中国旅の思い出(第13回)

春節の大移動を越えて ― 中国東北で味わった雪と氷の世界

スポーツは何でも好きで、冬になれば必ずスキーを楽しんでいました。 しかし中国に赴任してからは広州暮らし。 「中国にはスキー場なんてないだろう」と思い込み、スキーとは縁遠くなっていました。

ところが、2007年に吉林省長春で冬のアジア大会が開催されたことを知り、 「中国にも本格的なスキー場があるのか」と驚きました。 そこで2009年、春節の休みを利用して、黒龍江省の哈尔滨(ハルビン)から南へ約200km、 列車で3時間の場所にある亜布力(ヤブリ)へ向かうことにしました。

■ 春節の列車は“地獄の3時間”

春節の移動が大変なことは分かっていましたが、 「今しかチャンスはない」と思い切って旅立ちました。

しかし、哈尔滨から亜布力までの3時間は、まさに地獄でした。

荷物を抱えたまま、身動きできないほどの満員状態。 直立不動で息をするのも苦しいほど。 ただただ耐えるしかない3時間でした。

亜布力は2009年にユニバーシアード冬季大会が開催される予定で、 本格的なスキー場が整備されていました。 宿で朝食をとり、朝一番でスキー場へ。 貸しスキーを借り、久しぶりのスキーを思い切り楽しみました。

何年ぶりかのスキーだったため、 「一本でも多く滑ろう」と一日中頑張り続け、 宿に戻った頃には足がガタガタ。 翌日も滑る予定でしたが、とても無理だと判断し、 宿泊をキャンセルして翌朝哈尔滨へ戻ることにしました。

春節3日目だったため、帰りの列車は行きほどの混雑はなく、 中国東北地方の雪に覆われた集落をゆっくり眺めることができました。 哈尔滨に着くと、まず宿泊場所を探して予約しました。

■ ロシアの香り漂う街 ― 聖ソフィア大聖堂

哈尔滨の街を散策すると、まず目を引くのが 聖ソフィア大聖堂です。

緑色のドームに金色の十字架が輝く、ロシア正教会の聖堂。 日露戦争終結後の1907年、帝政ロシアの兵士の軍用教会として建てられました。 現在はハルビン建築芸術館として一般公開されています。

ステンドグラスは一切使われていませんが、 派手さのない重厚な趣があり、 ロシア文化が色濃く残る哈尔滨らしい建物でした。

公園には氷のモニュメントが並び、 昼間でも氷点下のため溶けることなく、 作られたままの姿で保存されています。 北国ならではの光景です。

■ 予定外の“ご褒美” ― ハルビン氷雪大世界へ

スキーを1日で切り上げたことで、1日の余裕が生まれました。 そこで今晩は、哈尔滨名物の氷雪大世界へ行くことにしました。

まさに「人間万事塞翁が馬」。 苦しい春節移動の末に、思いがけず素晴らし

い夜が待っていました。

次回は、その氷雪大世界の幻想的な夜をご紹介します。