佟岩先生の「日中漢字比べ」

「深」と「濃」は何が違う

秋まさに深し。中国語では「秋意正濃」という・「深」(shen)と「濃」(nong)は、何が違うのだろうか。「深」の右側は、体内から赤ん坊をまさぐりだす様子で、体の奥深いところにあり、いずれ生まれてくる大切な本質を指していた。

「深」は、水の奥底だ。「深海」、「深夜」は海や夜の奥底であり、本質である。「深謀」は奥底にある本質的なことまで周到に考え、「深談」は奥底にある本質まで突っ込んで話すという意味だ。そして、奥底は遠くにあるが、此処とつながっている。此処から徐々に「深」に至ることができる。日本では、秋が最も秋らしく本質を徐々に現していく時間の流れを、「秋が深い」と表現しているのだろう。

一方、「濃」は「水」と「農」からなる。「農」は、粘っこいという意味だ。単なる水ではなく、粘っこくて「濃」いのは、何かの成分が多量に入っているからだ。そこから、匂いや味の度合いが強いことも、「濃」で表すようになった。「濃度」、「濃い茶」(濃茶)、「匂いが濃い(味ル很濃)」などである。中国語の「秋意正濃」は、秋の成分が多量にぎっしり入った空間・情景を指しているのだろう。

秋の奥底にある本質が徐々に現れてくる時間の流れを重視した、日本の「秋の深さ」。秋の要素がぎっしり詰まった目の前の空間に感動する、中国の「秋意正濃」。もしかすると、同じ紅葉を見ても感動のポイントに微妙な違いがあるのかも知れない。(西日本華文教育者協会理事・日中友好新聞11月15日号より

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