「気球撃墜」の危険性―宇宙を戦場にするな!

「懸念」や「デマ」が戦争を招く

米国の上空に、巨大な気球が現れ、米軍は2月4日、この気球を大西洋上で空対空ミサイルで撃墜した。米軍は「気球は中国が戦略拠点を監視する目的で使った偵察気球」とし、ブリンケン国務長官の訪中予定を延期した。しかし中国外務省は「気球は民間のもので不可抗力で米国に入った。米国には繰り返し伝えている」と主張。「中国は米国に対し、冷静かつ専門的、抑制のきいた方法で適切に対処するよう要請してきた」と表明。対抗措置の可能性を示した。まだ真偽は明らかではないが、日本はあくまで一方に加担せず、軍事衝突回避に動かなければならない。報道によると、中国の気球はトランプ政権時代に3回、バイデン政権になってからも1回、米国への飛来があったという。

米本土への気球、といえば思い出すのは第2次大戦中、日本が飛ばした「風船爆弾」。約9000個が放たれ、約300個が到達。被害者も出たという。現在、飛行機が飛ぶ高さを超えた「宇宙空間」は1966年の「宇宙条約」で探査や利用は「すべての国の利益のために、国際法に従って全人類が自由に行う」とされている。「いずれの国家も領有権を主張できず、核兵器など大量破壊兵器を運ぶ物体(ミサイル衛生など)を地球を回る軌道に乗せ、宇宙空間に配備してはならない。月その他の天体は専ら平和目的のために利用され、軍事利用は一切禁止」とも規定した。

中国がどんな形で「制御不能の気球」を知らせたのかが分からないが、もしそうなら、確かに「武力行使に固執したのは明らかに過剰な反応。国際慣行に反する」ものだ。報復や対抗措置は支持できないが、中国が「企業の正当な権利を守る」というのも当然だ。ストルテンベルグNATO事務総長は「ロシアと中国の軍事連携への懸念」を強調した共同声明を発表。米CIAは「中国は2027年までに台湾に侵攻する」などとデマ情報を流し危機を煽る。その「懸念」や「デマ」が戦争を招く。「たかが気球、されど気球」―戦争の芽はみんなで摘むことが必要だ・(丸山重威=ジャーナリズム研究者。日中友好新聞3月1日号中国レーダーより、写真=wikipediaより 

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