漢詩を読む会を開催、杜牧「江南春」を読む

昨年11月以来の開催に会場満席の盛況

「漢詩を読む会」は昨年11月以来5か月ぶりの開催で、4月15日は会場満席(写真)となりました。この日のテーマは晩唐の詩人・杜牧の代表作の一つ「江南春」。丹羽博之大手前大学教授の解説で詩の背景や江南地方の映像と詩の朗読動画を見ながら読みました。

丹羽教授は、この詩について、詩の背景を説明した資料「千里鶯啼いて」を引用し、「杜牧は晩唐を代表する詩人で、酒と詩を愛し、女性たちに騒がれたり、どこに行くのにも船に酒を積んで出かけたりと風流才子の異名をほしいままにしたが、一方、詩の世界では洗練された風景描写の中に、独特の味わいを出して、唐の詩人の中でも特に日本人に愛好された詩人」で す。「江南春」は江南(長江の南部一帯)の風景のすばらしさを詠んだ杜牧の代表作の一つですと紹介しました。また、詩の中の「千里」「多少」は和漢異義語で日本語とは意味が異なるので注意が必要と「故人」など他の例もあげ説明しました。

江南春(江南の春) 杜牧(803~852)

千里鶯啼緑映紅 千里鶯啼いて緑紅に映ず

水村山廓酒旗風 水村山廓酒旗の風

南朝四百八十寺 南朝四百八十寺(せんじ

多少楼台煙雨中 多少の楼台煙雨の中

見渡す限り千里のかなたまでも鶯の鳴く声が満ちる中、春の緑は赤い花々と映りあって美しい。水辺の村、山沿いの里に居酒屋の旗をひらめかせて風が吹く。南朝時代の江南地方には四百八十を数える寺院があったといわれるが、沢山の楼台が、煙のように立ち込める雨の中に見える。

・唐代の一里:約560m 

・酒旗:飲み屋の看板に使われた青い布ののぼり

・八十:「はせん」と読むのは平仄をあわせるため

・多少:いかほどの意の疑問詞。感嘆詞・反語となって数の多いことを強調する。

杜牧の風景を詠んだ詩には、独特の色彩感があります。当日紹介された下の詩は江南地方の秋の季節感を感じる詩です。

杜牧「寄揚州韓綽判官」 揚州の韓綽判官に寄す 

青山隠隠水迢迢 青山隠隠 水迢迢

秋尽江南草木凋 秋尽きて 江南 草木凋む

二十四橋名月夜 二十四橋 名月の夜

玉人何処教吹簫 玉人 何れの処にか吹簫を教うる

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