梶谷懐教授と学ぶ「幸福な監視国家・中国」2回シリーズ

第1回 コロナ禍を「封じ込めた」中国~人民戦争か、市民社会か~(仮題)

武漢から始まったコロナ禍、それを「抑え込んだ」中国の監視社会と功利主義について学びます。日本でも菅内閣が今国会にデジタル関連法案を提出しました。梶谷教授が名付けた「幸福な監視国家・中国」の「幸福」の意味を知ることを第1歩に学習します。今回は先着50名限りの参加とします。

日時:2021年5月29日(土)14時~16時30分(開場は30分前)

会場:神戸市勤労会館4階405/406号室

講師:梶谷懐 神戸大学大学院経済学研究科教授

専門は現代中国の財政・金融

先着50名(定員120名の会場ですがコロナ感染防止のため)

マスク着用、検温、アルコール消毒、3密回避で開催

資料代:1,000円 障害者・18歳以下は500円

主催:神戸芝居カーニバル実行委員会

問い合わせと申込み:090-1914-4907(中島さん)

茶葉を押し固めて作る「緊圧茶」

緊圧茶の歴史を学び、4種の茶を味わう

4月21日開催の中国茶講座はコロナ拡大が進む中でしたが、11人が参加し、「緊圧茶」について学び、試飲しました。神田貴子講師によれば、「緊圧茶」は茶葉を押し固めて作り、主にプーアル茶などの黒茶で作られていましたが、近年は中国各地で様々なお茶の緊圧茶が作られるようになり、ここ10年ほど緊圧茶ブームの様相を呈しているそうです。21日の講座ではプーアル茶以外の緊圧茶が紹介されました。

緊圧茶の歴史を学び、本日の銘茶として、餅干白茶寿眉(福建省鼎市)、漳平水仙(福建省龍岩市漳市)、大紅袍茶磚(福建省武夷山市)、安化黒磚茶(湖南省益陽市安化県)の特徴、味、色、香りなどの特徴について説明を聞きながら味わいました。「中国茶講座」5月は休講し、6月開催は新型コロナ感染拡大状況により判断し決めることになりました。

中国憲法・「公民」の基本的権利と義務

「公民」と「人民」について

中国憲法は、第2章で「公民」の基本的権利と義務を定めている。2004年の改正までは「人権」という用語はなかった。ここにいう「公民」とは、中国という政治社会の一員であって、そのことにより憲法が定める権利の主体となるという考え方に基づいている。日本国憲法において国民の権利とされるものは、国籍が重要な要件となる場合を除いては、日本国籍を有する者に限られないと解されている。それは日本国憲法が人権という考え方を基礎としているからである。

中国憲法33条は中華人民共和国国籍を有する人を「公民」としているので国民と訳すこともできる。国家の一員であって初めて権利の主体となることが合意されているので、市民という訳も可能である。どう訳しても説明が必要な言葉である。

中華人民共和国国籍を有する人の集合を「公民」とすると、その大部分は「人民」であり、それ以外に少数ではあるが「人民の敵」となる人々がいるというのが中国の法や政治の発想である。憲法1条に言う人民民主独裁と言う時の「人民」や、憲法2条が「中華人民共和国の一切の権力は、人民に属する」と言う時の「人民」はこれである。

人民民主独裁とは、「工人階級」(労働者階級)が指導し、「工農同盟」(労農同盟)を基礎とする政治原理である。「人民」とは労働者階級や農民階級に属する人々からなる。農民は、人民の中の指導階級ではなく、指導階級たる労働者の同盟者であるという扱いであり、かつては農村部と都市部とでは1票の価値は、前者の方が低く設定されていた。現行の選挙法では1票の価値は同等に設定されている。今日では、知識人や企業家も労働者階級に準じて扱われるし、利子・配当・家賃収入がある人も含まれるので人民の範囲は広い。(中国百科及び同増補分新版より、図は百度図片)

菅首相による靖国神社への真榊奉納に抗議する

日本中国友好協会本部は、4月21日に菅首相が靖国神社の春季例大祭に合わせ真榊を奉納したことに対し抗議文を首相宛てに送付しました。以下は送付した抗議文です。

内閣総理大臣 菅義偉殿

菅首相による靖国神社への真榊奉納に抗議する

靖国神社の春季例大祭にあたる21日、菅義偉首相は「内閣総理大臣」の肩書で靖国神社に真榊を奉納した。菅首相の靖国神社への供物の奉納は、昨年10月の同神社秋季例大祭時に続くものであり、首相による春秋の例大祭での真榊奉納と終戦記念日の玉串料奉納が毎年繰り返されている。

