中国の記者試験制度とは

どうなる「報道の自由」―新聞記者職業資格試験

社会主義の下で、「言論・表現の自由」はどうなっていくのだろうか?そして「報道の自由」は?中国政府は今年初め、7月から中国本土のメディアで働く記者の資格試験制度を導入する、と発表した。香港、台湾、マカオと海外メディアの記者は対象外とされているが、メディアを管轄する国家新聞出版署が実施する「新聞記者職業資格試験」で、国内の取材・編集活動に必要な「新聞記者証」を今夏以降は全国統一試験に合格した人にだけ交付。5年ごとに更新が必要になる、という。

国内の報道だから新しいことはなく問題はないと思いがちだが、国内の情報が出てきにくくなるとすれば、他人事ではない。まして、習総書記は報道・世論工作チーム建設を重視しているといい、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を実行し、中国共産党の宣伝と意識形成を着実に進める狙い、というから「言論統制の強化」が心配だ。

中国メディア、つまり「新聞工作者」の任務は、政府の決定をいち早く知らせ、全国にこれを徹底させることと、世の中に起きている事実を知らせ、党や政府が間違った決定をしないようにすることだとされてきた。しかし、「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」では、中国はワースト2位の179位(日本は68位)。少なくとも報道の自由については問題がありそうだ。(丸山重威・ジャーナリズム研究者、日中友好新聞「中国レーダーより抜粋)

ラップナウ・コレクション展開催迫る!

日中が争うことなく歴史的な理解を深める機会に

ラップナウ・コレクションとは」

日本と中国を中心にアジアに関する絵葉書をはじめ、ポスターやビラ、古写真、地図、浮世絵、双六、楽譜、着物、マッチや証票のラベル、おまけカード、看板など、19世紀末から20世紀半ば頃までの多種多様な品々五万点以上を、個人コレクターの米国人ドナルド・ラップナウ氏が長年かけて収集した大へん貴重なコレクションです。

「消費され捨てられてしまう短命なメディア」

近代において製作されてきた図像や表象、宣伝、プロパガンダを含むビラやポスターなどのエフェメラ・メディア、日常で身近に親しまれながらも、消費され捨てられてしまう短命なメディアは興味深く、このようなコレクションの一端を紹介する展示会は極めて貴重です。

「日中の歴史的な理解を深める機会に」

今回のラップナウ・コレクション展は、近代の日本と中国に関するコレクションから厳選した資料展示で、アジアの中で日本と中国が織りなしてきた近代史の様々な側面を浮かびあがらせます。展示を通して、教科書や歴史書とは異なった大衆的なイメージという視点から、近代における日中関係を振り返り、日中が二度と戦うことのないよう「平和と友好」を深め、日本と中国の近代を知る機会として頂ければ幸いです。

「ラップナウ・コレクション展」

日程:2023年8月9日(水)~13日(日)10時~18時

(最終日は15時まで)

会場:兵庫県立「原田の森ギャラリー」東館2階

(JR灘駅北へ5分/阪急王子公園駅西へ3分)

入場無料

主催:日本中国友好協会兵庫県連合会

Tel&Fax:078-412-2228

後援:神戸市・神戸市教育委員会

3期目に入った習近平体制と台湾有事

協会の井上会長が現在の情勢と友好運動を語る

1978年から2011年までの中国の平均経済成長率は9・7%でした。これは60年代の日本の高度経済成長を30年以上続けたことに匹敵します。これが可能になったのは、中国を取り巻く国際環境が比較的平和であったこと、先進諸国の技術や経験から学べるという後発の利点を指摘できます。また、中国の政治は確かに強権的ですが、社会は基本的に安定し、質の高い安価な労働力が豊富に存在していました。経済成長期の日本と類似しています。

10年代になり、高成長から中成長へと状況が変化してきました。国内の社会的格差の拡大、少子高齢化の進行などの難題ととに、対外的にアメリカとの対立が浮上してきたわけです。昨年10月の中国共産党20回大会で、習近平が3期目の総書記となり、今年3月の全人代で国家主席に就任しました。習体制は、新型コロナによるマイナスからの回復という喫緊の問題とともに、量から質へ経済成長の転換をはかりながら、社会の安定と秩序をいかに維持するかなど、多くの国内課題を抱えています。

習体制の下、政府に対する党の指導的立場の強化が進むと見られます。党の最高指導部を習近平と関係が強い人物でかためたことで、敏速な決定がしやすくなる反面、国民の多様な意見を政策にいかに反映できるか注目すべきでしょう。また国民の人権や言論の自由が拡大するかどうか、見守っていく必要があります。

