溝橋事件を契機に中国全土へ戦火を拡大、1941年12月8日にはアジア・太平洋戦争へと更に拡大し、2,000万人を超すアジアの人々の命を奪い、資源を略奪、国土を破壊しました。この侵略の歴史を忘れず、加害国の国民として、事実を語り伝え、二度と過ちを起こさせないと誓うことが真の信頼回復、友好へつながる道ではないでしょうか。(U)

中国の古典音楽

伝統音楽は3層構造に分かれていた

20世紀の初めまで、中国の伝統音楽は、「正楽」として君主層の廟堂音楽(雅楽)・宮廷音楽、士大夫層の文人音楽・芸術音楽、「俗楽」として庶民層の民間音楽・芸能音楽という3層構造に分かれていました。近代の中国革命後は正楽と俗楽という儒教的価値観による区分はなくなり、「俗楽」も伝統音楽として芸術的価値を評価されるようになりました。

中国の民間音楽は、時代や地域ごとに豊かな特色を持っています。代表的な楽器の一つである胡琴では、無名の芸人たちは、その地域の方言による歌声の音色に合うよう、楽器の材料や音高、音色、奏法などを様々に工夫してきました。京劇の音楽で使われる京胡は甲高い歌声に合わせた力強い高音が出るが、江南地方など南方の民謡の伴奏で使われる南胡は穏やかな歌声にあった優しい中音域が出るなど同じ胡琴でも様々であった。現在、中国の国内外で最も普及している「二胡」は、20世紀半ばに江南系の南胡をベースとして改良を加えて完成した伝統楽器です。

一般的に、伝統的な民間音楽は5種類に大別されています。

1.民間歌曲   2.民間歌舞音楽  3.民間器楽  4.説唱音楽(曲芸) 5.戯曲音楽 これら5種類の民間音楽は音楽の風格やメロディー、リズム、使用楽器の種類や奏法などが大きく異なります。(中国百科検定公式テキスト「中国百科」より)

中国憲法・「公民」の基本的権利と義務

「公民」と「人民」について

中国憲法は、第2章で「公民」の基本的権利と義務を定めている。2004年の改正までは「人権」という用語はなかった。ここにいう「公民」とは、中国という政治社会の一員であって、そのことにより憲法が定める権利の主体となるという考え方に基づいている。日本国憲法において国民の権利とされるものは、国籍が重要な要件となる場合を除いては、日本国籍を有する者に限られないと解されている。それは日本国憲法が人権という考え方を基礎としているからである。

中国憲法33条は中華人民共和国国籍を有する人を「公民」としているので国民と訳すこともできる。国家の一員であって初めて権利の主体となることが合意されているので、市民という訳も可能である。どう訳しても説明が必要な言葉である。

中華人民共和国国籍を有する人の集合を「公民」とすると、その大部分は「人民」であり、それ以外に少数ではあるが「人民の敵」となる人々がいるというのが中国の法や政治の発想である。憲法1条に言う人民民主独裁と言う時の「人民」や、憲法2条が「中華人民共和国の一切の権力は、人民に属する」と言う時の「人民」はこれである。

人民民主独裁とは、「工人階級」(労働者階級)が指導し、「工農同盟」(労農同盟)を基礎とする政治原理である。「人民」とは労働者階級や農民階級に属する人々からなる。農民は、人民の中の指導階級ではなく、指導階級たる労働者の同盟者であるという扱いであり、かつては農村部と都市部とでは1票の価値は、前者の方が低く設定されていた。現行の選挙法では1票の価値は同等に設定されている。今日では、知識人や企業家も労働者階級に準じて扱われるし、利子・配当・家賃収入がある人も含まれるので人民の範囲は広い。(中国百科及び同増補分新版より、図は百度図片)

大陸から黄砂大量飛来の中、桜満開!

黄砂で視界不良、市街の建物や山が霞む

コロナ禍の3月30日、大量の黄砂が日本列島に飛来しました。黄砂は、東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の砂塵が強風により砂塵嵐(砂嵐)となって上空に巻き上げられ飛散し一時的に視界を遮られる現象で、空気中にほこりや砂が滞留するため人体への影響や、交通障害の原因ともなります。気象庁は黄砂飛来情報を発表し注意を呼びかけています。(上は、3月27日~29日、中国中央気象台の砂塵飛来天気予報図。下は、3月16日の北京市内の様子。謄訊網より)

神戸市では30日午前中から視程が4Kmと悪く、山や市街地の建物がぼんやり霞んでいました。中国ではさらにひどい状況になっているようでこの時期、柳やポプラの綿毛の飛散と合わせ外出時は厳重な警戒、予防対策が必要となっています。コロナ感染拡大や黄砂飛来の中にあっても季節は春、桜が満開に咲き誇り訪れた人の目を楽しませていました。(写真は3月31日、垂水区名谷町の垂水健康公園満開の桜)