靖国神社は侵略戦争に国民を動員する精神的な支柱であっただけでなく、A級戦犯を合祀し、侵略戦争を美化・正当化し宣伝する施設となっている。政教分離を定めた憲法に違反する行為は、国を代表する首相が侵略戦争を正当化し、「大東亜戦争聖戦論」の立場に立つことを内外に示し、日本が再び軍国主義の道を歩むのではないかとの国際的な疑念を生じさせるものである。

さらに、菅首相とバイデン米大統領が16日(日本時間17日)に発表した共同声明で台湾問題に言及したことで、中国政府の「ひとつの中国」の立場を尊重してきた日本の基本的な立場への疑念が生じ、台湾海峡の軍事的な対立をあおる懸念が強まっている中で、靖国神社への真榊奉納が日中両国間の信頼関係を大きく損なうことを強く危惧する。

日本中国友好協会は、侵略戦争の美化・正当化と宣伝につながる靖国神社への真榊の奉納と参拝に強く抗議するとともに、国際社会が共有する歴史認識を重視し、日中平和友好条約をはじめとした日中両政府間で確認された精神のもとに、アジアと世界の平和と安定のために平和国家としての役割を果たすことを日本政府に強く求めるものである。

2021年4月22日

日本中国友好協会(会長 井上久士)

王維「田園楽」と孟浩然「春暁」を読む

唐代の自然派詩人としての王維と孟浩然

王維(699~759)、太原(山西省)の人、子供の頃から聡明をうたわれ十代で既に詩人として名を成していたことが知られている。二十一歳の若さで進士に及第。役人となった王維は気の合った友人たちと「半官半隠」の閑適の暮らしを楽しんだ。安禄山の乱により賊軍に捕まり無理やり官につけられたことが乱平定後問題となり官位を下げられたが尚書右丞(書記官長)まで進んだ。熱心な仏教信者で字を摩詰という。

「田園楽」王維 六言絶句

桃紅復含宿雨 桃は紅にして復た宿雨を含み

栁緑更帶春煙 柳は緑にして更に春煙を帯ぶ

花落家僮未掃 花落ちて家僮未だ掃わず

鶯啼山客猶眠 鶯啼いて山客猶お眠る

形式は六言絶句。これにならった詩はいくつかあるが、一般的な形式にならなかったのは、中国人のリズム感覚の中で、六言は五言や七言に比べて落ち着きが悪かったからと思われる。(石川忠久漢詩鑑賞事典より)

孟浩然(689~740)、湖北省襄陽の人、科挙に及第できず各地を放浪したり、襄陽郊外の鹿門山に隠棲していたりという生活をしていた。四十歳ころ都へ出て、王維や張九齢らと親交を結んだ。唐代の自然派詩人として王維とともに「王孟」と並称される。

「春暁」孟浩然 五言絶句

春眠不覚暁 春眠暁を覚えず

処処聞啼鳥 処処啼鳥を聞く

夜来風雨声 夜来風雨の声

花落知多少 花落つること知んぬ多少ぞ

次回「漢詩を読む会」は2021年6月19日(土)午後2:30~

中国「残留孤児」支援の日本語教室再開

日本の文化や習慣に馴染み、日常生活が支障なく過ごせるように

新型コロナウイルスの感染拡大により、今年1月以来休講していた帰国者のための神戸岡本「日本語教室、生活講座」が4月8日から再開しました。明石教室は3月から再開しています。ただ、感染予防の対策を徹底し、両教室とも隔週交互の参加とし、一回の参加者数を半減にしての開催となっています。

委託事業者の中国「残留日本人孤児」を支援する会は、事業目的について「中国帰国者の日本語習得のニーズに応えながら、幼少期からの生活環境と全く違う日本で、帰国者が日本の文化や習慣に馴染み日常生活を支障なく過ごし、生活に潤いを持つことで、楽しく心豊かに暮らせるようにする。日本の文化的な習慣を学習したり、自身の生活を保持し、知識を高める学習の機会をつくることは、帰国者同士の交流ばかりではなく帰国者自身が日本語で色々な場面での言い方を習得し、コミュニケーションの力を高め、地域でのかかわりに目を向けたり、文化的な趣味や娯楽に興味関心をもったりして、日常生活を積極的に過ごせることにつながると考えます」と事業実施計画に記しています。

ここは最高の太極拳練習場!

明石海峡を目の前に、眺め抜群、気分爽快!