昨年8月、ペロシ米下院議長が台湾を訪問したのに対し、中国は、「一つの中国」原則が「中国の核心的利益の中の核心」であるとして、台湾海峡周辺で大規模な軍事演習を実施しました。日本では、「台湾有事は日本有事」とか「ウクライナは明日の東アジア」などという危機を煽る物騒な表現が飛び交っています。安保関連3文書は、こうした文脈の中で強引に閣議決定されたわけです。

しかし、習新体制でも中国の立場はこれまでと変わらず、台湾の平和的統一をめざすということです。また、台湾の民意は、ペロシ訪台後の世論調査でも、86.3%が基本的に現状維持です。台湾が独立を宣言するようなことは、冷静に考えれば、まず考えられない想定なのです。危機を煽り、中国を念頭に大軍拡に走るのは、日本にとって愚策としか言いようがありません。(日中友好新聞5月1日号より、後半は「友好交流活動」のページで紹介します)

中国遼寧省の大連湾海底トンネル開通

7年の工期を経て5月1日正式開通

遼寧省大連では、建設に7年を要した大連湾海底トンネルと光明路延長プロジェクトが5月1日正式に開通しました。プロジェクトの幹線の全長は12.1kmで、海底トンネル・山岳トンネル・水中インターチェンジ・陸路インターチェンジが含まれます。

その中で、北の大連のバラクーダ湾エリアから南の大連東港ビジネス地区まで走る5.1kmの海底トンネルは、中国北部で最初の大規模な海を越えた浸漬トンネルであり、中国で最小の曲線半径と最大の曲率を持つ湾曲した浸漬トンネルでもあります。開通後、大連湾の北岸と南岸から車で<>分もかからず、大連湾の交通圧力を緩和し、大連湾の両側の統合建設を促進し、渤海と黄海周辺の沿岸経済圏を構築するために非常に重要です。と紹介されています。(CCTVニュースより)

中国の積極的外交に注目!

日中友好新聞東神戸版に掲載された投稿記事

3月の「全人代」を終え3期目に入った中国の習近平国家主席は、ウクライナ侵攻を続けるロシアを訪問しプーチン大統領と会談、停戦に向けての提案を行ったと伝えられました。欧米諸国がウクライナ支援を続ける中、中国が中立的立場で停戦へのイニシアティブを発揮できるかが注目されるところです。

2016年以来、外交関係を断絶していたサウジアラビアとイランが3月10日、国交正常化協定に調印したが、その仲介をしたのが中国です。今年2月、イランのライシ大統領の中国訪問などを経て実現したものです。

4月5日から7日の日程で、フランスのマクロン大統領が国賓として訪中し、閲兵式や公式会談、晩餐会など盛大な歓迎を受けました。講演でマクロン大統領は「習近平氏が提案しているウクライナ戦争に関する政治的、外交的解決案である和平案を歓迎する。フランスは和平案全体に同意するわけではないが、和平案は紛争の解決に寄与する」という趣旨のことを述べました。これに対する内外からの批判には「フランスはアメリカの下僕ではない」とも語っています。

習近平氏は4月14日、国賓として中国を訪問したブラジルのルラ大統領と北京の人民大会堂で会談しました。習近平氏はルラ大統領の訪中に熱烈な歓迎の意を示し、「中国とブラジルはそれぞれ東半球、西半球の最大の発展途上国であり、重要な新興市場国だ。互いを全面的戦略パートナーとして、幅広く利益を共にしている。新時代の両国関係の新たな未来を開き、両国人民により多くの幸福をもたらし、世界の平和・安定と繁栄・発展のために積極的で重要な役割を果たしていきたい」と述べています。

今年、日本はG7議長国として大きな役割を担っています。5月19日から広島サミットが開かれます。岸田首相には世界の平和・繁栄に貢献できる役割を果たしてもらいたいものです。(H・H、日中友好新聞東神戸支部版5月号より)

黄砂発生!農業や生活環境に重大な影響

黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風により数千メートルの高度まで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。風により大気中に舞い上げられた黄砂は、発生源地域周辺の農業生産や生活環境にしばしば重大な被害を与えるばかりでなく、大気中に浮遊し、黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼしています。(環境省HPより)

この時期、柳絮(柳やポプラの綿毛)飛散も加わり特に北京や上海、杭州などの大都市で生活する中国国民にとっては大変厳しい環境となっています。中国のネットニュースからその一部画像を紹介します。(写真上は北京南駅、下は北京市内の様子、黄砂発生・飛来図は環境省HPより、写真下3枚は柳絮飛散・百度中国より)

