北宋の詩人「王安石」の詩を読む

農民や零細商人への不平等を是正しようとした政治家!?

北宋の詩人・王安石(1021~1086)、字は介甫、江西省臨川の人。王安石は詩人として名高いばかりでなく、文章家としても著名で、唐と宋の名分家八人の一人に数えられているが政治家としても傑出していた。

仁宗の慶暦二(1042)、22歳の若さで科挙に及第しながらも、自ら志願して地方回りの官僚を務めていた。地方官暮らしは十余年にもわたっていた。この時、農民生活の見聞が神宗の目にとまって中央に呼び戻され、政治を担当するようになってから一連の革新的な諸施策に反映することになった。新法と総称される諸施策は、現代歴史家の再評価を受けるまでは甚だ評判の悪いものであったが今日では、そのころ目立ちはじめた社会矛盾が農民や零細商人にしわ寄せされていた不平等を是正しようとしたものとされている。

しかし、現代の人でも、例えば林語堂のように王安石に否定的評価を下す人もいる。問題はこの後政界が新法党と旧法党の対立という形で動いてゆき、次第に政策の対立を離れて個人的感情の対立で以降の宋の政治が運営されていったことである。これがひいては宋王朝の命脈を縮めることともなり、その責任まで王安石にかかって悪評につながるのである。(石川忠久編、漢詩鑑賞辞典より)

王安石の詩「夜直」(宮中に宿直した時の詩)

金爐香盡漏聲殘  金炉香尽きて漏声残す

翦翦輕風陣陣寒  翦翦の軽風陣陣の寒さ

春色惱人眼不得  春色人を悩まして眠り得ず

月移花影上欄干  月は花影を移して欄干に上らしむ

※第26回「漢詩を読む会」は4月17日(土)午後2:30~開催します。テーマは王維「田園楽」と孟浩然の「春暁」

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