朝霧太極拳同好会はこれまで神戸市垂水区の垂水年金会館で練習を行ってきましたが、今年4月から来年3月まで、耐震工事のため使用できなくなりました。同会は、舞子駅南の舞子公園内に建つ「橋の科学館」併設のレストラン野外板敷スペース、海峡に面しまるで舞台のようですが、現在使用されていないとのことで科学館の許可を得て4月8日から練習を始めています。コロナ感染が再び拡大している中、ここでは余り気にせず練習ができ、目の前に広がる、海峡と大橋の絶景を背景に爽快な気分で太極拳を行っています。朝霧太極拳同好会は現在メンバーが少なくなったため、一緒に練習できるメンバーを募っており、初めての人歓迎と参加を呼びかけています。

練習日:毎月 第2、第3、第4木曜日 9:30~11:30

場 所:舞子公園内「橋の科学館」南側野外板敷スペース

参加無料

朝霧太極拳同好会 080-3767-4986

中国人戦後補償裁判の記録

裁判の記録は真の和解を進める重要な指針

正義をかなえてほしい!深い傷を負わされた中国人たちの思いを受け止め、司法の壁に闘いを挑んだ日本の弁護士・市民の記録

1931年の柳条湖事件(「満州事変」)から日本敗戦まで、日本軍はのべ百万に及ぶ兵士を中国大陸に送り込みました。日本軍は中国の人々に対して、虐殺・人体実験・強姦・強制連行(強制労働)など残酷極まりない所業を繰り返し、その犠牲者は数千万人と言われています。

戦後になっても、日本軍の遺棄した毒ガス兵器・砲弾による甚大な被害が発生しています。日本の司法は一貫して、国家賠償法がなかった戦前の日本の賠償責任を否定し、中国人原告らの訴えを退けてきました。

原告となった中国人の思いを受け止めた日本の弁護士たち、そして裁判活動を支えた市民の闘いを記した「中国人戦後補償裁判の記録」は、日本が近隣諸国との真の和解を進めていくための重要な指針となります。

目次 四六判上製 316ページ 

序・なぜ弁護士たちは立ち上がったか

1・平頂山事件 2・南京虐殺、無差別爆撃、731部隊事件

3・遺棄毒ガス・中国人「慰安婦」訴訟 

4・強制連行、強制労働事件

5・裁判を支えた市民の活動 6・壮大なオーラルヒストリー

中国人戦争被害賠償請求事件弁護団 編著

発行所:株式会社 高文研 定価:2,500円+税

高文研:03-3295-3415

URL:http://www.koubunken.co.jp

「研究中国」誌をご購読下さい!

2021年4月1日発行の「研究中国」誌第12号(通巻132号)が到着しました。今号は3つの特集からなります。

●特集1 変化する中国社会

「中華人民共和国民法典と人格権」「米州技術覇権競争とファーウェイ」「コロナ禍への監視国家中国と国民の対応」

●特集2 「ポストコロナ」の新しい日中関係をめざして

日中友好協会創立70周年記念シンポジウム

シンポジスト―進藤榮一、朱建栄、山本恒人

●特集3 香港問題を考える

「国安法制定と香港の行方」「香港市民の対大陸感情」「排外主義の世界的拡がりと香港『民主派』

発行:日本中国友好協会『研究中国』刊行委員会

年2回発行 定価:1部 600円(送料164円)

お申込み先

日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax(078)412-2228

E-mail:okmt50@nicchu-hyogokenren.net

大陸から黄砂大量飛来の中、桜満開!

黄砂で視界不良、市街の建物や山が霞む

コロナ禍の3月30日、大量の黄砂が日本列島に飛来しました。黄砂は、東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の砂塵が強風により砂塵嵐(砂嵐)となって上空に巻き上げられ飛散し一時的に視界を遮られる現象で、空気中にほこりや砂が滞留するため人体への影響や、交通障害の原因ともなります。気象庁は黄砂飛来情報を発表し注意を呼びかけています。(上は、3月27日~29日、中国中央気象台の砂塵飛来天気予報図。下は、3月16日の北京市内の様子。謄訊網より)

神戸市では30日午前中から視程が4Kmと悪く、山や市街地の建物がぼんやり霞んでいました。中国ではさらにひどい状況になっているようでこの時期、柳やポプラの綿毛の飛散と合わせ外出時は厳重な警戒、予防対策が必要となっています。コロナ感染拡大や黄砂飛来の中にあっても季節は春、桜が満開に咲き誇り訪れた人の目を楽しませていました。(写真は3月31日、垂水区名谷町の垂水健康公園満開の桜)