中露が経済協力中心に共同声明

「冷戦脱却、対話を」中国の立ち位置

習近平主席が3月21日、ロシアを訪問、プーチン大統領と会談した。経済協力を中心に共同声明を出した。はっきりした「和平」のプロセスは見えなかったが、訪問前に発表した「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」は、中国外交の現在を正面から明らかにしたものだった。

岸田首相は、習近平主席訪ロに合わせるように、ウクライナを訪問。「米国としては日本を中国のライバルとして外交戦をさせるために、習近平の訪ロと重なる日程で岸田をウクライナに行かせた観がある」(田中宇「国際ニュース解説3月23日版」)との見方もあるほど。日本外交の主体性が改めて問われていると言えそうだ。

ポジションペーパーでは、①各国の主権尊重②冷戦思考の排除③停戦・戦闘の終了④和平対話の始動⑤人道危機の解決⑥民間人と捕虜の保護⑦原子力発電所の安全確保⑧戦力的リスクの減少⑨食糧の国外輸送の保障⑩一方的制裁の停止⑪産業チェーン・サプライチェーンの安定確保⑫戦後復興―をあげている。「停戦・戦闘の終了」「和平対話の始動」では、「可能な限り早期に直接対話を再開」させ「国際社会」に、交渉再開の「プラットフォームの提供」を求め、中国は「建設的な役割」を果たすとしている。

しかし、例えば米国は「ロシアが報復を開始する前に再編成する方法を提供するだけ」と冷ややかで「ウクライナ支援」名目の戦争参加を続ける構えだ。ロシアのウクライナ侵略に何の正当性もないことが確かにしてもこれが即「ウクライナ軍事支援」であってはならないのは当然だ。

日本国憲法9条は、「戦争」と「武力による威嚇」「武力の行使」を「永久に放棄」し、「前文」は「全世界の国民」に「平和的生存権」を認めている。日本外交はその線に沿って展開されなければならない。しかし、米国と共同歩調の岸田内閣は、その逆で、昨年来、日米印豪の「クワッド」首脳会議、オーストラリアとの共同宣言、NATO首脳会議への出席などを通じて「対中包囲網」の強化、拡大に努めてきた。発想はまさに「米国・NATO VS ロシア」の「冷戦思考」そのもので、世界平和には背を向けている。(丸山重威・ジャーナリズム研究者、日中友好新聞4月15日号「中国レーダー」より、写真はCRI)

「気球撃墜」の危険性―宇宙を戦場にするな!

「懸念」や「デマ」が戦争を招く

米国の上空に、巨大な気球が現れ、米軍は2月4日、この気球を大西洋上で空対空ミサイルで撃墜した。米軍は「気球は中国が戦略拠点を監視する目的で使った偵察気球」とし、ブリンケン国務長官の訪中予定を延期した。しかし中国外務省は「気球は民間のもので不可抗力で米国に入った。米国には繰り返し伝えている」と主張。「中国は米国に対し、冷静かつ専門的、抑制のきいた方法で適切に対処するよう要請してきた」と表明。対抗措置の可能性を示した。まだ真偽は明らかではないが、日本はあくまで一方に加担せず、軍事衝突回避に動かなければならない。報道によると、中国の気球はトランプ政権時代に3回、バイデン政権になってからも1回、米国への飛来があったという。

米本土への気球、といえば思い出すのは第2次大戦中、日本が飛ばした「風船爆弾」。約9000個が放たれ、約300個が到達。被害者も出たという。現在、飛行機が飛ぶ高さを超えた「宇宙空間」は1966年の「宇宙条約」で探査や利用は「すべての国の利益のために、国際法に従って全人類が自由に行う」とされている。「いずれの国家も領有権を主張できず、核兵器など大量破壊兵器を運ぶ物体(ミサイル衛生など)を地球を回る軌道に乗せ、宇宙空間に配備してはならない。月その他の天体は専ら平和目的のために利用され、軍事利用は一切禁止」とも規定した。

中国がどんな形で「制御不能の気球」を知らせたのかが分からないが、もしそうなら、確かに「武力行使に固執したのは明らかに過剰な反応。国際慣行に反する」ものだ。報復や対抗措置は支持できないが、中国が「企業の正当な権利を守る」というのも当然だ。ストルテンベルグNATO事務総長は「ロシアと中国の軍事連携への懸念」を強調した共同声明を発表。米CIAは「中国は2027年までに台湾に侵攻する」などとデマ情報を流し危機を煽る。その「懸念」や「デマ」が戦争を招く。「たかが気球、されど気球」―戦争の芽はみんなで摘むことが必要だ・(丸山重威=ジャーナリズム研究者。日中友好新聞3月1日号中国レーダーより、写真=wikipediaより 

よく聞いて、木が歌っている!

