中国旅の思い出(第7回)

水色が生まれる場所 ― 黄龍の彩池と石灰棚

前回ご紹介した九塞溝のすぐ隣、 といっても山ひとつ隔てて何十キロも離れていますが、 四川省北部にはもう一つの絶景、黄龍(ホアンロン)があります。

黄龍は「四絶」と呼ばれる 彩池・雪山・渓谷・森林 この四つの景観が組み合わさった、世界でも稀な自然保護区です。

標高3100mの迎賓彩池から、3600mの五彩池まで木製の遊歩道が続き、 九塞溝より標高が高いため、私は酸素ボンベを片手に歩きました。

■ 山を昇る“黄色い龍”の正体

黄龍という名は、 黄色がかった乳白色の石灰華が山肌を覆い、 まるで山を昇っていく黄金の龍のように見えることから付けられたといいます。

ここは、石灰分を含んだ湧水が 気の遠くなるような年月をかけて自然に作り上げた石灰棚。 その棚田のような段々に、 彩池(さいち)と呼ばれる湖沼がどこまでもどこまでも続いています。

その数、なんと3400の湖沼。 人が何年もかけて切り拓く棚田も素晴らしいですが、 自然がつくり上げたこの景観は、 「自然の力はどれほど大きいのか」と思い知らされる場所でした。

■ “水色”という色を初めて理解した

私は文学の才能はありませんが、 黄龍を歩きながら「水色とは何か」を考えさせられました。

棚田のすぐ近くで真上から見ると、水は透明。 しかし、少し離れて棚田全体を眺めると、 水面がまるでクレヨンや色鉛筆の“水色”そのものに見えるのです。

「水色という色は、ここから生まれたのではないか」 そんな仕様もないことを思ってしまうほど、 本当に美しい光景でした。

■ 九塞溝よりも心に残った景勝地

九塞溝は中国旅行の中でもトップクラスの人気を誇り、 確かに素晴らしい景勝地です。

しかし私見では、 黄龍はそれ以上に心を揺さぶられる景勝地だと思います。

日本からの観光ツアーでは九塞溝が必ず計画されていますが、 ぜひその際は黄龍にも立ち寄ってほしいです。 一味違う感動が、きっと待っています。

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