対米貿易摩擦からみた日中関係

横井和彦同志社大学経済学部教授が日中関係の展望を語る

「米中の経済摩擦で日本が最も厳しい立場に」

4月21日、神戸市内で、横井和彦教授が講演しました。先ず、「対米貿易摩擦からみた日中関係」について、米中の経済摩擦により日本が最も厳しい立場になるだろうとの見解を示しました。トランプ米大統領は3月22日、中国や日本へ鉄鋼・アルミ製品への高関税の輸入制限を命じる署名式で「日本の安倍首相や他の人たちに言っておきたい。彼らはいいやつで私の友人だが、『こんなに長い間、米国をうまく騙せたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」と発言しました。

「米国が高関税を実施すれば、日・米企業に大きな打撃」

中国経済は2001年のWTO加盟以降、飛躍的に発展しました。その原動力は、中国国内で経済活動を行う日本や米国、シンガポールなどの外資系企業で、2016年時点で全体の割合は43.3%となっている。外資系企業が中国国内で生産活動を行うための生産財を海外から輸入し、製品を輸出する。米国が中国、日本に高関税を実施すれば、中国内で経済活動を行う日本や米国の企業にとって大きな打撃となります。中国はすでに輸出依存型経済ではなく高関税が実施されても中国企業にはそんなに大きな打撃とはならないだろう。

「日本の中国向け輸出額は過去最高を更新」(2017年)

中国は大きな国内市場を有し、製造業のサービス化と生産型サービス業は発展している。生産における分業が進み、モバイル決済が急速に拡大し、情報化と産業化の融合、一体化を推進しています。深圳湾ソフトウエア産業基地は外国人にも開放され、中国発イノベーション(創新)が進んでいます。日本は、日米より日中へ舵を切った方がよいのではないか。2017年には中国向け輸出額が米国向けを上回りトップになりました。これは中国での日本企業の生産が活発になっている表れです。日中の関係は「工場」から「技術革新」の拠点へ、国を超えて知的連携を進めることが近道ではないだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)