南京大虐殺記念館・平和公園の欅の木から音楽が

記念館の平和公園には欅の木がある。この木は青々として、まるで開いた大きな傘のようである。来館者の多くは「南京大虐殺史実展」を見学した後、木の下に座って休んでいる。最近、驚いたことは、木から音楽が聞こえるということである。

「南京難民合唱曲」から「共感」、「勝利の光」まで、周りのベンチから違う音楽が聞こえる。これは前例のない「音楽の木」で、中国の博物館では初めての試みだと言われている。

見学者たちは、木の南側の「生命力」と書かれたベンチに腰を下ろし、紫金草の若葉を見て、そして1938年に南京に滞在した国際友人――難民が南京安全区の「食糧輸送大使」と親しまれるマッカラン氏が創作した「南京難民合唱曲」が聞こえてくる。

南京陥落後、食料問題が一層深刻になった1938年の初め、国際友人たちは、上海から集めたソラマメを南京の難民に配布するために努力した。マッカラン氏はそれによって歌を創作し、難民に「ソラマメの歌」と呼ばれている。

ソラマメで朝ごはんを作り

ソラマメで昼ご飯を作り

ソラマメで晩ご飯を作りたい

こののびやかで、やや悲しい歌は、難民への慰めと励ましであり、人々へ暖かさと希望を伝えている。

木の東側の椅子には、「希望の思い」という文字が刻まれている。そこに座って展示場の方向に向かい、歴史を振り返ることができる。見学者たちはここに座り、「共感」という歌を聞くことができる。この歌は、戦争中の南京鼓楼病院に滞在した外科医、リチャード・ブレイディ氏の孫娘のメ―ガン・ブレディ氏が、2019年「ろうそく祭・国際平和集会」で歌った曲である。1938年2月、リチャード・ブレイディ氏は困難を乗り越えて鼓楼病院に戻り、南京に滞在していたウィルソン医師と一緒に難民を救助していた。

孫娘のメ―ガン・ブレイディーは大人になってから、曾祖父の過去に深く触れ、「共感」という歌を創作した。この歌を通して、世界各地の若者が南京大虐殺の歴史に「共感」することが望まれている。

木の北側には、「勝利の歌」という文字が座席に刻まれいる。見学者がここに座り、勝利の壁に向かい、木から流れてくる「勝利の角笛」の歌に耳を傾け、段々と沸き立ち激昂する旋律を通じて、中国人民の苦戦を経て最後の勝利に至る努力が感じられる。

木の西側の座席には、「平和への願い」という文字がある。ここに来た見学者は、平和の女神に向かって「生命の光」を聞き、平和の大切さを感じる。「生命の光」は、大規模なオリジナルオペラ『ラーベの日記』から選ばれ、」ジョン・ラーベ氏、ミニー・ヴォ―トリン女史ら、南京に滞在していた外国人に対する感謝の気持ちが込められている。彼らは当時、難民を保護し、救助し、日本軍の残虐行為を記録し、抗議するために全力を尽くし、その努力は人間の輝きを放っていた。

なぜ欅の木が「歌う」ことができるのだろうか。その秘訣は樹冠にある。観客が素敵な音響体験ができるように、記念館はデザイナー、音響技術専門家、音楽家を招き、4台の指向性超音波音響伝導装置を樹冠の中に設置することを繰り返し試みた。その他、座席も特別である。座席は北から南へ向かって高く伸びており、記念碑のような建築空間感を形成している。4つの方向はそれぞれのテーマに対応し、選ばれた曲も4つのテーマに対応している。(侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館、南京国際平和通信第38号「よく聞いて、木が歌っている」より。)

上海と蘇州、地下鉄で繋がる

蘇州と上海を直接行き来できる

上海軌道交通11号線と蘇州軌道交通11号線(旧S1線)が繋がり2023年3月1日より試運転が始まります。(正式開業は6月の予定)

蘇州軌道交通11号線(旧S1線)は全長41.27㎞で、28の駅が設置されます。西は唯亭駅で東は昆山花橋駅でそこで上海軌道交通11号線に乗り換えできます。(上海11号線の終点は上海ディズニーリゾート)

上海蟹の産地で有名な陽澄湖にも駅が設置されますので、本場の上海蟹を堪能することもできます。