中唐の詩人・張籍の「秋思」を読む

秋風の気配を感じ望郷の念にかられる

「張籍」(768~830?)字は文昌、和州烏江(安徽省)の人とも蘇州呉(江蘇省)の人とも言われる。汴州(河南省)における進士の予備試験で、才能を試験委員の韓愈に認められて首席に選ばれ貞元十五(799)年、31歳の時、一度で及第。国子博士、国子司業、水部員外郎などを歴官している。

韓愈門下の詩人であるが、詩風は白居易・元稹に近く、元和体という社会派の詩風を確立して同じ韓愈の党人王建と楽府に新機軸を出し、世に「張・王の楽府」と併称された。白居易からは「尤も楽府の詩を工みにす、代を挙げてその倫(ともがら)少(まれ)なり」と讃えられている。(石川忠久編「漢詩鑑賞事典」より)

秋 思(秋の思い) 張籍 七言絶句

洛陽城裏見秋風 洛陽城裏秋風を見る

欲作家書意萬重 家書を作らんと欲して意い万重

復恐怱怱説不盡 復た恐る怱怱説いて尽きざるを

行人臨發又開封 行人発するに臨んで又封を開く

・洛陽:河南省洛陽市 ・城裏:まちの中

・意萬重:つのる思いに、あれこれ書きたくなること

・怱怱(そうそう):あわただしいこと

・説不盡:言い残しがある 

・行人:旅人(ここでは手紙を託す人)

「漢詩を読む会」は現在、丹羽博之先生が怪我で入院治療中のため休講しています。心からお見舞い申し上げますと共に、一日も早いご快復をお祈り申し上げます。(漢詩を読む会参加者一同)

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