米の対中戦略に従う日本

「台湾有事」に揺れる南西諸島―公道を走る戦車

「台湾有事」問題で、2月1日付「日中友好新聞」に掲載された石堂徳一氏(八重山台湾親善交流協会事務局長)の記事を紹介します。

沖縄県民は深い憂慮

今、ロシアがウクライナに侵攻し、テレビ、マスコミでは連日、ロシアの非人道的な映像を流している。専制国ロシアと、民主主義国家ウクライナの戦争だと。アメリカは、民主主義を守るためとウクライナに大規模な戦力武器を供与している。

さて、沖縄県民の私としては思うのです。果たしてアメリカは民主主義の国家なの?と。なぜならば、77年(米統治27年、沖縄日本復帰後50年)にもわたり沖縄に君臨、蹂躙し、県民に耐えがたい悲しみを与えていることを思えば、とても民主主義国家とは思えない。陰で操っているのは米ではないかと疑念さえ抱く。

南西諸島を軍事要塞化

そのロシアのウクライナ侵攻と同様なことが起きる。中国が台湾に侵攻すると、「台湾有事」。それは同時に「日本有事」だと煽りたてている。その備えとして、南西諸島に中国による侵攻を迎撃するための基地を配備強化することが緊急な課題だと世論を操作している。宮古島、与那国島には、すでに自衛隊基地が配備され、石垣島は造成中である。

与那国島では昨年11月沖縄県内で初めて公道を堂々と走行する自衛隊戦車、そして軍事訓練があった。自衛隊誘致に賛成した島民さえも驚く異様な風景であった。さらに、自衛隊基地の施設追加拡大(18万平方メートル)、ミサイル部隊の配備などが来年度予算に盛り込まれ、住民は避難場所のシェルター増築などを国に要請する事態となり、緊張感が高まっている。

果たして「台湾有事」はあるのか。煽動されてはいないか。結論から言うと、台湾が「独立」をいわない限り「台湾有事」はおこらない(現状維持)。

日中は武力不行使公約

現在、日本は米と共に中国への対抗戦略を構築中だが、かつて日本は中国との国際的な約束をしている。信義は守らなければならない。1972年の国交回復共同声明には「日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は平和友好関係を樹立すべきであり、また樹立することが可能である」「日本及び中国が相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は、武力による威嚇に訴えないことを確認する」と明記されている。

日中両国は、「武力衝突はしない」と明確に国際世界に表明したのであった。同共同声明では、「台湾が中国の領土の一部であり、日本は中国の立場を理解し、尊重する」とも記している。したがって、「台湾を守るために自衛隊を出動することは想定外であった。

米は有事に自衛隊利用

中国は、これまで台湾の「平和的統一」をいっていたが、「武力による統一もありうる」と述べるに至った。その背景には米の台湾への関与がある。かつて米国のCIAを統括し、米国大統領直属の国家安全保障会議議長のジョセフ・ナイの「対日超党派報告書」では、要約「米の利益のためのチャンスは、中国と台湾の軍事衝突であり、はじめは米軍がオモテに出るが徐々に日本自衛隊を前面に立たせること」と記している。現在の「台湾有事」は、米国の戦術に、日本は踊らされているのではないかと危惧するのである。(日中友好協会沖縄県支部会員・八重山台湾親善交流協会事務局長)

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